初の番外編です。完全にお遊びです。本編とは関係ありません。
時間の流れとしては、本編のかなり後の話になります。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「どうしたんだ二人共、そんなとこに突っ立って」
シヌが地下にある練習室から階段を上がって来ると、キッチンの隅で突っ立っているジェルミとミナムを見て声をかけた。
「あれ、ミニョ来てたんだ久しぶ・・」
キッチンの椅子に座っているミニョにシヌが声をかけようとすると、ジェルミに後ろから口を塞がれた。
「しぃーーっ、シヌヒョン、静かに。」
ジェルミはそう言いながらシヌの口を塞いでいた手を離し、こそこそとキッチンの隅に引っ張って行った。
「何してるんだ?」
小さな声でシヌが聞くと、ミナムがリビングの方を指差した。リビングではテギョンがキッチンに背を向けソファーに座っている。
「テギョンがどうかしたのか?」
「喧嘩してるみたい。」
「喧嘩?何で?。」
「う~ん、どうも今日二人で出かける約束してたみたいなんだ。でもテギョンヒョン昨日から風邪気味だったろ、だからミニョが今日は出かけないって。俺もミナムに聞いた話だから、詳しいことは判んないんだけどね。」
「ジェルミ、それだけ判れば十分だ・・・」
シヌはミニョの様子をこっそり窺う。
「携帯?メールしてるのか?」
「さっきから二人共、こんなに近くにいるのに話もしないでずっとメールしてるんだ。」
ミナムが呆れた様にテギョンとミニョを交互に見た。
『風邪気味なんですからゆっくり休んで下さい。』
『たいしたことはない。少しくらい出かけても大丈夫だ。』
『ひどくなったらどうするんですか。』
『その時はミニョに看病してもらう。』
『・・・そんなこと言ってもダメです。』
『この間も俺の急な仕事でオフがつぶれた。』
『それは仕方がありません。』
『今日は絶対出かける。』
『ではお一人で出かけて下さい。』
『俺一人で行ってどうする。』
『ですから今日はお部屋でゆっくりして下さい。』
静まり返った合宿所に、カチカチとメールを打つ音と、メールの着信音だけが響いている。
「何か空気が重いな・・・で、俺達いつまでこうしてるんだ?」
シヌが大きなため息をついた。
「俺達も何か動けなくなっちゃって・・・」
ジェルミとミナムも大きなため息をつく。
『せっかくのオフなんだから、今日はミニョと出かける。』
『そんなこと言うと私帰っちゃいますよ。』
『なあ~、ミニョ~』
『甘えてもダメです。』
『おい、ミニョ!』
『怒っても無駄です。』
テギョンの口は尖ったまま、ミニョの頬は膨らんだまま、こう着状態が続く。
『そんなに私の言うこと聞いて下さらないなら、最後の手段に出ますよ。』
『な、何だ?』
『私には辛い事なので、この手は使いたくなかったんですが・・・』
『一体何をするつもりだ。』
『オッパがお部屋で休んで下さるまで・・・・・・私、パンストします!』
「あっ!」
ミニョの短い叫び声がキッチンに響く。暫くの沈黙の後・・・・・・
「ぶっ・・・くっくっ・・・」
リビングにいるテギョンが噴き出し、拳を口に当て笑っている。
「パンスト?ハンストだろ・・・くっくっ・・・・・・。判った、俺の負けだ。今日は出かけるのはやめた、部屋でゆっくり休むことにしよう。・・・ミニョ!」
テギョンが振り向きキッチンにいるミニョを見る。ミニョも振り向きリビングにいるテギョンを見るが、その顔は真っ赤だ。
「メールの打ち間違いは相変わらずだな。」
「すみません・・・」
立ち上がってお互いに歩み寄る。
「ミニョがいれば場所はどこでも構わないな。俺は部屋に行く、ミニョは傍にいてくれるんだろ?」
「はい、今日はずっとオッパと一緒です。」
テギョンとミニョは笑いながら階段を上がって行った。
キッチンの隅に残された三人。
「結局、何だったんだ?」
「テギョンヒョンとミニョの仲のいいとこ見せられただけだろ。」
「俺ミニョと話もしてないよ~」
揃って大きなため息をついた。
* * * * * * *
こんな感じになってしまいました。私にしては珍しく、まるっきりの思いつきです。
少しでも楽しんで頂けたでしょうか?
宜しければ1クリックお願いします
更新の励みになります
↓