Super Elastic ! Super Optimistic ! -7ページ目

Super Elastic ! Super Optimistic !

中央大学ロースクール生が新司法試験合格を目指すブログ。10回受験して、10回合格する力をつけることが目標!

労働法
団体的労働関係法

【目次】

1 労働組合

【定義】法適合組合
【定義】自主性不備組合
【定義】規約不備組合
【論点】管理職は利益代表者(労組法2条ただし書1号)にあたるか
【論点】組合の統制権の根拠
【論点】組合の統制権の限界 『三井美唄労組事件』
【論点】労働組合はどの程度組合員資格を制限できるか
【論点】組合脱退の法的根拠とこれを制限する規約の効力『東芝事件』 平成22年 新司法試験第2問
【論点】ユ・シ協定の有効性『三井倉庫港運事件』平成19年 新司法試験第2問
【論点】ユ・シ協定の及ぶ範囲
【論点】ユ・シ解雇の適法性 平成19年 新司法試験第2問
【論点】除名が無効な場合のユ・シ解雇の適法性 『日本食塩製造事件』
【論点】選挙応援資金のための臨時徴収 『国労広島地本事件』
【論点】チェック・オフ協定の適法性 『済生会中央病院事件』 平成22年 新司法試験第2問
【論点】チェック・オフの要件 個々の労働者の同意の要否『エッソ石油事件』
【論点】チェック・オフ協定の中止『エッソ石油事件』
【論点】チェック・オフの廃止 
【論点】チェック・オフと相殺 

2 労働協約の効力

【論点】労働協約の法的性質
【論点】有利原則
【論点】労働協約の不利益変更
【論点】協約自治の限界『朝日火災海上保険(石堂)事件』
【論点】書面が作成されない労働協約の効力『都南自動車教習所事件』プレテスト第2問
【論点】組合脱退者等に対する規範的効力
【論点】組合による規範的部分の履行請求の可否
【論点】一部解約『ソニー事件』『日本IBM事件』
【論点】余後効 外部的規律説 『鈴蘭交通事件』
【論点】労働協約の債務的効力 解雇協議条項
【論点】相対的平和義務の根拠
【論点】労働協約の債務的効力 相対的平和義務排除条項の効力
【論点】労働協約の債務的効力 絶対的平和義務の効力
【論点】平和義務違反の効果 損害賠償の可否
【論点】平和義務違反の効果 差止請求 
【論点】平和義務違反の効果 懲戒処分 『弘南バス事件』
【論点】一般的拘束力 有利原則『朝日火災海上(高田)事件』 平成23年 新司法試験 第2問
【要件】一般的拘束力 プレテスト第2問
【論点】一般的拘束力 少数労働組合を結成している場合『ネスレ日本事件』プレテスト第2問  平成19年 23年 新司法試験第2問
【論点】分裂『名古屋ダイハツ事件』

3 争議行為

【論点】争議行為の正当性一般論 平成20年 21年 新司法試験第2問
【論点】争議行為の法的保護
【論点】争議行為の概念
【論点】非公認スト
【論点】山猫スト
【論点】政治スト 『三菱重工長崎造船所事件』『東京中郵事件』
【論点】同情スト
【論点】団体交渉を経ない争議行為
【論点】予告を経ない争議行為
【論点】平和義務違反の効果 争議行為 『弘南バス事件』
【論点】怠業
【論点】順法闘争
【論点】ピケッティング『御国ハイヤータクシー事件』LEC選択マスター第3回
【論点】職場占拠

4 組合活動

【論点】組合活動の正当性一般
【論点】組合活動にも民事免責が認められるか
【論点】組合内少数派の執行部批判が統制処分の対象となるか 『北辰電機製作所事件』
【論点】組合決議に反する一部組合員の活動が統制処分の対象となるか 平成20年 新司法試験第2問
【論点】就業時間中の組合活動 『電電公社目黒電話局事件』『大成観光事件』
【論点】リボン闘争『大成観光事件』
【論点】ビラ貼り (許諾説) 『国鉄札幌運転区事件』 平成20年 新司法試験第2問

5 正当性のない争議行為と責任

【論点】使用者による正当性のない争議行為についての責任追及
【論点】第三者による正当性のない争議行為についての責任追及
【論点】懲戒処分の可否 平成21年 新司法試験第2問
【論点】事実的幹部責任

