k稽古場では、僕はやっと演技指導を受ける準備ができた。
「 さあ、時間が無いからすぐに始めるよ。神崎君まずは台本はいいから。
まず君には想像してもらおう。広い草原に君はひとり立っている。」
「 創造ですか。草原にひとり・・・・。なんでこんな事。」
「 思い浮かべたかい?そこは、風の吹く草原。君が今思った草原の景色には
何がある?言ってみて。」
「 草原にですか・・・。そうですね・・・。」
「 遅い! 神崎君、イマジネイションだよ。想像力ないね。そんなんじゃ
ダメだよ。こんな簡単なことで思うことできないと。」
「 すみません。今までそんな事思ったこと無かったんで。」
「 神崎君。人はね思ってないようで思ってるんだよ。分かるかな?」
「 そうなんでしょうか。僕は普段から何考えてるか分からないんですよ。
自分自信。」
「 そんな事ない。今は場所をイメージしてと言ったけど。君、好きなものは?」
「 好きなものですか。普段なら漫画が好きですかね。」
「 ほら、ちゃんと考えてるじゃないか。自分の好きな物って聞いて、普段
自分が読んでる漫画の事思っただろ。どんな主人公で、どんなストーリーで
思い浮かんだだろ。それだよ。人間は考えない事ないいんだ。思わないこと
普段当たり前にやってるからね。今日は何食べようだとか、好きな曲があったら
どの曲を聞いてみようだとか。その時にはちゃんと頭の中でビジョンがはっきり
見えてるはずだ。そうだよね。」
そうだ、僕だってちゃんと思ってるんだ。考えてるんだ。日常当たり前すぎて
考えてない自分を考えてる。これだって思い浮かべてるんだ、そんな自分を。
「 神崎君、その考えをもっと膨らましてごらん。好きな漫画見てる時も
目で見たことを頭の中で大きく膨らましてるはずだよ。それを置き換えるんだ
今自分がどこに居るのか・・・・。どうだい、思えたかな。」
「 はい、ちゃんと思い浮かべれてます。」
知らないうちにどんどんと、そのイメージが頭の中で膨らんでゆくのを感じていた。