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Super Elastic ! Super Optimistic !

中央大学ロースクール生が新司法試験合格を目指すブログ。10回受験して、10回合格する力をつけることが目標!

【論点】労務受領拒否 スト不参加者の就労債務が客観的に存在しなくなった場合 労基法26条
1 使用者は,スト不参加者に対し,労基法上の休業手当を支払う義務を負うか。
2 この点,労基法26条の趣旨は,休業期間中の労働者の所得保障にある。
  そうすると,同条の帰責事由は,民法536条2項の帰責事由より広く,使用者側に起因する経営,管理上の障害まで含むと考える。
  そして,団交での対応や,ストを予想しての就業対策は,使用者の処理可能な領域に含まれ,休業手当の支払の対象となると考える。
3 部分スト
  部分ストの結果,スト組合に所属しないスト不参加労働者の業務が客観的に存在しなくなった場合,スト不参加労働者はスト期間中の賃金請
求権を有するか。
  この点,部分ストの場合は,不参加者は,休業を余儀なくされたとはいえ,スト組合の組合員である以上,スト参加者との一体性が認められ
る。
  よって,使用者に帰責事由は認められず,休業手当請求権を有しないと考える。
4 一部スト
  一部ストの結果,スト組合に所属しないスト不参加労働者の業務が客観的に存在しなくなった場合,スト不参加労働者はスト期間中の賃金請求権を有するか。
  この点,一部ストの場合は,部分ストと異なり,スト参加者とスト不参加者間に組織的一体性が認められない。
  よって,使用者に帰責事由が認められ,スト不参加労働者は賃金請求権を有すると考える。


【論点】操業の自由(最判昭53.11.15)(80 11-5)
使用者は争議行為中に代替労働者を雇い入れて操業を行うことができるか。使用者に操業の自由が認められるかが問題となる。
 この点,使用者は営業の自由(憲法22条1項)が認められているので,争議行為中でも操業を継続する自由が認められると考える。
 よって,争議行為中に代替労働者を雇い入れて操業を行うことができる。


【論点】ロックアウトの正当性 『丸島水門事件』(最判昭50.4.25)
1 使用者にロックアウト権が認められるか。
2 この点,争議権は労使対等の促進と確保の必要のために認められるもので,公平の原則に立脚するものである。
そこで,労働者の争議行為によって,かえって使用者が著しく不利な圧力を受けている場合には,労使間の勢力の均衡を回復するための対抗防衛手段として使用者が行う争議行為にも,相当性が認められる限り,正当性が認められると考える。
3 そして,ロックアウトの正当性は
①労使間の交渉経過
②組合側の争議行為の態様
③使用者側の受ける打撃の程度
を考慮して判断すべきである。

※正当性が認められると「責めに帰すべき事由」(民法536条2項)が認められないことになる
 労基法26条による請求
  ロックアウトの性格及び労基法26条の趣旨からは、ロックアウトを生ぜしめた組合員を保護すべきではなく、認められない
※非組合員
 ロックアウトの相手方は、当該組合とその組合員に限定されるため、賃金請求ができる


【論点】逆ピケ
1 逆ピケとは,使用者の側でストに参加しないように呼びかけ,説得を行うことをいう。
  逆ピケが認められるか。
2 この点,争議権は労使対等の促進と確保の必要のために認められるもので,公平の原則に立脚するものである。
そこで,労働者の争議行為によって,かえって使用者が著しく不利な圧力を受けている場合には,労使間の勢力の均衡を回復するための対抗防衛手段として使用者が行う争議行為にも,相当性が認められる限り,正当性が認められると考える。
3 そして,労働者のピケの正当性は平和的説得の限度で正当性を認められることと均衡を図り,逆ピケについても平和的説得の限度で正当性が
認められると考える。


7 不当労働行為  不利益取扱


【要件】不利益取扱  プレテスト 平成18年 新司法試験第2問
 ①労働者が労働組合の組合員であること
 ②労働組合に「加入し」
  労働組合を「結成しようとしたこと」
  労働組合の「正当な行為をしたこと」
 ③「故をもって」
  →反組合的な意図や動機
  →使用者が②要件を認識し
   その労働者に不利益な取扱いをしようと欲し,かつ,これを実現したこと
 ④「解雇」
  「その他不利益な取扱いをすること」  

