ありふれた言葉はきっと

いつの日か色褪せて

遠い過去に紛れてゆくけど

重ね合った指がそっと

繋いでいくその熱は

凍える日も胸暖める











Sside

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しょーちゃん、元気ですか?ちゃんとご飯食べてますか?休んでますか?
もうそろそろこっちでは桜が満開になりそうです。しょーちゃんとお花見がしたいなぁ

雅紀
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そう届いた雅紀からのメールを見て、また1年が経つのかと雅紀と会えない日を寂しく過ごしていた。

確かに海外へ長期の出張になることは承知していた。雅紀も承知の上で日本で仕事を続けることを選択したのだ。俺も雅紀も納得していた。






しかし








しかしながらあれから何年経った?



何年日本に帰れずにいるんだ?







仕事柄そう簡単に長い休みとることは不可能だ。幾度となく休暇申請を出したが結果的に日本に戻るのが難しい日数しか休暇が貰えないという事態であった。
いや、そもそもこんな短い休み休暇とよべるほどのものではない。
いつになったら日本に戻れるのだろうか










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雅紀、俺も早く日本に帰りたいです。
雅紀とまたデートがしたい

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雅紀といくら電話してもメールしてもこの寂しさは紛らわすことはできない。
雅紀としたいことをメールで送ることしか、寂しいことを伝えることしかできない。会ってあの身体の体温を感じたい。雅紀をもっと感じたいのだ。




俺はもう何度目か忘れた休暇申請をまた出した。












Aside


最初の頃はなんだかうまく理解しきれていなくてそんなに長く向こうに居ないよねって思ってなんとかそれまでの辛抱だと思ってた。
けど1年経ったくらいからだんだん怪しくなってきて
休暇申請出したのに短い日数しか取れなかったって、帰れないってそう悲しんでるメールが来るようになった。




あれからどれほどの年数が経ったのかもう途中から数えるのもやめてしまった。
僕だけでは海外に行くことも海外着いてから1人でしょーちゃんのもとへ行くこともできない。だから、しょーちゃんに帰ってきてもらわなきゃいけない。だんだんと、しょーちゃんより僕の生活のほうが危ない気がし始めた。それくらい僕はしょーちゃんがいなくてだめになってたんだ。















僕たちに与えられた試練は、僕らの思いなんて知ったこっちゃないのかもしれない

けど、好きな人の温もりを感じられないことほど辛いものはない
好きな人がいるならなおさら















Sside
何回も休暇申請を出していたからだろうか、


ようやく思い通りの休暇をとることができた。







なんでこんなに休暇申請通してくれなかったのかと聞いたら、"君は大事な仕事人で君に1番仕事してもらわないと進まないからね"などと言われた。



それは心外だ。
僕なんかより仕事のできる人たちがたくさんいると言うのに
なんなら現地の人のほうが多いのだからこうも頼ってこなくていいじゃないかと思った。




とりあえず日本に帰ったら本社に行って日本に戻してもらおうと頼むか、と思いつつ、早く荷造りをしなければと仕事を急いで片付け始めた。











しかし、






しかしなぜこうも直前に言われるのだろう







明日からなんて急すぎるではないか。






とりあえず急いで飛行機のチケットと空港に行くバスの手配をした。


それで準備に追われて雅紀に連絡し忘れたんだっけ、、、















後編へ続く
0時5分にアップします。そちらも合わせてお読みください。