6 争議行為と賃金

【論点】ノーワーク・ノーペイの原則の根拠 『三菱重工造船所事件』平成21年 新司法試験第2問
【論点】賃金カットの範囲 『三菱重工造船所事件』
【論点】家族手当のカット
【論点】怠業における賃金カット
【論点】使用者の指示に反する就労における賃金カット『水道機工事事件』
【論点】一時金・賞与産出の基礎としてストライキ参加日数を欠勤扱いすることは私法上許されるか
【定義】部分スト
【定義】一部スト
【論点】労務受領拒否 スト不参加者の就労が客観的に可能であった場合
【論点】労務受領拒否 スト不参加者の就労債務が客観的に存在しなくなった場合 民法536条2項
『ノース・ウエスト航空事件』 平成21年 新司法試験第2問
【論点】労務受領拒否 スト不参加者の就労債務が客観的に存在しなくなった場合 労基法26条
【論点】操業の自由
【論点】ロックアウトの正当性 『丸島水門事件』 LEC選択マスター第3回
【論点】逆ピケ

7 不当労働行為  不利益取扱

【要件】不利益取扱 プレテスト 平成18年 新司法試験第2問
【論点】特定組合員の採用拒否が不利益取扱にあたるか 『JR北海道事件』
【論点】配転が「不利益」な取扱いといえるか LEC選択マスター第4回
【論点】栄転が「不利益な取扱い」といえるか  LEC選択マスター第2回
【論点】不当労働行為意思  LEC選択マスター第2回
【論点】不当労働行為の申立適格 『旭ダイヤモンド工業事件』 LEC選択マスター第2回

8 不当労働行為  団体交渉拒否

【論点】団体交渉拒否に対する司法的救済 
【論点】団体交渉拒否に対する司法的救済 団体交渉請求権
【論点】団体交渉拒否に対する行政的救済 平成22年 新司法試験第2問
【論点】団体交渉拒否に対する行政的救済 不当労働行為の申立適格
【論点】唯一交渉団体条項
【論点】共同労組 伊藤塾2回
【論点】二重交渉 伊藤塾2回
【論点】入り口紛争 伊藤塾2回
【論点】義務的団交事項 平成18年 21年 新司法試験第2問
【論点】誠実交渉義務 『カールツアイツ事件』

9 不当労働行為  支配介入

【論点】支配介入行為の意義 LEC選択マスター第4回
【論点】組合の活動に対する使用者の意見表明 『プリマハム事件』平成18年 新司法試験第2問
【論点】使用者への帰責 『JR東海事件』平成18年 新司法試験第2問
【論点】支配介入の意思 プレテスト第2問
【論点】施設管理権行使と支配介入『オリエンタルモーター事件』
【論点】支配介入の申立適格 『京都市交通局事件』

10 共通の不当労働行為

【定義】大量査察差別
【論点】大量観察方式  『紅屋商事事件』
【論点】争議行為を理由とする賃金カットと不当労働行為
【論点】会社解散による全員解雇が不当労働行為になるか 『東京書院事件』
【論点】併存組合との団体交渉と不当労働行為 『日本メールオーダー事件』『日産自動車事件』

11 不当労働行為に対する行政救済

【手続】労働委員会における対審手続
【論点】救済命令の種類
【論点】バックペイにおける中間収入の控除 自由裁量説 『第二鳩タクシー事件』
【論点】査定差別と「継続する行為」(労組法27条2項)の意義 『紅屋商事事件』
【論点】抽象的不作為命令『栃木化成事件』
【論点】条件付命令の可否
【論点】損害補償命令

12 不当労働行為に対する司法救済

【論点】司法救済の内容
【論点】不当労働行為に対する私法上の効果 平成20年 21年 新司法試験第2問  LEC選択マスター第2回

13 労働契約関係の承継

【論点】事業譲渡と労働契約 黙示の合意 『タジマヤ事件』
【論点】事業譲渡と労働契約 特定労働者排除型
【論点】事業譲渡 全員解雇一部再雇用型 『東京日新学園事件』
【論点】会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律
【論点】業務請負処理


1 労働組合


【定義】法適合組合
 以下の要件を満たす労働組合
①労組法2条本文    「労働条件の維持改善・・・を主たる目的とする」
  ②労組法2条ただし書  管理監督者,利益代表者を含まず,経理上の援助を受けていない 
  ③5条2項       規約が適法に作成されていること


