何故、私が音楽科における「言語活動」に
ひっかかるものを感じてしまうのか。

それは、現行の学習指導要領「総則」で
言語活動が語られている部分における「表現」が、
音楽をはじめとする芸術活動における「表現」とは
異なっているからです。

「総則」には、「表現力」という言葉が
以下のように書かれています。
(①~④は、便宜上、私が付けた番号です。)

 ①基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,
 ②これらを活用して課題を解決するために必要な
  思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,
 ③主体的に学習に取り組む態度を養い,
 ④個性を生かす教育の充実に努めなければならない。

そして、この続きに、「言語活動の充実」は登場します。

 その際,
 ①生徒の発達の段階を考慮して,
 ②生徒の言語活動を充実するとともに,
 ③家庭との連携を図りながら,
 ④生徒の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。

それぞれの①から④は、対応していそうで、していませんが。
(だったら書くな!?)

要するに、学習指導要領の基本的なスタンスは、
「言語活動は、課題解決に必要な思考力、判断力、
表現力を育むためのものである」ということです。

つまり、この場合の「表現力」は、
「思考力」「判断力」と並ぶ課題解決のための能力であり、
いわゆるPISAなどの「学力調査」における
「表現力」のことを言っているのです。

別の言い方をすると、学習指導要領の「総則」では、
「言語」について、非常に限られた意味でしか語っていない。
ざっくり言うと、そこに違和感を感じるということだと思います。

(つづく)