ゆいと二人でいた。そこは幼い頃の思い出の場所。
砂浜に二人、波打ち際を歩く。付けた足跡を波がかき消してゆく。
きらきらと輝く太陽からの光をあびるゆいをマジマジと眺める。
ゆったりとした時間が流れる。
( ああ、このまま時がずっと続けば・・・。)
するとゆいがどんどんと先を行く。僕はなぜか波打ち際から
動けなくなっていた。今まで穏やかだった波が大きくうねりだす。
そして僕をその場からさらってゆく。もがきながら、ゆいを探す。
ゆいは気づかずどんどんと離れてゆく。
何とか飲まれた波をかき分けて水面に顔を出す事ができた。
離れてゆくゆいに大声で叫ぶ。
「 ゆいー!! ゆいー!!待って。待ってくれー!!」
大声でもゆいには伝わらないようだ。どんどんと姿が小さく
見えなくなってゆく。さらに大きな波で僕は沈んでゆく。
( もうダメだ。もうダメなんだな。)
そう思っていると、どこからか僕の名前を呼んでいる声が聞こえる。
『 たかし。たかしったら。起きてよ。大丈夫?』
僕はどうやら夢の中に落ち込んでいたようだ。
傍に居たのはゆいだった。心配そうに僕を見ている。
「 たかし。大丈夫?かなりうなされてたよ。」
僕は飛び起きてゆいの顔をマジマジと見て、涙がこぼれた。
そして、今までやった事がなかった行動に僕自身が驚いた。
そばに立つゆいをギュッと抱きしめたのだ。
驚くゆい。泣きながら僕はゆいを抱きしめ続けた。
傍らに立つゆいが耳元でつぶやく。
「 たかし、どうしたの。恥ずかしいよ。」
僕はその言葉でハッと気づき。ゆいからそっと離れた。
赤ら顔のゆいと僕がそこにいる。