※類型
 ①経済的不利益取扱  解雇,採用拒否,配転,懲戒,手当支給,時間外労働
 ②精神的不利益取扱  
 ③私生活上の不利益取扱  介護妨害,別居を伴う配転
 ④組合活動上の不利益取扱  栄転(同時に支配介入になる場合が多い)
  

【論点】特定組合員の採用拒否が不利益取扱にあたるか 『JR北海道事件』(最判平15.12.22) え本36
1 特定の組合員の採用を拒否することが,「不利益な取扱」(労組法7条1号)にあたるか。
2 この点,使用者には,契約締結の自由として,採用の自由が認められている。
  また,労働組合法7条1号本文は,雇入れの段階と雇入れ後の段階とに区別して規定しており,雇入れ段階においては黄犬契約のみを禁止し
ている。
3 よって,雇入れの拒否は,従前の雇用契約関係における不利益な取扱に他ならないとして不当労働行為が成立する等の特段の事情がない限り,不利益取扱いにあたらないと考える。

※特段の事情
 → 季節労働者の再採用拒否
   経営再開後の再採用拒否
※『青山会事件』(東京地平13.4.12)
  事業承継に際して組合員のみ採用拒否したことが不利益取扱いにあたるとされた事例  


【論点】配転が「不利益」な取扱いといえるか LEC選択マスター第4回
この点,「不利益」か否かは,当該職場における従業員の一般的認識に照らし,それが通常不利益なものと受け取られ,組員らの組合活動意思を萎縮させ,組合活動一般に対して制約的効果を及ぼすか否かにより判断する。


【論点】栄転が「不利益な取扱い」といえるか LEC選択マスター第2回
1 栄転のような一般に労働者に利益となる行為が,「不利益な取扱い」にあたるか。
2 この点,不当労働行為制度の目的は,使用者による団結権侵害を直接是正することにより,正常な労使関係秩序の迅速な回復を図る点にある。
3 そうすると,一般に労働者に利益となる行為であっても,組合活動を困難にするものであれば,「不利益な取扱い」にあたると考える。


【論点】不当労働行為意思  え本36 80 12-3 LEC選択マスター第2回
1 不当労働行為の成立に,不当労働行為意思が必要か。
2 この点,不当労働行為は,人の意思を伴う行為である。
また,7条1号は「故をもって」と規定しているから,不当労働行為意思が必要であると考える。
3 そして,その内容は,反組合的な意図や動機を指すと考える。
4 使用者の不当労働行為意思の判断は
①使用者の日常的な労働組合に対する対応
②当該行為が組合の活動に与える影響
等の客観的事情を考慮して判断する。
5 不当労働行為意思と処分の正当化事由が併存する場合にはどのように判断すべきか。
  この点,競合する理由の中で主たる動機によって判断すべきと考える。

【短文】
 同意思は,反組合的意図をさし,主観の立証は困難であることから,客観的事実から推認するべきである。


【論点】不当労働行為の申立適格 『旭ダイヤモンド工業事件』 LEC選択マスター第2回
1 労働者の申立適格
使用者が組合員に不利益取扱を行った場合,労働組合だけでなく労働者も,申立てができる(5条1項ただし書反対解釈)。
2 労働者が争う意思を有しない場合の労働組合の申立適格
この点,組合員個人に対してなされた不利益取扱であっても,組合活動一般に対する侵害効果が認められる。
よって,原則として,組合には申立適格が認められる。
しかし,組合員個人の権利回復を内容とする場合で,同人が権利回復を望まない場合には,同人の意思を尊重し,救済内容は組合活動に対
するものに限られる。

【短文】
労働者が争う意思を持たない場合でも,不利益取扱いは労働組合に対する侵害行為でもある以上,労働組合は申立てができる。
ただし,組合員の意思を尊重する必要があるため,救済内容は,労働組合を対象としたものに限られる。


8 不当労働行為  団体交渉拒否


【論点】団体交渉拒否に対する司法的救済 
1 団交を求めうる地位の確認請求
2 損害賠償請求
  法的構成については後述


【論点】団体交渉拒否に対する司法的救済  団体交渉請求権(え本31)(80 12-10)
1 団体交渉応諾の仮処分が認められるか。
仮処分は,①被保全債権の存在と②保全の必要性が要件とされることから,団体交渉請求権が認められるかが問題となる。
2 この点,団体交渉請求権の内容の特定は困難である。
また,実現方法としては,間接強制による他ないが,無理に交渉の機会を設けても実効性が認められるかは疑わしい。
3 よって,団体交渉請求権は認められないと考える。
  ただし,労働組合が使用者に対し団体交渉に応じるべきことを求めうる地位の確認請求をすることができると考える。
  なぜなら,労組法7条各号は,私法上の強行規定であるし,団交請求と異なり,使用者の具体的債務内容の特定や,強制的実現の可否等の判
断に立ち入る必要がないからである。

