あの海沿いは僕たちの思い出の場所で
一年中行ってた
まだまだ一緒にいたいのに帰りたくなくて手を繋いで歩いたり
砂浜に絵を描いたり
夏は水着じゃなくて着替えもないのに君に手を引っ張られてびしょびしょになりながら水掛け合ったりして家に帰ってから怒られたんだっけ
喧嘩したら絶対そこに行くからすぐ見つけられてだからすぐ仲直りして
また涙が止まらなくなった
絶対変な人に思われてる
そろそろ帰ろう
そんな簡単に会えるわけないと思ってた
「雅紀?」
え
「しょ…ちゃ…」
もう涙は溢れて止まらなくてうれしくて君に抱きついてずっとずっとその名前を呼び続けた
「会いたかった…」
その一言でまた涙が止まらなくなっちゃって
一体どんだけ泣いてたんだってくらい泣いてやっと落ち着いてきた頃
お互いなんて話し始めたらいいか分かんなくて顔をじっと見つめて思わず笑った
あぁ、雅紀だ
あぁ、しょーちゃんだ
それだけでなんか幸せだった
それからいっぱい話をした
ブログの写真は妹で、妹の子供だって
結婚しようと思ったことがなかった、君以外の誰ともかんがえられなかったって
探しても見つからないならこっちからどうにかしなきゃって思ってブログに足跡を残した
まさか、ほんとに見つけてくれるとは、見つかるとは思ってなかったって
ようやく暗闇に一筋の光が舞い込んできたような気がした
それからすぐに僕の家に来て
付き合い始めて
一緒に暮らすようになって
指輪まで付けて
再会してから何年経っただろうか
あの海沿いは今でもよく行く場所で
あのときと変わらないことしかしてないけど
ずっとずっとこんな日々が続けばいいなって帰り道いつも思って、また愛してるって言うんだ
fin.