我々の少年たちは決して救世主なんかじゃない…
ただの少年少女だった。
健の両親は離婚した…
1969年四月
健(たける)が生まれたのは…岡山県津山市
母の兄が居る広島県福山市にやって来た。
ここから、福山時代が幕を開ける。
桜
が咲いていた…
この時代には何処にでもあった二宮金次郎の像が左手に見えた…
桜の花びらが…肩に乗っかっていた…
担任の先生に連れられて…
廊下を歩いた…
木造の古い校舎
だ…
ギシギシいってる…
なんて、喋ればいいんだろう。
「始めまして…」
「おはようございます」
教室が近づいてくる…
なにやらザワザワ、
五年四組…ここが新しい教室だ…
福山市立樹徳小学校五年四組、
担任の先生が
「今日から、皆さんのクラスメイトになる○○健君です」
自己紹介を促されたが…
すぐに口が開かない…
何を言ったかも全然覚えていない…
あがっているのか…自分で自分に問いただす。
イヤ、余裕がない…
深呼吸をする…
ゆっくりと教室を見渡す…
一番に目に飛び込んできたのは…
美少女の魅力的な瞳
…
唾を飲み込む…
こういう時に使う言葉なんだなぁ~とぼんやり考えていた。
先生が…
「健君はUさんの席の隣
が空いてるから…
あそこに座りなさい…」
凛とした声でもなく、優しいでもなく、その中間というか
遠くで話しているのに…心の中までしっかり届く声だった…
返事をしたような…
心の中で言ったような「ハイッ」
もう、夢の中だった
あの澄んだ瞳の子の隣の席…
足が前へ進まない…感じがするが…
確かに近づいている…
軽く頭を下げた
…
「よろしく…」ぐらい言えよと…自分の心の恥じらいに…
イライラしていると…
「よろしく」と声を掛けられた…
またしても、頭を下げただけ…
自分はこんなに照れ屋じゃなかったのにと…
椅子を引いて座った…
初恋の女性とは全然違うタイプだった…
しかし、子供心に…恋をした…
一目ぼれだった…
そして…つ・づ・く…