好きになってもいいですか? 17 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

朝起きて、ご飯の支度をして、皆が起きてきて、朝ごはんを食べる。

お兄ちゃんとジェルミは取り合うようにおかずを食べ、シヌさんはお茶を淹れてくれて、テギョンさんは朝ご飯は食べずにお水を飲むだけ。

いつもと変わらない朝。

違うとすれば、私の口数がいつもより少ないのと、やたらとお兄ちゃんの視線が気になることくらい。

皆が出かけてしまえば私はこの家に一人で、掃除を済ませた後、ソファーに座ってぼんやりとテレビを眺めていた。



そういえば・・・



特に見たい番組でもなかったテレビを消すと、私は立ち上がって玄関を出た。

外に置いてある大きな物置。

主に古い新聞や雑誌、ダンボールなんかが置いてあるんだけど、私は昨日引っ張り出した週刊誌を片付けずに出したままだったことを思い出し、そこへ向かった。


家の中のものがある程度たまるとまとめてこの中へ入れておくみたいで、それほど人の出入りもないらしく、床には昨日私が読み散らかしたままの週刊誌や新聞が広がっていた。


開いたままのページ、テギョンさんの記事。


私は心の扉を閉じるように、開いていた週刊誌を閉じた。

散乱している新聞をまとめ、元あった場所に戻そうと歩き出した時、床にあった雑誌を踏んづけ、滑って転んでしまった。


「いったー」


思いっ切りお尻をぶつけた私は、痛めた場所をさすりながら、もう一度新聞をかき集める。転んだ時に近くに積んであったものまで崩してしまったらしく、片付け始めた時よりも余計に散らかってしまった新聞を拾い集めていると、一つの大きな見出しに目が留まった。



『A.N.JELL カン・シヌ 恋人の存在を発表』



そしてその後に続く記事に私は自分の目を疑った。



『相手の女性は同じA.N.JELLのメンバー コ・ミナムの双子の妹で・・・』



何?この記事・・・



「コ・ミナムの双子の妹って私のことよね・・・私?私がシヌさんの恋人!?」


何をどうしたらそんな話になるのか判らないけど、私はとにかくその記事を隅から隅まで読んだ。



『ミナムのミュージックビデオの試写会会場に現れた女性を抱きしめ、「俺の彼女です。内緒にしていた恋人です」と、突然恋人の存在を明かしたシヌ。

二人はミナムのA.N.JELL加入パーティーで出会い、その後デートを重ね、順調に愛を育んできたという・・・』



日付けはテギョンさんの記事よりも前の日付け。どっちにしても、今の私には記憶のない間のことで、何が何だか判らない。



私がシヌさんと?まさか、そんな・・・



この合宿所へ数回来ただけだと思っていた私は、皆と面識はあってもそれはあくまでお兄ちゃんの妹として、お兄ちゃんの所へ遊びに来たとか、そういう状況で顔を合わせただけだと思ってて・・・付き合うとか恋人とか、そんなことは夢にも思ってなくて。

それに、もし万が一・・・百万が一にでもそういう関係だったとして・・・どうして何も言ってくれないの?私が憶えてないからって・・・憶えてないならなおさら、そういうことは教えてくれてもいいんじゃない?

誰も・・・恋人であるなら、シヌさんが何も言わないのはどう考えてもおかしい。


混乱した頭のまま、私は何かもっともらしい理由を一生懸命考えて・・・

実はこれはドッキリとか、そういうバラエティー的な番組の中の出来事であって、もちろんそんなものに出演したことも私の記憶にはないけど、この古新聞の山の中に後日談とかいって、「あれはウソでした」みたいなノリの記事がどこかにあるんじゃあ・・・


私はそれらしい記事を探してみたんだけど、いたずらに床の上を散らかすだけで、どこにも最初の記事を否定するようなものは見つけられなかった。






物置の中を整頓し、どっと疲れた身体と依然として混乱した頭を抱えながら一人で晩ご飯を食べて、後片付けをして。

カチャカチャと食器を洗いながらも私の頭の中は昼間見た記事のことがちらついていた。



私がシヌさんの恋人?・・・まさか・・・



「ただいま」


「ひゃあっ!」


カチャンッ!


シンクの前でボーっと立っていた私は、誰かが帰ってきたことにも気づかず、急に背後から声をかけられて持っていたお皿を落としてしまった。


「ゴメン、大丈夫?」


振り返ると慌てた様子のシヌさん。


「は、はい、大丈夫です」


大丈夫、すべってシンクに落としちゃったけど、お皿は割れてない。大丈夫じゃないのは私の心臓の方。

驚かすつもりはなかったんだけど・・・と、申し訳なさそうなシヌさんの顔を見て、私の心臓はさっきよりも落ち着かない。

残りの食器を洗っていると、シヌさんが横でお茶の準備を始めた。

シヌさんの視線を感じて緊張しながら食器を洗い終わると、私はふうって息を吐いた。


「疲れた?お茶飲む?」


シヌさんが湯気の立つ赤いマグカップを置いてくれる。

シヌさんは優しい。最初から優しかった。突然一緒に住むことになった私を快く受け入れてくれたシヌさん。

もしそれが・・・その理由が、あの記事に書かれていたことに関係するなら・・・

ああ、でも・・・だったらどうして何も言ってくれないんだろう?

はっ、もしかして、私ってフラれた?だから私が憶えていないなら・・・ってあの記事のことは黙ってる、とか?

ぐるぐると頭が疑問符でいっぱいになってる。


「ミニョ、どうかした?」


黙ったままの私の顔を覗き込むシヌさんは、私のことを心配してくれているように見えて。


「あ、あのっ!」


私は自分一人ではとうてい答えの出ない疑問を、思い切ってシヌさんに解いてもらうことにした。





宜しければ1クリックお願いします

  更新の励みになります

        ↓

   にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
    にほんブログ村   ← 携帯はこちら



  ペタしてね    読者登録してね