ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 42 (おまけ) | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

 

合宿所の屋上で、カップをテーブルに置くと青い空を見上げシヌは大きく伸びをした。

今日、テギョンとミニョが帰国する。もう飛行機は着いているはず。今頃はタクシーに乗っているだろう。

ミナム発案のパーティーの準備もでき、あとは二人の帰りを待つだけ。

シヌは深く椅子に座ると熱いカップに口をつけた。

空気と一緒に入ってきたお茶はほどよい温度で喉を優しく撫で、穏やかな香りが鼻から抜けていく。口の中にわずかな渋味が残るこのお茶は、ミニョの好きな味だった。

特に意味があってこのお茶を選んだわけではなかったが、ああ、今日帰ってくるんだなと思っていたら、自然とこれを淹れていた。

テギョンが行方不明の間、ミニョの為に何度も淹れたこのお茶も、これが最後の一杯。以前はこの香りをかぐと胸の奥で何かザワザワとしたものがあったが、今はそれをまったく感じなくなっていることに気づき、安心したような寂しいような気持ちとともにゆっくりと飲みこんだ。

外で車の停車音とバタンとドアの閉まる音が聞こえた。そして男女の話し声も。シヌのいる位置からでは人の姿は見えないが、二人が帰ってきたんだろう。

 

「やっと日常が戻ってきたんだな」

 

カップに残った水面に映った顔は表情までは見えない。しかしそこにあるのはきっと穏やかで晴れやかな笑顔だろうと思いながらシヌは残ったお茶を飲み干した。

 

 

 

 

 

 

「おかえりー♪」

 

パーンッ!!

 

「うわぁっ!」

 

玄関のドアを開けた瞬間、テギョンを迎えたのは、ジェルミの元気な声と大きな破裂音。驚いたテギョンはビクリと身体を震わせのけ反りながらとっさに身構えた。そこに緩やかな放物線を描きながら大量の金色のテープが降ってきた。

目の前にいたのは破裂音とテープのシャワーのもとと思われるバズーカ型の巨大なクラッカーを構えているジェルミと、その後ろにシヌとミナム。ジェルミの目にはうっすらと涙が浮かび、駆け寄ってくるとテギョンの身体をペタペタと触りはじめた。

 

「本物のテギョンヒョンだよね、生きてるよね」

 

今にも抱きつきそうな勢いにテギョンはうっとうしそうな顔で「離れろ」と冷たい言葉を放つ。その表情も物言いも、まるで何年かぶりのように懐かしく感じ、ジェルミはへへっと笑うとじわりと垂れてきた鼻水を軽くすすった。そして目尻を指でぬぐった。

 

「あれ?ミニョは?」

 

テープまみれになっているのはテギョンだけ。ミニョにテープがかからなかったのではなく、そもそもミニョの姿が見えない。

 

「もしかしてミニョ一緒じゃないの?せっかくビックリさせようと思って待ってたのに」

 

「外で待たせてる。おまえたちが何か準備してるのは知ってたからな。万が一を考えてまずは俺が様子を見に入ったんだが、正解だったな。ああ、そうだ、マ室長からジェルミに伝言だ。「夜にはそっちに行くからパーティーの料理は残しといてくれ」だそうだ」

 

タクシーを降りた後、そういえば連絡してなかったなとテギョンはマ室長に電話をかけていた。その時に今日は三人ともオフでパーティーの準備をしていることを知った。

今日のことは三人がこっそり計画を立てていたことで他には誰も知らないはず。

ミナムがジェルミをジロリと睨んだ。

 

「あっ、その・・・だって俺だけダンスレッスン入ってたから・・・休むためには仕方ないだろ」

 

「ちぇっ、しょーがないなー。で、ミニョはどうして外なの?万が一って何?」

 

「今みたいにおどかすヤツはもうないだろうな。もしあるならミニョは中に入れれない」

 

「ないよ、ジェルミが用意した一発だけ」

 

「小さいのもダメだぞ」

 

やけに念を押す姿に三人が不思議そうな顔で首を傾げていると、テギョンがミニョを連れて中に入ってきた。

 

「「「ミニョ、おかえ・・」」」

 

