You're My Only Shinin' Star (106) こっちが本命? | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

とある会社の昼休み。数人の女性社員がパソコンを見ながら何やら騒いでいる。


「えーっ、これってこの前のとは別の人だよねぇ。」


「だと思うよ、だって髪の色違うし。」


「あー、ショック。」


「こっちが本命!?って書いてある~」


「何か二人で買い物って感じしない?」


「じゃあやっぱりこっちが本物の彼女?」


「テギョンさんと買い物なんて羨まし~。」


「僕がどうかしましたか?」


テギョンという名前を聞き、女性社員の後ろからハン・テギョンが声をかけた。


「あ、気にしないで下さい。テギョンさん違いですから。」


ハン・テギョンがパソコンを覗くと、後ろ姿の男性と横顔の女性のツーショット写真が載っていた。

彼女たちがテギョン違いというからには、そこに写っているのはA.N.JELLのファン・テギョンなんだろうと思うのだが、後ろ姿を見ただけではよく判らない。こんな写真でよくファン・テギョンだと判るね?と聞くと彼女達からは、ファンなら当然という返事が返ってきた。


「あれ?この人・・・」


「おーい、テギョン、ちょっと来てくれ。」


ハン・テギョンが画面のカトリーヌを見て首を傾げていると、上司に呼ばれ一時思考を中断させることになった。






「あっ、アフリカの!」


ハン・テギョンが車を走らせながらパソコンで見た女性の顔を思い出し、大声を上げた。

ミニョの一時帰国の後再びアフリカへ行ってから、カトリーヌはミニョの通う施設へはほとんど顔を出していなかった。したがってカトリーヌとハン・テギョンが顔を合わせることも数えるほどしかなく、ハン・テギョンもカトリーヌのことをミニョの友達としてしか記憶しておらず、顔もすぐには思い出せなかった。


「へぇー、世間て狭いんだなぁ。あんな近くに有名人の彼女がいたなんて。でもミニョちゃんってファン・テギョンのファンだったよな。友達が彼女だったなんて知ったら凄くショックじゃないかなぁ。それとも知ってたのかなぁ。」


ハンドルを握りながらそんなことを考えていると、前方に見覚えのある人影を見つけた。


「ミニョちゃん!?」





ミニョは明洞聖堂へ行く為にバス停でバスを待っていた。

バス停に早く着き過ぎたミニョがボーッと立っていると名前を呼ばれ、振り向くとそこにはハン・テギョンの姿が。

ハン・テギョンは再び病院でミニョに会った時に携帯の番号を聞いたがやんわりと断られていた。が、そうなるとミニョに会うのは偶然を待つしかない。その偶然があっさりと目の前にやって来た。


「こんなところで会えるなんて世の中って意外と狭いんだね。」


偶然の出会いに感謝しながらバスを待つ間二人でベンチに座り、たわい無い話をしていた。


「カトリーヌさんて今韓国にいるの?」


「はい、よくご存知ですね。」


「ネットでちょっと見て・・・」


「ああ・・・あれですか・・・」


― やっぱりネットに流れちゃうと皆が見るのよね・・・どうしよう、カトリーヌさんに迷惑かけちゃう・・・


俯いてため息をつく沈んだ表情のミニョの顔を見て、例の記事にショックを受けているなら二人の仲を知らなかったんだと思い、ミニョの肩にポンと手を置くと明るい声で言った。


「元気出しなよ、彼女だってきっと悪気があって黙ってたんじゃないと思うよ。」


「はい?」


「ほら、言いたくてもなかなか言えないことってあるし、有名人が彼氏だなんて特に言い辛いんじゃないかなぁ。」


「?」


「きっとミニョちゃんにもちゃんと話すつもりでいたと思うよ。でも吃驚したよ、アフリカで何度か会ったことのあるカトリーヌさんがファン・テギョンの彼女だったなんて。」


ミニョはこの時やっと気づいた。ハン・テギョンがテギョンとカトリーヌのことを誤解しているということを。ネットの写真を見る限りではそう思われても仕方ないのかも知れないが、そう思うとやっぱり三人で買い物に行ったのはマズかったかなと落ち込んでしまう。

自分がテギョンの恋人として見られないことよりも、カトリーヌに迷惑がかかるんじゃないかと思い思わずため息が出てしまう。

そんなミニョの様子を見てハン・テギョンはやっぱりショックだったんだと一人頷きミニョの背中をポンポンと軽く叩いた。

暫く二人共何も言えず黙ったままでいたところに、ほとんど同時に二人の携帯が鳴りそれぞれ電話に出た。


「はい、あ、先輩すみません、すぐ行きます。」


「もしもし・・・あ、オッパ・・・えーっと、事務所の近くのバス停です。」


ハン・テギョンは仕事の途中だった為ミニョに手を振ると慌ててすぐ近くに停めてあった車へ乗り込む。が、すぐには車を走らせずドアミラーに映るミニョを見ていた。

バス停に佇むミニョの前にバスではなく一台の青い車が停まった。ミニョが助手席へと乗り込む。

運転しているのは男のようで、サングラスをかけていて顔ははっきりとは見えないがこの間病院でミニョに兄ですと紹介された男とは違うようだ。その男はミニョにシートベルトを着けてやると車を走らせた。


「へえ、あれがもう一人のお兄さんか。」


病院で会った時のミニョとミナムの会話が聞こえていた彼はミナムが 『ヒョン』 と言っていたのでミニョにもう一人兄がいると思い込んでいた。


「仲が良いんだな。」


ハン・テギョンの車の横を通り過ぎる青い車の中で嬉しそうに笑うミニョの顔がとても印象的に映った。




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