You're My Only Shinin' Star (189) 2度目のプロポーズ 1 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

ミニョの住んでいるマンションからは少し離れた場所にある深夜まで営業している大型スーパー。

深夜・・・というほど遅くはないが、いつもなら部屋でゆったりとした時を過ごしている頃。

普段こんな時間に買い物になど来たことのないミニョが、今日は鼻歌交じりでカートを押していた。


「玉ねぎ~、じゃがいも~、人参・ほうれん草~♪ 

        かぼちゃ~、大根~、人参・ほうれん草~♪」


即興の歌詞と同じ野菜を次々にカートの中へ入れていくミニョを見てテギョンが眉間にしわを寄せる。


「ミニョ、人参とほうれん草が二回出てきたぞ、一回で十分だ。いや、その一回ですらなくていい。」


テギョンが人参とほうれん草をカートから出そうと手を伸ばすとミニョは足をスッと速めてテギョンの手をかわす。


「普段あまり食べていませんよね。私が作って合宿所に持って行く時くらいは人参もほうれん草も食べて下さい。」


そのまま野菜コーナーの前を足早に通り過ぎる。


「この間の人参クッキーちゃんと食べただろ?」


「味はどうでした?」


「う・・・まあ、不味くはなかったが・・・」


テギョンにも食べやすいようにと色々と工夫して作った人参クッキー。

人参臭さがなく、甘さも控え目で思いの外食べやすかったが、ここで美味かったと言えばこれから何度でも作ってきそうで・・・

しかも徐々に人参の量を増やしていきそうな気がして。

最終的には人参だけで作ってくるんじゃないかなどという考えが頭をかすめ、美味かったとは口にできなかった。


口を尖らせ顔を逸らすテギョンにミニョは笑顔になる。口では何と言っていても、クッキーを全部食べてくれたことが嬉しかった。

目の前で一口かじった時のテギョンの顔は、「意外にいける」という表情をしていた。ミニョはそれを見てテギョンに気づかれないように小さく笑った。

ミニョをマンションまで送って行く車の中でお腹がすいたからと、ミニョの作って来たクッキーを食べた。

いや、正確には食べさせてもらった、と言った方が正しいか。

ミニョに包みを持たせ、テギョンはハンドルを握る。時々「あ」と口を開けては催促し、ミニョがその口へクッキーを入れるとモグモグと食べる。

テギョンの口からは「美味い」とも「不味い」とも言葉は出なかったが、テギョンの様子から美味しかったんだと判断すると、ミニョはクスクスと込み上げる笑いを堪えながら、テギョンの口へとクッキーを運んだ。


今度はほうれん草で作ろうかな・・・


隣を歩くテギョンをチラリと見る。

伊達眼鏡をかけ、キャップを目深に被っているテギョンの口はまだ少し尖っているが、ミニョはその少し拗ねたような表情が大好きだった。




「オッパ、トイレットペーパーとお米も欲しいです。」


「かさばる物ばかりだな、いつもこんなに買うのか?」


「いつもはここにはバスで来るんで、こんなにいっぺんに買うことはないんですけど、今日はオッパの車ですからついでに買って行こうかなぁ~って思って。」


大きなカートにトイレットペーパーとお米も乗せて。


「前にもこうやって夜遅くに皆でスーパーに行きましたね。」


ミニョの手にはビビン麺の袋が。

テギョン、シヌ、ジェルミの三人でCMの真似をして店の中で踊って見せてくれた。


「もうやらないからな。」


あの時のことを思い出してクスクス笑うミニョにテギョンは口元を歪ませる。


「そういえばこの間撮ったCMのコーヒー、合宿所にたくさんありましたけど他のは減ってたのにブラックだけ全然減ってなくて・・・オッパは飲まないんですか?」


「別にCMで飲んだからって俺がブラックの担当って訳じゃないし、放っておけばそのうち誰かが飲むだろう。」


あの日控え室にハン・テギョンが姿を現したことをミニョには話していなかった。あの男の会社の商品だと話す必要もないし、あの男の名前を出したくなかったから。

お土産にと置いていった段ボールに入ったたくさんの缶コーヒー。

事務所にも同じ物が大量に届いており、結局合宿所へ持って帰ることになった。

ジェルミとミナムは喜んでいたが、ブラックだけは未だ手付かずの状態で・・・


あの時のハン・テギョンの反応。

テギョンを見ても驚いた様子は見受けられなかった。


以前会った時には俺を見てもA.N.JELLのファン・テギョンだとは気づかなかったみたいだが、未だにミニョの恋人=A.N.JELLのファン・テギョンだと気付いていないのか?

