私は、中国で日本料理店を経営する総経理と言う仕事をしています。
総経理とは日本で言えば、社長と言う意味になりますので、現地法人の代表と言う事になります。
会社設立当初、一番の問題現地のスタッフの中で誰に責任者として動いてもらうのか?
中国語が堪能ではない私にとっては、そう言った現地での役所への申請やいろいろな取引におけるやり取りは、どうしても現地スタッフに任せる事になりますから、そのような現地スタッフの責任者が必要になるわけです。
ですが、皆さんもご存知の方が多いかと思いますが、簡単に誰にでも任す事が出来ないのが、中国ですよね。
そこで、誰を信用してもよいのか?が今後会社にとっては大きな問題となります。
現に、私の知り合いの中には、中国人のスタッフに簡単に任せた事によって会社が全く上手く行かなかったり、大金をごまかされたりと言うケースを聞いていますから、なおの事、この部分には慎重になったんです。
そんな事を考えながら、責任者候補を選び、開店に向け準備を進めて行くことになりました。
その準備の中で、いろいろとスタッフとの交流の中で、正式に責任者を選び出そうと考えたのです。
開店準備をある3人にそれぞれ、違った仕事を与え、彼らの進行状況をみながら、開店準備をしていきました。
Aさんは真面目そうですが、時々、訳のわからない事を言うタイプで、一番の問題は報告。連絡、相談が苦手と言う事でしたが、彼には店舗の内装や食材などの調査を担当してもらいました。
Bさんはすごく気を使ってくれて私に対していつも丁寧で連絡も頻繁に出来るタイプでしたので、会社設立などの役所への申請などを担当してもらう事にしました。ただ、彼は少し遊びが好きなところがあり、どちらかと言えば、格好をつけるタイプです。
Cさんは明るく、元気で、頭がよいタイプでしたので、お金の管理を中心に担当し、帳簿などを担当してもらう事にしました。ただCさんは少し短気なところがあるように感じていました。
と言うことでこの3人によって会社の設立や店舗の開店準備を進めて言ったんです。
では最終的にこの3人の中で誰を最終的に一番の責任者としたのか?ですが
実はAさんです。
私が、Aさんを責任者として決定した大きな理由は「謝る」 と言うことです。
彼は報告、連絡、相談があまり出来ないタイプでしたから、当初、私から、何度もそのことに対して注意を受けていました。
しかし、Aさんはその都度、「すみません」 と言って謝るんです。
実は、Bさんにも違うことで、注意をしたことがあるのですが、おおよそ、そのような場合に帰ってくる言葉は言い訳でした。
Cさんも同じように注意されると一応は「ごめんなさい」 と言葉には出しますが、顔をみると心から納得したのか?と言えば少し違うような顔をしたのが私には気がかりだったんですね。
つまり、Aさんは仕事にとって一番重要な報告、連絡、相談が一番苦手で、当初は問題が多かったのですが、私の注意を忠実に聞く事によって、その悪い部分が少しずつ解消されていったのです。
それには何度も注意をした記憶があるのですが、次第に改善されたのです。
今では、何か連絡をすれば、必ずすぐに返事が来るようになり、何か相談ごとがあれば、すぐに報告し相談します。
以前は独断で判断してしまう事もあったのですが、今は多くの場合に、相談してくるようになりました。
Cさんについては根が真面目です。更には自分の事を認めて欲しいと感じるタイプですから、私の指示に何とか答えようと一生懸命してくれます。
お金の管理は実は一番重要な仕事です。
いい加減な事では大きな問題があります。
更には、お金の管理の中でごまかしや、搾取などの問題を引き起こさないためにも、お金に対して真面目でなければなりません。
その点、Cさんは領収書の確認、定期的な私への報告、お金の銀行からの出し入れの私への許可などお金に関する事には私を満足させるだけの仕事をしてくれています。
ただ、会社全体の事を考えると人間的にAさんが最適だと判断し、私はAさんに会社の責任者に任命したのです。
彼は私が、日本に滞在している間、または政府とのやり取りなど会社のために休みも取らず、一生懸命やってくれています。
時には未だに私から注意をされることもありますが、その時は今でも 「すみません」と素直に反省することが出来ます。
そのこともあり、周りからの信頼もあり、ある私の中国人の友人はAさんのことについてこんな事を私に言って来ました。
その中国人も飲食店を経営しているのですが 「ねえ、馬場さん、Aさんて本当に頑張っているね。馬場さんのいない時もいるときもいつも変わりなく、頑張っているんだけど、どうしたらあんな風に育てる事が出来たの?私の店舗の責任者は私がいないと少しサボったりいい加減になったりするんだけど、羨ましいです。」 と。
私はその中国人に言いました。
「Aさんは私の事を本当に信頼してくれています。だからいつも注意をされたときにも、ごめんなさいと言って反省し、常に向上しているんです。だから私もAさんのことを本当に信用しています。その信用するって事がAさんにも伝わり、Aさんは更に頑張ってくれているんですよ。」 と。
もちろん、私も中国の事ではわからない事が多く、思い違いや、間違った意見を言ってしまうことがあります。
そんなときには、私もスタッフには素直に 「ごめんなさい」 って謝るようにしています。
その「ごめんなさい」 と言う謝る心が今、私とAさんの中で信用と言う絆を与えてくれているんです。