現場に向かう準備を済ませ、部屋を出た。前田さんと終始
無言のまま、エレベーターで降りロビーへ向かう。
ロビーには紺野さんとマネージャーの小畑さんが待っていた。
前田さんが僕に目で合図を送り、小畑さんへ近づく。
「 小畑さん、ちょっと見ていただきたい物が。これなんですが。」
前田さんは、僕の携帯に届いたメールを小畑さんに見てもらった。
それを見た小畑さんも困った表情が見えた。
「 こんなメールが・・・・。一先ずここを出て、車の中で話そう。」
そう言って、紺野さんの車に乗り込み現場へと向かった。
車の中では、
「 いたずらにしては、ちょっと過激だな。この映画をつぶす気なのか。」
「 それにしても、よく神崎君のメールアドレスが分かったものね。」
小畑さんと紺野さんが話す。
「 そうなんですよね。僕のアドレス知ってるのそんなにいないから。」
「 どうやって調べたのかしらね。まさか現場の誰かが?」
僕と前田さんも不思議に思いながら話す。
「 このメールに返信はしたのかい?神崎君。」
「 いえ、分からない相手ですから。下手に送るとどうなるか
分からないので。」
「 そうね。下手に刺激したら、それこそ相手の思う壺だわ。」
「 しばらく様子をみよう。警戒はしておくから。いいね。玲子も
気にせづ撮影に集中しよう。」
僕達は車内で話し合い、しばらくは様子を見ることにした。
もしこの映画をつぶそうとするなら、何か行動を見せるはずだ。
僕も今はこのことでつまづきたくない。まだまだ何もできてないのだから。
現場に入って、紺野さんはシーンの打ち合わせに入る。僕は、昨日と同じく
稽古場に入り、指導の鈴木さんが来る前に準備をしようと、自ら腕立てを
始めた。昨日の今日だからかなりの筋肉痛だ。それでも、負けたくないので
痛さをこらえて続ける。