※地位確認については,国鉄事件(最判平3.4.23)
 理由 ①労組法は,労働組合に団交を求める地位を私法上保障していると解される
    ②地位確認の場合は,団交当事者適格,義務的団交事項にあたるかが問題になっているだけで,司法的判断になじむ


【論点】団体交渉拒否に対する行政的救済 平成22年 新司法試験第2問
1 不当労働行為救済申立て(労組法27条)
2 労働争議のあっせん申請(労働関係調整法6条,12条)


【論点】団体交渉拒否に対する行政的救済  不当労働行為の申立適格
使用者に団体交渉を拒否された場合,組合員は不当労働行為の救済(労組法27条1項)の申立適格を有するか。
 この点,団体交渉の主体はあくまでも労働組合であって組合員ではない。
 よって,労働組合にのみ申立適格が認められ,組合員には申立適格は認められないと考える。


【論点】唯一交渉団体条項
1 唯一交渉団体条項は,公序に反しないか。
2 この点,このような条項は,他の労働組合の団体交渉権(憲法28条)を侵害する。
3 よって,複数組合主義に真っ向から反するため,公序違反として無効と考える。


【論点】共同労組 伊藤塾2回
 業界別ユニオンも、組合である要件を満たす法適合組合(2条、5条2項)である以上、「雇用する労働者の代表者」(7条2項)を満たす。


【論点】二重交渉 伊藤塾2回
1 団交の競合していることが、「正当な理由」(7条2項)にあたるか。
2 この点、原則として団交を拒否できない。
  しかし、二重交渉のおそれがあるため、
   ①統一意思
   ②統制力
  が確立している場合には、「正当な理由」にあたらないと考える。


【論点】入り口紛争 伊藤塾2回
1 団交の場所を会議室とするか否かで一致していない。このような入り口紛争は、「正当な理由」にあたるか。
2 この点、団交の日時、場所については、労使自治にゆだねられている。
3 しかし、使用者が不合理な条件に固執している場合には、「正当な理由」は認められない。


【論点】義務的団交事項(80 12-5) 平成18年 21年 新司法試験第2問
1 義務的団交事項の内容をどのように考えるべきか。明文なく問題となる。
2 この点,労組法は,労働条件の対等決定と労使自治の促進を目的としている(労組法1条1項)。
3 そうすると,この趣旨を実現する場である団体交渉においては
①組合員の労働条件その他の待遇や(労組法16条参照)
②労使関係の運営に関する事項で
③使用者に処分可能なもの
が義務的団交事項であると考えられる。


【論点】誠実交渉義務 『カールツアイツ事件』(東京地平1.9.22)(え本31)(80 12-5)
1 使用者に誠実交渉義務が認められるか。明文なく問題となる。
2 この点,労組法7条2号は使用者の団体交渉応諾義務を規定しているが,使用者が単に交渉に応じるだけでは団交の意義が十分に果たせない。
3 よって,誠実交渉義務が認められると考える。
4 そして,使用者が団体交渉に臨む態度が誠実か否かは
①交渉の回数
②理由の説明
③資料の提出
④反対の提案の有無と内容
を総合的に判断して,労使間の合意にいたるために必要な努力を十分に行ったか否かによって判断すべきである。
5 ただし,使用者に譲歩の義務はなく,誠実な交渉を尽くしたにもかかわらず,相互にそれ以上の譲歩の意思がないことが明らかになった場合
は,交渉を打ち切ったとしても誠実交渉義務違反とはならないと考える。


9 不当労働行為  支配介入


【論点】支配介入行為の意義 LEC選択マスター第4回
 この点,7条3号の趣旨は,組合の自主性・組織力の阻害防止にある。
 よって,「支配」「介入」とは,労働組合の自主性・組織力,運営に傷害をもたらすおそれがあれば足りる。


