僕は大きな声を出せなかったが、今出せる精一杯の声を出して言った。

「 みんな、僕の事忘れてませんか?勝手に話が進んでるようですが。」

一斉にみんなが僕の方を見る。流石にみんなに見られると、ドッキとする。

「 たかし、ごめんなさい。ちょっと用事思い出した。帰るね。」

ゆいは慌てるように病室から出て行った。

「 ああ、ゆいさん帰っちゃった。お兄ちゃん、なんで声かけたのよ。

 ちゃんと聞けてないのに。」

「 そんなのいいじゃないか。今はゆっくり休ませてくれよ。」

ある意味、言葉の続きを聞くのが怖かった。はっきりと今までも聞いたこと

無かったから。

「 たかし・・・・。そうだね、ゆっくりさせてあげなきゃね。」

「 そうそう、神崎君ゆっくり休んで、早く直さないとね。」

「 しばらく時間を頂きましたから、その間、じっくり台本を読んだり、

 知識を広めてくださいね。恵美さん詳しくは、また今度という事で。

 今日は失礼します。」

由紀、前田さん、そして小畑さんが病室を後にした。

「 お兄ちゃん、どうしよう。お母さん達に話した方がいいかな。」

「 そうだな、ホントに決まるんだったら、ちゃんと報告しておかないとな。」

しばらく恵美と話を続けた。夏だから日が暮れるまで時間があった。

「 恵美、今日はありがとう。遅くならないうちに、帰りなさい。」

「 そうだね、遅くまでいたら、さっきの看護士さんにまた怒られちゃうかも。

 じゃ、また明日来るね。しばらく入院するって事務所の人言ってたから、

 着替え持って来るね。」

「 気をつけて帰れよ。また明日な、お休み。」

「 お休み、お兄ちゃん。」

恵美も帰っていた。今日一日でとんでもない事が起きたもんだと、

しばらく思い耽っていた。

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