「 神崎君、君は準備運動にどれだけ時間をかけるんだ。これじゃ

 次のことができないじゃないか。まあいい、今日はこれまでに

 しよう。」

僕は悔しくてたまらなくなった。たかだか準備運動だけなのに。

こんなにも、何もできない自分に。

「 今日は、もういい。それじゃ。」

鈴木さんは稽古場から出て行った。残された僕は動けなくなっていた。

呆然とする気持ちと、酷使した体で動けなくなっていたのと・・・。

「 そんなに、落ち込む事ないよ。神崎君。明日はがんばろう。」

「 前田さん、僕、こんなんでやれるのかな。全然稽古にも入れてない。

 準備運動だけでへばってしまって・・・。情けないよ。」

前田さんも気をつかってか。

「 君、今まで運動らしき事何にもできなかったんだよね。やりたくても。

 自分の事気にしてさ。でも、これからは泣き言、言ってられないよ。

 みんなの足引っ張っちゃうからね。何とか考えよう。」

「 そうですよね・・・。僕の考えの方が間違えてました。こんなこと

 位で。まだ始まったばかりなのに。前田さんがんばります。」

そんな会話の中に入ってくる人が居た。

「 全然なっちゃいないね。基礎体力ぐらい持ってないのかよ。

 こんなやつに僕の役を奪われるなんて・・・。もっとがんばれよ!」

そこに居たのは冴島さんだった。返せる言葉がなかった。





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