【論点】組合の活動に対する使用者の意見表明  『プリマハム事件』(最判昭57.9.10)(80 12-4)
                        平成18年 新司法試験第2問
1 組合の活動に対する使用者の意見表明はどのような場合に「支配介入」(労組法7条3号本文前段)にあたるか。
2 この点,たしかに,使用者には言論の自由(憲法21条1項)が保障される。
しかし,使用者の言論の自由の行使も,労働組合の自主性・組織力に対して干渉することは許されない。
3 よって,使用者の意思表明が,表明の域を超えて,組合の組織力,運営に障害を与える場合には「支配介入」にあたると考える。
  具体的には
①言論の内容
②発表の手段,方法
③発表の時期
④発表者の地位,身分
⑤言論発表の与える影響
等を総合して判断すべきである。


【論点】使用者への帰責 『JR東海事件』(最判平18・12・8)(え本32)平成18年 新司法試験第2問
1 使用者ではない課長が,部下に対して労組を脱退するように働きかけた場合,「支配介入」にあたるか。
2 この点,支配介入の主体である使用者とは,雇用関係上の責任主体をいい,職制にある個人は含まれないので,原則として支配介入は成立し
ない。
3 しかし,行為者が使用者の意を体して行為した場合には,使用者との間に具体的な意思の連絡がなくても,使用者の支配介入と評価すること
ができると考える。
そこで,使用者の利益代表者に近接する職制上の地位にある者が使用者の意を体して支配介入を行った場合には,使用者との間で具体的な意
思の連絡がなくとも,使用者の不当労働行為と評価できると考える。
4 その判断は
   ①使用者の関与の有無
   ②使用者の組合に対する日頃の態度
   ③行為者の会社組織内での地位
  等を総合的に考慮して行う。


【論点】支配介入の意思 (80 12-4) プレテスト第2問
1 支配介入の成立に,使用者の支配介入の意思が必要か。
2 この点,たしかに,労組法7条3号には同条1号のような「故をもって」という文言はない。
  しかし,支配介入を構成する使用者の行為は一定の具体的意思を伴う行為である。
 また,正当な権利行使との区別をする必要がある。
よって,使用者には支配介入の意思が必要であると考える。
3 ただし,条文上,文言がないことから,支配介入の意思の内容は,具体的な支配介入の認識までは必要なく,反組合的意思で足りると考える。
4 そして,反組合的行為に向けられた積極的な意思は要せず,その行為から客観的に反組合的効果が生じることの認識で足りる。
  その判断は,行為内容,時期,状況,両者の認識等から判断する。


【論点】施設管理権行使と支配介入『オリエンタルモーター事件』(最判平7.9.8)
1 使用者が企業施設の利用を拒否し続けることは,「支配介入」(労組法7条3号本文前段)にあたるか。
2 この点,使用者の許諾を得ずに企業施設を利用して組合活動を行うことは,使用者の施設管理権の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては,組合活動として正当性が認められない。
3 よって,使用者は企業施設の利用を受忍する義務を負わないので,特段の事情がある場合を除いては,使用者が利用を拒否することは「支配介入」にあたらないと考えるべきである。
4 そして,特段の事情の有無は
   ①当該施設の利用についての組合側の必要性
   ②施設管理上の実質的支障の有無・程度
   ③使用者側の禁止措置の相当性
  等を総合的に考慮して判断する,


【論点】支配介入の申立適格 『京都市交通局事件』(最判平16・7・12)
1 支配介入に対して,労働組合のほかに組合員も申立適格を有するか。
2 この点,不当労働行為制度の目的は,使用者による団結権侵害を直接是正することにより,正常な労使関係秩序の迅速な回復を図る点にある。
3 そうすると,組合員も申立適格を有すると考える。


10 共通の不当労働行為


【定義】大量査察差別
 賃上げ,一時金,昇格等に関する人事考課の上で,少数組合の組合員を組合ぐるみで不利益に取り扱うこと


【論点】大量観察方式  『紅屋商事事件』(最判昭61.1.24)
1 複数の労働組合が存在する場合に,人事考課がなされたとき,使用者が少数組合の組合員を組合ぐるみで差別したとすれば,不利益取扱い(労
働組合法7条1号),支配介入(7条3号前段)の不当労働行為が成立する。
  労働委員会の審査をどのように進めるべきか。
2 この点,人事考課は使用者により秘密裡になされ,内容が公表されないのが通常である。
また,使用者が人事の秘密を理由に資料の提出を拒むことが多い。
  そうすると,個々の労働者ごとに差別査定の個別立証を要するものとすれば,立証上の不公平が生じることになる。
3 そこで
①使用者が組合を嫌悪し,弱体化を図ってきたこと
②当該組合と他の組合を比較して,当該組合員の査定が全体として低位であること
③両集団の間に勤務成績等の点で同等性があること
について,一応の立証がなされれば,使用者側がその推定を覆さない限り,不当労働行為が成立すると考える。

