パタパタと階段を下りるスリッパの音が響く朝。ジェルミはキッチンで忙しそうにスプーンと口を動かしていた。
「おはよテギョンヒョン。ミジャおばさん急用ができたって帰っちゃったけど、朝ご飯は作ってくれたよ。たまにはテギョンヒョンも食べたら?おいしいよ。ちゃんと栄養補給しなきゃ」
ミナムはいつもギリギリまで寝ている。こんな朝早く起きてくるのはテギョンだと思ったジェルミは振り向くことなく足音に向かってそう言ったが、キッチンに入ってきた人物を見て、口に入っていたご飯を喉に詰まらせそうになり、苦しそうに胸をドンドンと叩いた。
「ゴホッ、ゴホッ・・・ミニョ!?」
現れたのはテギョンでなければミナムでもなかった。
ストレートの黒髪は、濡れた髪がまだ完全には乾いていないようなしっとりとしたツヤを放っている。着ているのはテギョンのスウェット。
思いもよらない人物の登場に、ジェルミは目を白黒させながら喉の奥に引っかかっているご飯をジュースで流しこんだ。
「おはようございます、ジェルミ。ご飯、私ももらっていいですか?」
「え?ええっ?何で!?何でミニョが上から下りてくるの?いつ来たの?どこにいたの?その服は?これって夢!?」
今見ているのは夢かもしれないと何度もまばたきをし、目をこすり頬をつねった。
「私もよく判らないんです。いつの間にか来ていたというか、目が覚めたらここにいたというか・・・」
遅れて下りてきたテギョンと目を合わせほんのり頬を染めたミニョは、穴があきそうなほど強いジェルミの視線から逃げるように顔を逸らした。
「いつって・・・マ室長が連れてきたじゃないか。布団を俺の部屋に運んだのはジェルミなんだろ」
「マ室長がおぶってきたのはミナムで・・・え?ええっ!?」
「あれはミニョだったんだ。ああ、ケンカして顔も見たくないって言ってたな」
「だってミナムの服着て・・・髪だって・・・」
酒にはかなり強いミナムが酔ってマ室長に運ばれるなんて、一体どれだけのんだんだよと呆れはしても心配はしなかったジェルミは、テギョンの部屋に布団を運んだことをとてつもなく後悔した。
「じゃあ、俺がミナムとケンカしてなかったら、ミニョは俺の部屋に泊まって・・・今頃は俺のシャツ着てここに座ってたかもしれないってこと!?」
「ジェルミの部屋で睡眠はとったかもしれないが、ジェルミのシャツを着る可能性は0%だ。その場合、マ室長がいなくなる可能性は100%だけどな」
もし運ばれてきたのがミニョだと気づいたジェルミが自分の部屋に泊めたとしても、手は出せずに悶々としながら朝を迎えただろう。テギョンの部屋へ運んだとしても、ジェルミがリビングで寝たとしても、気になって眠れなかったに違いない。
「昨夜はよく眠れたか?」
「うん・・・」
「よかったな。俺は・・・・・・寝不足だ。ま、いつものことだけどな」
後半の言葉はジェルミの耳には入ってこない。
意味深な笑みを浮かべるテギョンと真っ赤な顔で俯きご飯を食べるミニョ。ジェルミの視線は二人の間を何度も往復し、両手で頬を挟むと声にならない声をあげた。
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アメ限の入った今回のお話もこのおまけでおわりです。
短いお話なのに遅くなりましたー<(_ _)>
下書きはできてたんですが、その後がちょっと手間取ってしまいました。
バタバタと忙しくて・・・😅
さて、新しく書いてるお話はまだ10話くらいしか下書きができてません。
ちょっと停滞中。
考えながらアップすると絶対に途中でストップしちゃうんで、全部書けてからになると思います。
というわけで、またしばらくお休みに入りま~す。
でも時々短いお話はアップしたいなー