そもそもが、この話をくれた紺野さんからは僕が相手役になるとは
聞かされてなかったから。そう初めはオーディションをして、別の役を
やる事になるはずだった。それが、ちょっとしたトラブルで話が大きく
かわった。相手役に決まっていたであろう冴島さんを退けてしまったのだから。
「 あなたがなぜ、相手役になってるの。納得いかない。私の冴島さんを・・・。
許さない。こんな映画、絶対に完成させないわよ。」
「 そろそろやっちゃいますか。準備はできてますよ。」
「 そうね、そろそろいいかしら。よく味がしみてるみたいだから。」
「 分かりました。何人か用意させときます。」
「 さあ、どんな風に調理されるのかしらね。フフフ、あなたが悪いのよ。」
不適に笑みを浮かべて、行動を起こそうとしていた。
次のシーン。和也は遥との別れを悲しいんでいた。自暴自棄になっていた。
街の中をフラフラと宛てもなく彷徨っていた。気力のない足取りで歩く。
そんな折、すれ違い様に肩がぶつかる。和也はその場によろけて倒れる。
だが、ぶつかった相手が悪かった。
「 おい、痛てーじゃねえか。こら、何処見て歩いてんだ。」
倒れた体を起こしながら、気力の無い声で謝る。
「 すみませんでした。」
「 あー。それで謝ってんのか。おい、なめてんじゃねーぞ。」
「 すみません。」
「 はあー。許せねえな。おい、こいつそこまで連れてけ。」
両肩を鷲掴みされて、路地の奥まで連れて行かれる。
人気の無い路地の奥、その場にほうり投げられて倒れる。周りには5人に
囲まれていた。