※小規模団体、組合員の一部を問題にするときはこの方式は採用されない『オリエンタルモーター事件』(東京高平成15、12,17)


【論点】会社解散による全員解雇が不当労働行為になるか 『東京書院事件』(東京高昭和48、6、28)
1 会社解散による全員解雇が「不利益な取扱」(労組法7条1号)ないし「支配介入」(7条3号)にあたるか。
2 この点,企業廃止の自由は職業選択の自由(憲法22条1項)と表裏一体をなす重要な自由である。
そして,解散決議によって事業が解散されてしまえば,その解散は私法上有効である。
  よって,原則として,不当労働行為は成立しないと考える。
3 ただし,偽装解散の場合には不当労働行為が成立し,労働委員会は,原職復帰及びバックペイを命令することができる。


【論点】併存組合との団体交渉と不当労働行為 『日本メールオーダー事件』(最判昭59.5.21)『日産自動車事件』(最判昭60.4.23)
(80 12-6)
1 併存組合に待遇格差を設けることは,不利益取扱(労組法7条1号)ないし支配介入(7条3号)にあたるか。
2 この点,複数組合は,それぞれ使用者に対して自由な意思決定に基づいて団体交渉・協約締結ができる。
 そうすると,取扱いに差異が生じても,それは自由な取引の場における選択の結果が異なったに過ぎず,原則として不当労働行為にはあたら
ないと考える。
3 しかし,不当労働行為制度は組合間差別の禁止の趣旨も含むことから,使用者は,中立的態度を保持する義務を負う。
  そのように考えても,使用者は各組合の交渉力に応じた合目的的対応をすることができる。
4 ただし
①団体交渉において提示された妥結条件の内容
②その条件に固執することの合理性
③背景事情
④双方がとってきた態度
  等の事情を考慮して、当該組合に対する団結権の否認ないし嫌悪の意図を決定的動機として行為が行われ、団体交渉がそれを維持するための
形式にすぎないと認められる特段の事情がある場合には,支配介入の不当労働行為にあたると考える。


【論点】組合間差別 事務所貸与 LEC選択マスター第1回
1 一方に組合にのみ事務所を貸与し,他方に貸与しないことが支配介入にあたるか。
2 この点,使用者は組合に対し,当然に事務所を貸与する義務を負うものではない。
  しかし,複数の組合が併存している場合には,使用者は,各組合に対して中立的な態度を保持すべきである。
  具体的には,組合の性格等を考慮して,優遇・弱体化を図るような行為は許されず,支配介入にあたると考える。
3 よって,貸与を一切拒否する行為は,合理的な理由が存在しない限り支配介入にあたる。
  合理的理由の判断は
   ①一方の組合に貸与されるに至った経緯
   ②貸与の条件設定の有無・内容
   ③他方の組合に対する貸与を巡る団交の経緯
   ④施設の状況
   ⑤拒否が組合に及ぼす影響
  を考慮して行う。


11 不当労働行為に対する行政救済


【手続】労働委員会における対審手続
1 都道府県労働委員会に対する救済申立て(初審)
2 中央労働委員会に対する救済申立て(再審査)
3 労働委員会の命令の取消訴訟

※2を飛び越すことが認められている(労組法27条の19第1項)
※2,3を同時に申し立てることもできる(同上2項,3項)


【論点】救済命令の種類
1 不利益取扱いにあたる解雇
原職復帰命令
今後、同様の行為を行わないことの命令
バックペイ命令
2 団交拒否
当該事項に関する誠実交渉命令
特定の理由による交渉拒否を禁止する命令
3 支配介入
支配介入に該当する行為を禁止する命令
ポスト・ノーティス命令


