初日の撮影はまだまだ続く、なんとか台本の台詞を自分なりに

解釈できている。監督や相手役の紺野さんとも意見を交換しながら

順調に進む撮影。今は精一杯の状態。表現の難しさを肌で感じる。

でもそれが辛く感じず、心地よさを感じているのだ。ホントにやって

良かった。そう思える自分がいるのだ。

「 神崎君、初めてとは思えないわね。すごい。朝は結構緊張してたのに

 大丈夫のようね。神崎君て、本番に強いんだね。」

紺野さんに感心される。僕自身もこんな自分が居たんだと発見できた。

撮影は順調で、時間を感じさせなかったが、撮影時間もすでに朝から

10時間を過ぎていた。周りは夕闇に暮れようとしていた。

松井さんや冴島さん、子役の水野綾乃ちゃんも撮影に入っている。

特にこの初日から、撮影が荒れる事はなかった。取り越し苦労かと

思うほどなにも起こらなかった。

「 始めから、食べちゃ勿体無い。ゆっくり味が染み込んでから。

 おいしさが増してからだよ。フフフ。」

不適な笑みを浮かべながらその少女は、その時を待っている。

「 今日の撮影は以上です。お疲れ様です。」

スタッフさんの掛け声で今日の撮影が終わった。

「 神崎君、お疲れ様。明日も早いから、挨拶済ませて帰りましょう。」

前田さんと、監督、スタッフさんに挨拶して現場を出る。



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