俺にそっくりな人を知っていると言っていたあの言葉は、本当にただ似ているだけだと思っているのか?


交際発表をした今、誰に知られても問題などないし、どんな反応をされても関係ないのだが、合宿所にいつまでもあるブラックの缶コーヒーを見る度にあの男を思い出し、何となく複雑な気分になる。

あの男がすぐ近くにいるような気がして・・・

ミニョの前に現れたからといってどうということはない筈なのだが、ミニョに近づく男は出来るだけ少ない方がいい。


控え室でのハン・テギョンとの会話の中で何か引っかかるような気がしているのだが、それが一体何なのかが判らないテギョンは、もやもやとした気分のままスーパーの中を歩いていた。




。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆



― ピグのお部屋より ―


君の瞳に乾杯ジュース、チーズ、かき氷、うさぎのベリーパフェ、うさぎのホットラテ(ピンク、ブルー)、うさぎのお月見団子×2、プーさんバルーン、スヌーピーバルーン、食パン、お主も悪よのうまんじゅう、森のくまさんクリームパン、アメリカンチェリー付きシェイク、メロンパン、ココア、スウィート白いちごケーキ


更新が遅いのでここでのお礼も遅くなってしまいますが、いつもいつも本当にありがとうございます♪



さて、ここから先はおまけです。

最近続いているあのお話。

楽しんでもらえるかな?



*:.。。.:゜ *:.。。.:゜ *:.。。.:゜



ミニョに内緒でゲームを始めたテギョン。

本当は黙っていてミニョを吃驚させたかったが、部屋へ行けないのでは仕方がない。

ミニョに自分もゲームを始めたことを話し、テギョンはようやくミニョの部屋へ行くことができるようになった。

ミニョからレクチャーを受け、少しは遊び方を覚えた。

今では二人で色々な場所へ出掛け、バーチャルな世界とはいえデートしているような気分に浸っていた。


出掛けた先で見つけた星型の風船。


『オッパ、見て下さい、星です。これはオッパですね♪』


『よし、俺だと思って大事にしろよ』


ミニョに星型の風船をプレゼントした。


『では、これは私だと思って下さい』


ミニョはうさぎの風船をテギョンにプレゼントする。


さすがにブタ鼻のうさぎではなかったが、自分の部屋でうさぎの風船が揺れ、ミニョの部屋で星の風船が揺れている。

ミニョのようにピョンピョンと飛び跳ねて喜ぶことはしなかったが、パソコンの前でテギョンは口の両端を上げていた。


ある日の夜、ログインしたテギョンは部屋の異変に気づいた。


「うさぎがいない・・・逃げたのか!?」


昨日まで部屋にあった筈のうさぎの風船が消えている。

ただの風船なのだから逃げる筈はないのに、部屋のどこを探しても見つからない。


『おーい、ミニョ、うさぎが逃げた』


慌てたテギョンはうさぎの居所を知らないかとミニョに聞く為、ミニョの部屋を訪れた。すると・・・


『あ、星がない!』


部屋にミニョはおらず、星の風船も消えていた。

テギョンの頭に浮かんだのは・・・




テギョンの部屋に来たミニョは、うさぎの風船がないことに愕然としている。


『うさぎの風船がない・・・私を捨てちゃったんですか?酷いです・・・

オッパのばかぁ~~~~っ。私も星の風船捨てちゃいます。え~いっ!!

さようなら~オッパァ~~・・・』


星の風船はゆっくりと夜空へと消えていった。




「ミニョ、俺は捨ててなんかいないぞ、昨日まではちゃんとあったんだ~~」


頭を両手で抱え、合宿所の部屋の中をうろうろと歩き回るテギョン。



風船をプレゼントしてから一週間後の出来事だった。




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