心の迷路 ― テギョン | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。


1つ前の記事でも書きましたが、他の書き手様とタイトルがかぶっていたので、タイトルを変更しました。

今度は大丈夫だと思うけど・・・(;^_^A

変わったのはタイトルだけでお話はそのままです。

すでにお話を読んでくださった方はそのままスルーしちゃってください。

どうもお騒がせしましたm(_ _ )m




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アフリカへ行っている時に乗っていたバスが事故に遭い、その衝撃で部分的に記憶を失ってしまったミニョ。

コ・ミナムの代わりにA.N.JELLのメンバーとして合宿所で生活していたことも、俺のことを好きになったことも、俺の愛の告白も、全部ミニョの記憶からは消えてしまっていたが、しばらく一緒に生活するうちに、あいつはまた俺のことを好きになった。

それはきっと、俺への愛があいつの中の深いところで種となって残っていたからだと思う。

忘れてしまった記憶という土の中で埋もれていた感情が、俺を求め芽を出した。

再び恋人という関係になった俺は、すぐ傍でその芽に十分な光と栄養を与えてやるつもりだったのに・・・・・・

すっかり怪我の治ったミニョは合宿所を出てアパートで一人暮らしを始めてしまった。

まあ、修道院に戻らなかったのはよかったが。なんせあそこは夜の外出が不自由極まりないからな。

忙しい上にいくら変装しても目立ってしまう俺。その俺が周りから邪魔されず、ミニョとゆっくりデートを楽しもうと思うと、外出は必然的に夜が多くなる。だからアパートに引っ越したのはいい判断だろう。

しかし問題は別のところにあった。それは俺がハンパなく忙しくなってしまったということ。

夜出かけようにも毎日帰宅が深夜では、いくら何でもミニョを誘うことはできない。あいつだって仕事してるんだ、俺もそれくらいの気遣いはする。

だから今日、久しぶりに早く帰れることが判った俺は、喜び勇んでミニョに電話した。


「はい、ごちそう作って待ってますね」


あいつの嬉しそうな声に俺の口元も緩む。

スタジオを出て鼻歌まじりでハンドルを握ると、ミニョのアパートへ行く前にシャワーを浴びようと、俺は一度合宿所へ戻った。が、自室へ行こうとした俺の足は、途中でピタリとその歩みを止めた。


「何でここにいるんだ?」


キッチンにはエプロン姿のミニョと、その横にはニコニコと満面の笑みのジェルミ。

ミニョは今頃アパートで俺が来るのを待ってるはずじゃあ・・・


「テギョンさん、おかえりなさい。ちょうど準備ができたとこです、上に行きましょう」


眉根を寄せ首を傾げる俺にミニョは笑顔を向けると、グラスを持ち、屋上へ続く階段を上って行った。

釈然としない気分のまま上へ行くと、テーブルにはたくさんの料理が並べられていた。


「お、うまそうじゃん」


「お皿、足りない分持ってきたよ」


そこへミナムとシヌもやって来て、みんなでテーブルを囲んだ。


「・・・で、今日は何のパーティー?俺たちの誕生日はまだだろ」


ミナムの言葉に、一斉に視線がミニョに向けられた。


「え?誰かの特別な・・・・・・大事な日、だったような・・・」


「ミニョ!何か思い出したの!?」


「いいえ、ただ何となく、そんな気がして・・・」


「何だよそれ」


「いいじゃないか、こうやってみんな揃うの久しぶりなんだし」


どうやらこのパーティーはミニョの発案らしい。

今日がメンバーの誰かの特別な日だと思ったミニョは、パーティーをしようとジェルミに持ちかけた訳か。


はぁ・・・


俺は深いため息をつくと、席を立ち、自室へと戻った。

パーティー大好きのジェルミに食べ物があれば幸せのミナム、ミニョに会えて嬉しそうなシヌにとって、名目は何でもよく、たとえ勘違いのパーティーでも気にしないだろうが、俺はそうはいかない。

今夜はミニョと二人で過ごすつもりだったんだ。アパートで食事をして、その後は朝までずっと一緒にいるつもりだった。それが訳の判らないパーティーに付き合わされるなんて・・・