【定義】自主性不備組合
 以下の①要件を満たすが,②ないし③,または②③の両方を満たさない労働組合
①労組法2条本文
  ②労組法2条ただし書
  ③5条2項

 ※自主性不備組合は労組法上の労働組合ではないため,同法の保護を受けられない
  ただし,憲法28条により,刑事免責,民事免責,不利益取り扱いからの保護を受ける

【定義】規約不備組合
 以下の①ないし②の要件を満たすが,③の要件を満たさない労働組合
①労組法2条本文
  ②労組法2条ただし書
  ③5条2項

 ※規約不備組合は,労働協約の締結主体(労組法14条)となりえる
  憲法28条による保護も受ける


【論点】管理職は利益代表者(労組法2条ただし書1号)にあたるか
 この点,ただし書1号が管理監督者を労働組合の構成員から除外している趣旨は,労働組合の自主性を組織面から確保する点にある。
そうすると,利益代表者にあたるかは,肩書きの名称によらず,当該労働者の組合加入・結成が労働組合の独立性を損なうかという観点から,実質的になされるべきである。
具体的には
①当該企業における当該労働者の職務分掌
②実際に行使できる権限
 等を考慮することになる。


【論点】組合の統制権の根拠 団体固有権説(80 9-5)
 労働組合は,一般の任意団体と同様に,構成員の任意的結合に由来する統制権を有すると考える。 


【論点】組合の統制権の限界 (80 9-5) 『三井美唄労組事件』(最大判昭43.12.4)
1 本件組合は,スト指令に従わなかったことを統制処分の理由としているため,組合員の政治活動の自由との調和の観点から,統制権の限界が
問題となる。
2 この点,組合も付随的活動にとどまる限り,政治活動をすることができる。
  そして,公職選挙において特定の政党を支持する決定を行うことができ,そのための選挙活動を行うこともできる。
3 しかし,組合決定に反する組合員に対して,説得・勧告の域を超えて統制処分をすることは組合員の政治的自由を侵害し,許されない。
  もっとも,労働者の生活利益の向上,労働基本権擁護に関わる組合決定については,組合員に対する拘束力を持ち,統制処分の対象となると
考える。


【論点】労働組合はどの程度組合員資格を制限できるか
労働組合は,どの程度組合員資格を制限できるか。
 この点,労働組合は,私的な任意団体であるため,原則として加入資格を自由に決定できる。
しかし,労働組合は,労組法上,特別に労働条件規制機能と保護を与えられた準公共的団体である。
よって,そのような公共的性格に反するような,人種・信条・性別・社会的身分・門地(憲法14条)等の資格制限を設けることは許されないと考える。


【論点】組合脱退の法的根拠とこれを制限する規約の効力『東芝事件』(最判平19.2.2)(80選9-4)
                           平成22年 新司法試験第2問
1 組合員の脱退を制限する組合規約の有効性が問題となる。
2 この点,労組法が予定する労働組合は加入を強制される組織ではなく,労働者が自発的に加入する組織であるから,組合員の脱退の自由は,
団体の性質上当然に認められる。(結社の自由説)
3 よって,労働組合からの脱退の自由の重要性から,脱退の自由を実質的に制限する組合規約や,労働者と使用者間の合意は,公序良俗(民法
90条)に反し無効であると考える。


【論点】ユ・シ協定の有効性『三井倉庫港運事件』(最判平1・12・14)(80選9-2)平成19年 新司法試験第2問
1 ユ・シ協定は有効か。まず,労働者の消極的団結権を侵害しないか。
  この点,憲法28条の趣旨は,労働者の団結権を保障して使用者と対等の地位に引き上げることで,労働者の生存権を保障することにあるから,団結権を弱化させる消極的団結権は憲法28条で保障されない。
  したがって,ユ・シ協定は消極的団結権を侵害しないと考える。
2 次に,労働者の組合選択の自由を侵害しないか。
  この点,憲法28条は,組合選択の自由(積極的団結権)を保障しているため,ユ・シ協定により,解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制して労働者の組合選択の自由を侵害することは許されない。
  よって,ユ・シ協定は労働者の組合選択の自由を侵害しない場合には有効であると考える。

※労組法7条1号ただし書から,ユ・シ協定を締結できる労組は,当該事業場における労働者の過半数を組織している必要がある


【論点】ユ・シ協定の及ぶ範囲
ユ・シ協定の及ぶ範囲が問題となる。
 たしかに,ユ・シ協定は,労使自治の推進に資する。
しかし,ユ・シ協定により,解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制して労働者の組合選択の自由及びユ・シ協定非締結組合の団結権を侵害することは許されない。
 そこで,①労働者が合理的期間内に他の労働組合に加入・結成している場合には及ばないと考える。
 (また,②脱退者や除名者が他の組合を結成したり,既存の組合に加入した場合,解雇要求時点で他組合に加入していれば及ばないと考える。
 さらに,③協定締結組合に大量脱退者が生じた場合,当該組合が当該事業場の同種の労働者の過半数を占めている限り,及ばないと考える。)