ミニョの顔を見た瞬間三人の声が重なり、そして同時に止まった。

視線が存在感のあるお腹に注がれる。そこは”しばらく会わないうちにちょっと太った?”というにはあまりに不自然なほど膨らんでいた。

ジェルミは目を大きく見開き声が出せないのかあんぐりと口を開けたままミニョのお腹を指さした。

 

「ただいま。ねえ、お兄ちゃん、見て見て」

 

「えーっとテギョンヒョン、これってどういう・・・」

 

ミナムの口の端がひくつく。

 

「お兄ちゃん、これ・・・」

 

「頭の回転の速い俺が目の前のこと理解できないっていうか、するの嫌がってんだけど。テギョンヒョン・・・・・・リハビリってどこのリハビリしてたんだよっ!」

 

「ミナム違う!これはもっと前だ」

 

「もっと前?・・・まさか!」

 

「お兄ちゃん」

 

振り向いたミナムの視線がシヌとぶつかった。

 

「もっと前?・・・テギョンが俺の身体勝手に使ってたって言ってたよな。テギョンのことだ、ミニョに手を出さないわけないと思ってたんだが、まさか俺の身体使って夜な夜なミニョと、×××なことや××××なことを・・・・・・ああ、どうして俺は憶えてないんだ、もったいない。ん?まてよ、てことは、本当の父親は俺か?」

 

「どうすんだよ、シヌヒョンショックで頭ん中で思ってること全部口に出ちゃってるじゃないか」

 

「シヌ、変な妄想はよせ、そんなことするわけないだろ、キスしかしてないぞ」

 

「えーっ!!テギョンヒョン、シヌヒョンの身体でミニョにキスしたの!?それってシヌヒョンとミニョがキスしたことになるんじゃ・・・!」

 

驚いて固まっていたジェルミはスイッチが入ったように騒ぎ出した。

 

「ねえ、お兄ちゃんってば!」

 

入ってきた時からずっと左手を前に出し薬指の輝く指輪を見せているのに誰もそのことには触れてくれず、ミニョはちょっとだけ不満げな顔を見せる。

少しの間別世界へ行っていたシヌは我に返ると小さく咳払いをした。

 

「ミニョ、疲れただろ、とにかく上がって。お茶淹れるよ」

 

「そーそー、座ってゆっくりしてよ。お腹すいてる?いろいろあるよ。他に食べたい物があったら言って、すぐ買ってくるから」

 

「ほら、荷物なんか全部テギョンヒョンに運ばせればいいよ。これもリハビリだ、ミニョは何も持つな」

 

シヌ、ジェルミ、ミナムの三人は、足もと気をつけろよとミニョをエスコートする。

大量の荷物とともに玄関に取り残されたテギョン。

 

「おい、俺だって疲れてるんだ、おまえたち少しくらい手伝え」

 

騒がしく、そしてあたたかく迎え入れたみんなとの新たな日常が始まる。

 

 

 

 

。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 

 

 

 

 

こんな感じで1話追加しましたが・・・

 

うーん、どうかなー・・・?

 

 

 

ま、いいでしょう(自己完結 笑)

 

 

 

書きたいことはあるのに、考えすぎると内容が散乱して収拾がつかなくなるんですよね。

なので、これくらいがちょうどいいかなと。

 

 

 

 

 

さて、複数のお話を同時進行できない私は、頭を切り替えて次のお話に集中したいと思います。

 

 

 

それでは、また (*^▽^*)

 

 

 

 

 

 

 

『おまけのおまけ』

 

 

 

 

ベッドで上半身を起こしリハビリに励んでいるテギョンにミニョは安堵の眼差しを向けた。

 

「だいぶ筋力も戻ってきたし、もうちょっとで帰れそうですね」

 

「ああ、だが一番大事な部分のリハビリがまだなんだ」

 

「一番大事・・・喉ですか?」

 

「違う・・・・・・・・・ここだ」

 

深刻そうな顔でテギョンが指さしたのは自分の股間。

 

「ここのリハビリにはミニョの協力が必要不可欠なんだ。手伝ってくれるか?」

 

「はい、私にできることなら何でも!で、何をすればいいんでしょう?」

 

「そうだな、まずは服を脱いで・・・」

 

 

 

 

ミナムの「どこのリハビリしてたんだよ!」の言葉でジェルミの頭の中に浮かんだ妄想でした(笑)

 

 

 

                  

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