Sside




走らずにはいられなかった




雨が降っていても気にしないで走っていた







また、雅紀が泣いてる



きっと一人で泣いてる




俺の知らないところで泣くなんて

許さない







なにが雅紀の心をそうしてるかは知らない



けど




俺に助けを求めてくれないから寂しいんだ





















雅紀の家に向かう道をひたすら走った





走って走って







歩いて15分くらいのところにある雅紀の家





その家の近くまで来て


ようやく雅紀を見つけた







「雅紀!」




何も言わず振り返った雅紀は笑ってなんかいない

あのときと同じような寂しい顔をして静かに涙を流してた






「雅紀!」







雅紀に会えてよかった


うれしくて抱きしめに走った





「雅紀、

俺はいるよ?」






雅紀は身動きひとつしない



何を思ってる?なんで泣いてる?雅紀1人で抱え込まないでよ…






「雅紀、俺はどこにもいかない。お前のそばにいることしか考えてねぇ

離れんな」






雨の中雅紀を抱きしめてる
雅紀の涙か、雨なのか分からない粒が俺の肩に打ち続ける










「しょーちゃん……」





泣きながらようやく抱きしめ返してくれた



子供のようにたくさん泣いていた

ようやく、雅紀の心はほぐれたのかもしれない




俺は静かに雅紀の頭や背中を撫で続けた















どれほどそうしていたのか


雨は段々と弱まり、やんできた






「雅紀……ずっとそばにいるから、勝手に1人泣くな


なんかあったら俺がいるから」






「しょーちゃん……ありがと…」






ようやく抱きしめてた腕を外した





雅紀は





寂しそうな顔をしてたけど、でも、なんかちょっとだけ明るい光が灯っていた








「風邪ひくから家で風呂入ろーぜ」




「そうだね」









2人で手を繋いで歩き出した







少しは力になれたか?

俺は、これからも雅紀の力になるぞ?








いつまでたっても雅紀への思いは変わらないからな












またひとつ進んだ2人を、雨上がりの晴れた空が見守ってた












おしまい