【論点】ユ・シ解雇の適法性 平成19年 新司法試験第2問
 この点,ユ・シ解雇は,労組法が認める組織強制手段の行使の結果であるといえる。
 また,労働者は,当該組合に残存し,または他の組合に加入することによって解雇を免れることができたといえる。
 よって,解雇権の濫用とはいえないと考える。

※判例は,組合が解雇を要求した時点で判断する
 ∵使用者の恣意を防止するため


【論点】除名が無効な場合のユ・シ解雇の適法性 『日本食塩製造事件』(最判50.4.25)
この点,除名が無効である以上,使用者にユ・シ協定上の解雇義務は生じない。
よって,他に客観的合理的理由,社会通念上の相当性を基礎づける事情が認められない限り,解雇権の濫用にあたると考える。


【論点】選挙応援資金のための臨時徴収 『国労広島地本事件』(最判平50.11.28)
 この点,たしかに,組合員は,活動の経済的基礎をなす組合費を納入する義務を負う。
 しかし,選挙においてどの政党・候補者を支持するかは,投票の自由と表裏をなすものとして組合員各人が自主的に決定すべき事柄である。
 よって,労働組合が組合員に対してこのような費用負担を強制することは許されないと考える。


【論点】チェック・オフ協定の適法性 (80選9-3)『済生会中央病院事件』(最判平元年12月11日) 平成22年 新司法試験第2問
(1 チェック・オフと労組法7条3号
まず,チェック・オフは使用者の労働組合に対する「経理上の援助」(労組7条3号)に該当し,不当労働行為として禁止されないか。
  この点,「経理上の援助」が禁止された趣旨は,組合の自主性と独立性を維持する点にある。
そうすると,チェック・オフによって労働組合は組合費を確実に徴収でき,組合の財政が安定することから,チェック・オフは実質的には組合の自主性と独立性の確保に資するものであるといえる。
  したがって,チェック・オフは「経理上の援助」(労組7条3号)にあたらないと考える。)
2 チェック・オフと労基法24条1項
チェック・オフは,賃金全額払いの原則(24条1項本文)に抵触しないか。
  賃金全額払の原則の趣旨は,労働者に賃金全額を確実に受領させることにより経済生活の安定を図る点にある。
  そうすると,チェック・オフも労働者の賃金の一部を控除するものにほかならないから,賃金全額払いの原則に抵触する。
よって,24条1項ただし書に従い,過半数組合または過半数従業員代表との「書面による協定」がない限り,チェック・オフは許されない
と考える。


【論点】チェック・オフの要件 個々の労働者の同意の要否『エッソ石油事件』(最判平5年3月25日)(80 9-3)
チェック・オフ協定の他に労働者の同意は必要か。
 この点,労基法24条1項ただし書所定の協定の効力は,チェック・オフが賃金全額払の原則の例外とされ,罰則の適用を受けないというものにすぎない。
 また,チェック・オフは,個々の労働者に具体的に発生した賃金債権の一部を処分するものであるから,労働組合には処分権限がなく,使用者がチェック・オフを行うには,労働組合員からの支払委任契約(民法643条)が必要である。
 したがって,労働者の同意が必要である。


【論点】チェック・オフ協定の中止『エッソ石油事件』(最判平5年3月25日)(80 9-4)
1 組合員が使用者に対して,チェック・オフの中止を求めた場合には,使用者はチェック・オフを中止しなければならないか。
2 チェック・オフ協定が労働協約の形で締結されている場合,個々の組合員との間においても,労働協約の規範的効力(労組法16条)により
チェック・オフ協定の効力が及ぶのかが問題となる。
  この点,チェック・オフ協定は,組合が使用者に対して組合費の取立てを委任したものであり,労組法16条の「労働者の待遇に関する基準」ではないから,規範的効力は認められない。
3 また,チェック・オフは個々の労働者に具体的に発生した賃金債権の一部を処分するものであるから,労働組合にはその処分権限がなく,使用者がチェック・オフを行うには,個々の組合員との支払委任契約(民法643条)を締結する必要がある。
4 よって,チェック・オフの開始後においても,組合員は使用者にいつでもチェック・オフの中止を申し入れることができ(同651条1項),中止の申入れがなされたときには,使用者は当該組合員に対するチェック・オフを中止しなければならないと考える。