「ごちそう作って待ってるって、場所が違うだろ」


俺はのほほんと座ってるウサギのブタ鼻をピンと指先ではじいた。






「テギョンさん、どうかしましたか?具合でも悪いんですか?」


ドンドンとドアが叩かれる。

ほっといたらそのまま壊されかねない勢いに、俺は不機嫌全開でドアを開けた。


「大丈夫ですか?横になってなくて平気ですか?」


ミニョは俺が具合が悪くなって部屋へ戻ったと思ったらしい。だったらそんな風に寝ている病人を叩き起こすような勢いでドアを叩くんじゃない、とひとこと言ってやった。


「何でもない」


「でも眉間にしわが寄ってますよ。何だか苦しそう」


「俺が悪いのは機嫌だ」


「あ、もしかしてお料理に嫌いなものでもありました?」


その調子じゃあ俺の機嫌が悪い理由には到底辿り着けないだろう。

ウサギと同じようにのほほんとした顔を見せるミニョに俺はムカついた。


「何なんだ、あのパーティーは」


「今朝起きた時、急に頭に浮かんだんです、今日ってすごく大切な日なんじゃないかなって。本当は・・・・・・テギョンさんのお誕生日、のような気がしたんです。でもさっき、ジェルミが違うよって教えてくれて。ダメですね私って、テギョンさんのお誕生日まで忘れちゃったなんて・・・」


は、なるほど、そういうことか・・・


俺はふつふつとわきあがる感情を抑え込むと、申し訳なさそうにしゅんと俯くミニョの手を掴み車まで引っ張っていった。

無言でハンドルを握り、無言のままミニョのアパートまで走らせる。

何も言わずに部屋まで送って来た俺を、怒っていると思ったんだろう。ぐっと歯を食いしばっている俺の顔がそう見えたのかも知れない。ミニョは不安そうな面持ちで俺を見るが、俺は何も説明せずに部屋のドアを開け、ミニョを中に入れた。

背後でバタンとドアが重い音を立てると、その音を合図に俺の身体を支配していたものが、理性から感情へと切り替わった。

俺はミニョの身体を強く抱きしめた。


「えっ、ちょっと、テギョンさん、どうし・・・んっ・・・」


ミニョは俺のいきなりの行動に驚いたようだが、俺は構わずミニョの唇を塞いだ。そのまま噛みつくように、貪るように、ミニョの唇を求める。

息苦しさからか多少抵抗していたミニョも、二人の呼吸が合うようになると身体から余分な力が抜けていった。

しばらくの間、柔らかな唇と舌を堪能した俺はミニョを抱き上げ、寝室へと向かった。


「・・・テギョン、さん・・・怒ってる・・・んですか」


「どうして俺が怒るんだ」


倒れ込むようにミニョをベッドへ放り投げ、すかさず覆いかぶさると、俺は揺れる黒い瞳を見下ろした。


「だって・・・怖い顔、してます」


「真剣な顔と言ってくれ」


確かに今日は俺の誕生日だ。他のみんなは誰も知らない、俺ですら忘れてた・・・いや、忘れようとしてた本当の誕生日。

合宿所にいた頃のことはすっかり忘れてるはずなのに、今日が俺の誕生日のような気がすると言ったミニョ。

今の俺の気持ちをどうしたら全部伝えられるだろう。

もう一度最初から始めればいいと思ったのに、ミニョの頭の奥底にある記憶のかけらがちょっと顔を覗かせただけで、嬉しくて息もできない。

消えたはずの俺との時間がミニョのどこかに埋もれていると思うと、そのひとつひとつを掘り出したくなる。

でもそれって当然じゃないか?俺にとってミニョと過ごした日々は、楽しいことだけじゃなく辛いことも全てひとつ残らず憶えてるのに、ミニョにはそれがないなんて。

それとも今のミニョを手に入れたのに、過去のミニョも取り戻したいと思う俺はワガママなのか?

それでも・・・どこか不安げな顔で俺のことをじっと見つめるミニョを見ていると、今はそんなことはどうでもよくなる。


「ミニョ、愛してる」


堪らなく愛しくて、かけがえのない存在。


「私も・・・愛してます」


俺の言葉にホッとしたような嬉しそうな、そして少し恥ずかしそうな顔を見せるミニョ。

ふっくらとした唇に何度も優しく口づければ、俺を求め背中に回されるミニョの手。

今はただこの温もりを全身で感じたい。

はやる心を抑えつつ、俺はブラウスのボタンをゆっくりと外していった。




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このお話は「好きになってもいいですか?」のその後のお話です。

前回の更新に続き、また誕生日ネタになってしまった・・・

しかもグンちゃんの誕生日過ぎちゃってるしーヽ(;´ω`)ノ



もともと今回のお話、書く予定はなかったんですが、3日の昼頃に「あ、何か書けるかも」って思って。

さすがに4日にアップは無理で、5日も無理で、今日になってしまいました。

いつも通り、の~んびりな私ですσ(^_^;)



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