【論点】バックペイにおける中間収入の控除 自由裁量説 『第二鳩タクシー事件』(最判昭52.2.23)(80 12-7)
1 バックペイする際に中間収入を控除する必要があるか。
2 この点,労組法が救済命令制度を採用した趣旨は,労働者個人の権利の救済と,組合活動一般への制約を除去することにある。
  よって,救済命令の内容は,①被解雇者が受ける個人的被害の救済の観点と,②解雇による組合活動一般に対する制約の観点を考慮して決す
べきと考える。
3 そうすると、個人的被害の救済の観点からは,中間収入を控除しないのは実害の回復以上のものを使用者に要求するものとして救済の範囲を
逸脱するため,控除することが原則となる。
  ただし,組合活動一般に対する侵害の除去の観点も含めて,総合的に判断し,中間収入の控除の要否・範囲を決することができると考える。
その判断は
①再就職の難易
②就職先における労務の性質,内容,賃金額の多少
③解雇が組合活動に及ぼした制約的効果
等を考慮して行う。


【論点】査定差別と「継続する行為」(労組法27条2項)の意義 『紅屋商事事件』(最判平3.6.4)(80 12-8)
1 労働委員会への不当労働行為の救済の申立は,行為の日から1年に限られている(労働組合法27条2項)が,「継続する行為」については,
「その行為が終了した日」から1年とされている。
そこで,差別査定に基づく賃金支払が「継続する行為」にあたるかが問題となる。
2 この点,同一の不当労働行為意思に基づき数個の行為が行われた場合,これらの行為を1個の行為として評価することができる。
  また,差別的取扱の意図は,賃金支払によって具体的に実現される。
よって,一連の継続的な不当労働行為を「継続する行為」と考え,賃金支払いまでが「継続する行為」であると考える。
3 したがって,差別査定に基づく最後の賃金支払の日から1年以内が27条2項の申立て期間となると考える。

※関連論点
 ①労組法27条ただし書の趣旨
  長期間の経過により証拠収集が困難になる
1年以上経過した場合に救済命令をだすとかえって労使関係の安定を害す
 ②1年の期間の法的性質
  趣旨から考えれば,除斥期間
 ③年度を越えた継続する行為が認められるか
  → 肯定
  なぜなら,年度を越えた累積差別を一切認めないと,労働者側は,毎年不当労働行為の申立てを強いられることになり,かえって労使関係の安定が損なわれるため


【論点】抽象的不作為命令『栃木化成事件』(最判昭37.10.9)(80 12-9)
1 労働委員会は,禁止される行為を一般的包括的に禁止した抽象的不作為命令を発することができるか。
2 この点,不当労働行為救済制度の目的は,使用者による団結権侵害を直接是正することにより,正常な労使関係秩序の迅速な回復を図る点に
ある。
  そうすると,抽象的不作為命令は,将来にわたって制裁の裏付けをもって(労組法28条),一般的法規を設定するもので救済命令の目的を
逸脱する。
3 よって,抽象的不作為命令は違法であって許されないと考える。


【論点】条件付命令の可否 肯定説(80 12-9)
1 労働組合に対して一定の行為をすることを停止条件とする救済命令は適法か。
2 この点,不当労働行為救済制度の目的は,使用者による団結権侵害を直接是正することにより,正常な労使関係秩序の迅速な回復を図る点に
ある。
  そうすると,条件付命令も将来の労使関係の正常化を図るという救済命令の目的に資する。
3 よって,条件付命令は適法であると考える。


【論点】損害補償命令
不当労働行為によって労働組合が被った損害の金銭的補償の命令は適法か。
 この点,不当労働行為救済制度の目的は,使用者による団結権侵害を直接是正することにより,正常な労使関係秩序の迅速な回復を図る点にある。
そうすると,不当労働行為によって労働組合が被った損害の填補は,制度の目的を逸脱する。
 よって,損害補償命令は違法であると考える。

※組合員の同意がなくチェックオフが無効の場合、組合に控除額を返還させる命令は裁量の範囲を超える『日本ネスレ事件』
 組合員に返還させるべき


【論点】事務所貸与のための救済方法 LEC選択マスター第1回
1 司法救済
  労働組合による施設の利用は,使用者の合意があって初めて認められる。
  よって,給付請求は実体法上の請求権が存しないため,不法行為の基づく損害賠償を求めうるにすぎない。
2 行政救済
  この点,労働委員会は,救済命令の内容決定について広い裁量を有する。
  よって,不当労働行為によって生じた侵害状態を除去し,正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復を図るために,裁量内で柔軟な命令を発す
ることができる。
  本件では,最小限の広さの事務所を貸与することは支配介入にあたらないとされている(7条3号ただし書)。
  また,組合間差別の是正にためには事務所を貸与することが効果的であるから,このような救済命令は認められる。
  もっとも,場所・規模等の具体的内容は労使間の協議に委ねるべきである。