【論点】チェック・オフの廃止 (80 9-3)
1 チェック・オフの廃止が「支配介入」(労組法7条3号)にあたるか。
2 まず,労基法24条1項ただし書の書面協定が締結されていた場合,チェック・オフは労働組合の団結を維持,強化する機能を有しているので,これを一方的に廃止することは,労働組合を弱体化させるものとして,「支配介入」にあたると考える。
3 これに対して,労基法24条1項ただし書の書面協定が締結されていない場合は,労基法24条1項ただし書違反を解消するものであって,「支配介入」にあたる事情がない限り,適法である(『済生会事件』(最判平元年12月11日))。
4 また,チェック・オフ協定の終了後に使用者がチェック・オフ協定の更新を拒否することは「支配介入」にあたらないと考える。
なぜなら,使用者にチェック・オフ協定に応じる義務はないからである。


【論点】チェック・オフと相殺 (東京高裁昭52.10.27)
この点,天引きされる組合費は,現実に履行されることを要するものである。
そうすると,チェック・オフ協定には,このような相殺排除の約定が含まれているといえる(民法505条2項)。
よって,使用者による相殺は認められないと考える。


2 労働協約の効力


【論点】労働協約の法的性質
労働協約の法的性質をどのように考えるべきか。
 この点,我が国において支配的な企業別協約は客観的に規範たる性格に乏しい。
また,労働協約は締結当事者の意思によって解釈が左右されるものである。
 したがって,労働協約は協約当事者間の契約であると考える。
ただし,統一的労働条件の設定という機能に鑑みて,労組法16条によって個別的労働関係を直接規律する特別の効力を与えられていると考えるべきである。

※労働協約は,原則として,労働協約を締結している組合の組合員にのみ及ぶ
 → 労働協約に抵触する就業規則は,協約が適用される労働者との関係では無効となるが,協約が適用されない労働者に対してはなお効力を有するものと解される(相対的無効)


【論点】有利原則 (80選10-1)
労働契約の内容が,労働協約よりも有利である場合にも労働協約の規範的効力が及ぶか。有利原則が認められるか問題となる。 
 この点,我が国で支配的である企業別労働組合が締結する協約は,企業内の現実の労働条件であり,最低基準ではない。
 また,条文上,労組法16条は,「達しない」(労契法12条)ではなく,「違反する」という文言を用いており,労働協約よりも有利な労働契約も無効にする趣旨とみることができる。
 よって,有利原則は否定すべきであり,労働協約は両面的に規範的効力を有すると考える。


【論点】労働協約の不利益変更(80選10-1)
1 労働協約によって,労働条件を不利益に変更することはできるか。労組法2条は労働組合の目的を「労働条件の維持改善」と定めていることから問題となる。
2 この点,団体交渉は,相互が譲歩する取引であり,労働協約には労働者に有利な条項と不利な条項が一体として規定されることが多い。
そして,一見して不利と思える条項でも長期的にみれば組合員の利益が図られている場合がある。
よって,有利不利を判断できないことがある。
また,労働者に不利益に変更できないとすると,労使交渉の弾力性が失われ,労使自治を実現できない。
3 したがって,労働者にとって不利益に変更された労働協約についても,規範的効力が認められると考える。

※ すでに具体的に発生した個人の権利の処分や,特定の組合員を退職させる取り決め等,組合員の個人的な権利を処分する決定
  → このような「個別的授権事項」は,組合員個人の授権がない限り労働組合が勝手に処分することはできない
 

【論点】協約自治の限界『朝日火災海上保険(石堂)事件』(最判平9.3.27) (80 10-1)
1 (労働協約の不利益変更)
2 ただし,労働協約の不利益変更は,労働組合の目的が労働者の権利の強化にあることからすれば,あくまでも例外的事態である。
  よって,一定の限界があると考える。
つまり,労働協約が一部の組合員を殊更不利益に取り扱うことを目的として締結された等労働組合の目的を逸脱して締結された場合には,
規範的効力を否定すべきであると考える。
3 具体的には
①労働者が受ける不利益の程度
②協約締結の経緯
③協約に定められた基準の全体としての合理性
を考慮して判断すべきである。


【論点】書面が作成されない労働協約の効力『都南自動車教習所事件』(最判平13.3.13) (80 10-1)
                    プレテスト第2問
書面が作成されていない労使間の合意に労働協約としての効力が認められるか。
 この点,労組法14条の趣旨は,労働協約を書面として作成することによって,後日の労働協約の内容を巡る紛争を防止する点にある。
 したがって,労使間の合意が成立しても,書面が作成され,両当事者の署名・押印がなされない限り,労働協約としての規範的効力を認めることはできないと考える。

※ 契約の効力説 規範的効力を認めないとしても,債務的効力は認める