芸能人大運動会 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

番外編です。完全にお遊びです。本編とは関係ありません。

時間の流れとしては、本編のかなり後の話になります。


     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆


「おーい、今年もきたぞ運動会の出場依頼。」


合宿所のリビングで皆がくつろいでいると、マ室長がニコニコしながら入って来た。


「運動会?」


「そう、芸能人大運動会。実は俺、毎年楽しみなんだよね~」


ソファーに座ってアイスを食べているミナムに、隣で同じようにアイスを食べているジェルミが説明する。


「いつもテギョンヒョンは出ないって言って断ってるから、俺とシヌヒョンの二人で出てるんだけどね~」


「ふ~ん。」


「ミナムは初めてだな、結構楽しいぞ。」


キッチンのテーブルでお茶を飲んでいるシヌが微笑みながら言う。


「今年は何としてもテギョンに出てもらおうと、ディレクターも必死だぞ。」


マ室長が眼鏡の奥の小さな目をキラリと光らせる。


「俺は出ない。」


「まあそう言うなよ。種目だけでも聞いてくれ。」


マ室長は持っていたカバンの中から一枚の紙を取り出すと、それぞれの競技種目を読み上げた。


「ミナム、ユ・ヘイと二人三脚。」


「お!ヤッター、絶対出る!」


「ジェルミ、パン食い競争。」


「よーし、今年も一番だ。」


「シヌ、騎馬戦。」


「フッ・・・今年も勝ちだな。」


「テギョン、・・・ん?何て読むんだ 『High!Jump!』 ・・・ハイジャンプ?走り高跳びのことか?」


「高跳び?そんなの去年まで無かったよ。」


「ああ、今年からの新種目みたいだな。ディレクターもテギョンに出てもらおうと考えたんだろ。潔癖症のテギョンにはパン食い競争なんて無理だし、二人三脚も、騎馬戦も無理だろ。集団競技は向かないし・・・その点、高跳びなら個人競技だ、高いバーを華麗に跳ぶところを映したいんじゃないか?綺麗なフォームで高いバーを華麗に跳ぶテギョン。きっとミニョさんも喜ぶだろうな。」


「ミニョが喜ぶ?」


マ室長のミニョという言葉にテギョンがピクンと反応する。


『あんな高いバーを跳べるなんてやっぱりオッパは最高です!』 


テギョンは、大喜びしながら抱きついてくるミニョの姿を想像し・・・


「仕方がない、今年は出てやろう・・・」


低い声でそう言うと、口の片端を上げてニヤリと笑う。


「よし、決まりだ。運動会までは約一ヶ月、リハーサルなしの生放送、本番一発勝負だ。怪我しない程度に練習しといてくれよ。」


― よし、やると決めたからには手は抜かないぞ。たとえお遊びのような番組でも負ける訳にはいかない。誰よりも高く跳んでやる!


一位になった時のミニョの喜ぶ姿を想像し、次の日からテギョンはメンバーに内緒で高跳びの練習を始めた。


          ☆          ☆          ☆


そして運動会当日。

合宿所のリビング。一人テレビの前でソファーに座り、始まるのをワクワクしながら待っているミニョ。


「あ、始まりました。」


まずはジェルミ。スタートの合図とともに猛ダッシュで走り出すと、あっという間にパンの下まで行き、一度のジャンプでパンを咥え、後続に大差をつけてゴール。


「さすがジェルミ、食べ物が絡むと誰にも負けませんね。ぶら下がったパンを食べるなんて、これはオッパには無理な競技ですね。」


次はミナム。ミナムの腕はしっかりとヘイの肩を抱き、ヘイの腕は・・・走るたびに笑顔のヘイの肘鉄がこっそりとミナムの脇腹にキマる。


「お兄ちゃん・・・きっと痣になりますね・・・でもあんなにうれしそうに・・・。私もオッパと二人三脚してみたいな~」


次はシヌ。右へ左へと指示を出しながら相手チームのハチマキを何本も取って行く。顔にはいつもの微笑みを絶やさず・・・


「シヌさん、取ったハチマキの数も凄いですが、ずっと微笑んだままというのが凄いです。オッパだったらきっと一睨みで相手が逃げて行きますね。あ、でもそれではハチマキが取れません。」


最後はテギョン。高いバーを華麗に跳び超える姿を想像しながら待っているが、騎馬戦の後、玉入れ、綱引きなどの種目が続き、なかなか高跳びが始まらない。


「オッパの高跳びはいつ始まるんでしょう。」


ミニョが首を傾げながらテレビを見ていると、画面には最後の競技種目の四十人大縄跳びをやっていた。


「あれ?終わっちゃいました。オッパの高跳びは?」


ミニョはソファーに座ったまましきりに首を傾げていた。


          ☆          ☆          ☆


夜、ミニョが録画しておいた今日の運動会をもう一度見ていると、皆が帰って来た。


「お帰りなさい、テレビちゃんと見てました。ジェルミ、凄いですね。お兄ちゃん、薬塗りましょうか?シヌさん、さすがです。オッパは・・・」


ミニョに出迎えられご機嫌のジェルミ、ミナム、シヌ。テギョンは・・・何故か顔を赤くし、口を尖らせ、ミニョから顔を背けるようにサッサと二階へ行ってしまった。


「オッパ、待ってください。私ずっと見てたんですけど、高跳びやらなかったみたいで・・・オッパ?」


テギョンの後を慌てて追うミニョ。


テギョンの種目は 『High!Jump!』 ・・・

「ハイジャンプ」 ではなく 「はいっじゃんぷっ」 と読み、各チーム四十人の大縄跳び・・・

他人に、触れることも触れられることも苦手なテギョンの為に、番組側が用意したテギョンのポジションは・・・大縄を回す役。

つけっぱなしのテレビにはミニョが録画しておいた映像が流れ続け・・・

画面には顔を真っ赤にしたテギョンが、不機嫌オーラ全開で必死に縄を回している姿が小さく小さく映っている。

High!Jump!という名前にもかかわらず、一度もジャンプすることなく、テギョンの初めての芸能人大運動会は幕を閉じた。


     *     *     *     *     *     *     *


前回のパンストが意外にも多くの方に読んで頂けたみたいで(笑)

今回はどうでしょう。楽しんで頂けましたか?




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