困った様子を見て、二人は楽しそうにする。僕は何を考えてるのか
分からずにいた。そこに紺野さんが現れた。
「 撮影が休憩に入ったから、見に来たけど。神崎君を困らせて
遊んでんじゃないの。由紀、本番もうすぐでしょ。あと、恵梨那あなたも
一緒になって、あなたもすることあるでしょ。」
「 はーい。 玲ちゃんきつい。もっと優しくしてよ。」
「 由紀はきつく言わなきゃ、分からないでしょ。もう。」
「 恵梨那は今日は出番が終わったから、神崎さんの本読み手伝ってただけです。」
「 そう、恵梨那はいいわ。さあ、由紀準備あるでしょ。急いで。」
「 はーい。もう玲ちゃんお母さんみたい。怖いよ。」
「 由紀!怖いってなによ。」
僕はそのやり取りに言葉を失っていた。
「 神崎君、また後でね。由紀がんばるから。じゃねー。」
そう言って松田さんは稽古場から現場へと戻っていった。
「 私ももう戻らなきゃ。神崎君がんばってね。恵梨那、ちゃんとやるのよ。」
「 玲ちゃん、心配しないで。恵梨那も分かってるから。」
その “も”ってなんだ。何をわかってるんだと、僕は集中できずにいた。
「 神崎さん、それじゃ続きやりましょう。恵梨那がみっちり教えてあ・げ・る。」
何を教えてくれるのか・・・。不安で一杯に襲われる。