You're My Only Shinin' Star (236) 秋空の下で 4 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

じりじりと照りつけるような暑い夏の太陽はいったいどこへ行ってしまったのかと首を傾げたくなる程、ここ数日で季節は一気に秋へと移り変わっていった。

それは単に陽射しの強さだけの問題ではなく、さらさらと肌を滑るように吹き抜けていく風の匂いや、雨が降った時の肌寒さ、賑やかになっていく虫の声や、色鮮やかに染まっていく木々、おいしそうに実っていく秋の味覚など、身体中で感じることのできるものだった。


ミニョはゆっくりと呼吸をした。


一陣の風がミニョのベールをふわりと撫でていく。

目を瞑り、葉と葉の擦れ合う木々のざわめきを聴きながら聖堂の大きな扉の前に一人で立つミニョに近づいてきた人物は、少しだけめくれ上がったベールの裾を元通りに直すと寄り添うように隣に立った。


「遅かったじゃない。」


ミニョはまだ目を瞑ったままで話しかける。


「院長様にも言われた、「遅刻ですよ、もう少し早く来なさい」って。」


クスッと漏れるミニョの笑み。


「来てくれてありがとう・・・お兄ちゃん。」


ミニョは閉じていた瞼をゆっくりと開くと、隣に立つミナムへ笑顔を向けた。


「俺がここにいること、驚かないんだな。テギョンヒョンに聞いたのか?それともヘイ?」


ミニョは首を横に振る。


「オッパもヘイさんも何も言わなかった。どうせお兄ちゃんのことだから、黙ってて欲しいって言ったんでしょ?」


「・・・・・・」


「でも・・・来てくれるような気がした。」


「どうして?」


「んー、何となく。」


「ホントはここに来ること、悩んでたんだ、でもヘイに引っ張ってこられた。」


「ヘイさんって・・・いい人よね。」


「俺はそう思ってるんだけど・・・そんなこと言うやつなかなかいないぞ。」


ミナムは心底驚いた顔をしている。


「でもいい人、でしょ?」


「どうしてそう思うんだ?」


「だってお兄ちゃんの好きな人だもん。」


「何だよそれ、答えになってないぞ。」


二人でクスクスと笑い合う。


「俺・・・・・・」


「ん?」


「ミニョに謝らないといけないことがある。」


「何?」


「ごめん・・・約束守れなくて。ミニョが結婚するまでずっと傍で護ってやるって、約束したのに・・・」


幼い頃にした約束。ミニョは憶えているか判らないが・・・

ミナムが隣へ視線を向けるとミニョは大きく首を横に振っていた。


「ううん、お兄ちゃんはずっと傍にいてくれたし、私を護ってくれたよ。」


テギョンへの想いを上手く伝えられず、傷つき悩んでいた時・・・

テギョンの怪我が心配で、アフリカから帰国を早めた時・・・

他にもたくさん・・・


避けられているような気はしていたが、それでも大事な時は傍にいて、声をかけてくれた。

ミニョは心の底からそう思う。


「そっか・・・」


ミナムは口元に小さな笑みを浮かべた。


「今日からはテギョンヒョンがずっと傍にいてミニョを護ってくれるな。俺、ミニョの相手がテギョンヒョンで本当に良かったと思うよ。きっと誰よりもミニョのことを大切に思ってくれてる。」


「お兄ちゃん・・・」


大きな瞳に涙が滲む。


「お、ミニョ、まだ泣くなよ。今泣いたらせっかくのその特殊メイクが台無しだぞ。」


「お兄ちゃん、酷い。」


ミニョがぷうっと頬を膨らませた。


「アハハ、冗談だよ。でもせっかくワンコーディーが綺麗にメイクしてくれたんだろ?涙ぐむくらいならいいけど、入場する時にあんまりボロボロ泣いてたら、まるで結婚するのを嫌がってるみたいだし、メイクが流れたらワンコーディーに首絞められるぞ。」


真剣な顔で力説するミナムにミニョはプッと噴き出した。


「そうやって笑ってろ。さあ、テギョンヒョンが待ってる、行こう。」


ミナムは右肘を軽く曲げる。

ミニョはその腕にそっと左手を絡める。


二人で同時に深呼吸をして。



そして・・・目の前の大きな扉が開かれた。




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