抱きしめられた僕は硬直した。

( やばいどうしよう。気をつけていたのに・・・)

普段から、メガネを外して目を見ないようにしてきた。

体育の時間でさえ女子の目に合わないように気にしてたのに。

「 どうしてだろ、あなたが気になって気持ちが止まらない。」

抱きしめられたまま、背中越しに聞こえる生徒会長の声。

「 あの、手を解いてくれませんか。」

ドキドキの気持ちを抑えるように声を放った。

「 ごめんなさい。どうしたんだろ私。」

そう言って一歩後ずさりすると同時に手を解いた。

今回はほんの一瞬だけだったから、そこまで強く心が動かなかったようだ。

「 本当にどうしちゃったんだろう。ごめんなさい。」

生徒会長はほほを赤らめて、僕に謝る。

「 大丈夫です。驚いたけど。プリントありがとうございます。」

僕はこの場から早く立ち去ろうと、今度は風に飛ばされないよう

両手でプリントを握り生徒会長を背にした。

そして急いで職員室へと向かった。

僕はまだこの時、この出来事がきっかけでこの夏がすごい事に

なるとは思ってもいなかった。