12 不当労働行為に対する司法救済


【論点】司法救済の内容
1 解雇無効確認請求
2 解雇無効期間中の賃金請求
3 団交を求めうる地位の確認請求
4 不法行為に基づく損害賠償請求


【論点】不当労働行為に対する私法上の効果 平成20年 21年 新司法試験第2問 LEC選択マスター第2回
1 労組法7条各号に反する行為は,私法上有効か。
2 この点,不当労働行為制度は,団結権を保障した憲法28条を具体化したものである。
  そうすると,労組法7条各号は,私法上の強行規定であると考える。
3 よって,労組法7条各号に反する行為は,私法上無効となり,不法行為法上違法となる。

※不法行為に基づく損害賠償請求
 けん責処分が不当労働行為にあたるとして,けん責処分の無効確認請求をするときに論じる,つまり,労契法15条の構成と併存する
※解雇無効の主張にも使える


13 労働契約関係の承継

【論点】事業譲渡と労働契約 黙示の合意  『タジマヤ事件』(大阪地判平11年12月8日)
1 事業譲渡は営業を構成する権利義務の特定承継によってなされる。
よって,労働者の労働契約の承継には
①事業譲渡の当事者である企業間での労働契約承継の合意
②労働者の同意(民625条1項)
が必要となる。
ここで,黙示の合意によって,①が満たされないか。
2 この点,黙示の合意の成立には
①譲受会社が事業をそのまま引き継いだり,他の従業員全員を雇用したりしている等,事業譲渡前後の事業の同一性が認められること
②営業譲渡に関する合意に労働契約の承継に反対する特約がないこと
が必要であると考える。


【論点】事業譲渡と労働契約 特定労働者排除型
1 事業譲渡により特定の労働者だけを承継の対象としていない場合に,当該労働者はどのような請求をすることができるか。
2 不法行為
まず,人選が不当労働行為(労組法7条違反)や,脱法行為(民法90条違反)等強行放棄違反にあたるような場合には,特定労働者を排
除する行為は無効とされ,不法行為(民法709条)により損害賠償を請求することができる。
3 地位確認
さらに,譲渡先との労働契約関係の存在を求めるためには,譲渡先と労働者との間に労働契約を基礎づける合意が存在することが必要である。
  この点,特定の労働者を排除する事業譲渡部分は,不当労働行為(労組法7条)に反し無効であるため,排除された労働者も含めて譲渡先に
承継されることになる。

 
【論点】事業譲渡 全員解雇一部再雇用型 『東京日新学園事件』
1 事業譲渡会社が事業譲渡および解散し,全従業員を全員解雇して,譲受会社が従業員の一部のみを採用することは適法か。
2 事業譲渡は,事業を構成する権利義務の個別的な合意によって行われるので,当事者間で労働契約の譲渡の合意がなされ,労働者が同意した
場合(民法625条1項)に労働契約が承継される。
3 よって,事業譲渡会社が事業譲渡および解散し,全従業員を全員解雇して,譲受会社が従業員の一部のみを採用することは許される。
ただし,偽装解散の場合は法人格否認の法理によって労働契約の承継を主張できると考える。


【論点】会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律
1 労働契約の承継
①承継される営業に主として従事する労働者の契約
承継される
分割契約書に記載がない場合
→ 労働者が異議を述べれば承継される(2条1項1号,3条,4条)
②従として従事する労働者の契約
  承継されない
分割契約書に記載がある場合
→ 労働者が異議を述べれば承継されない(2条1項1号,3条,5条)
③主として従事するかどうかの判断基準(平12労告127号)
①承継される事業に専ら従事する場合
②承継事業・非承継事業の両方に従事する場合は,時間・役割を総合して判断する
③総務・人事・経理等の間接部門は①②で判断
ただし,不明な場合はそれらの労働者を除いた労働者の過半数が承継される場合には承継
2 労働協約の承継
   分割契約書によって承継できる(6条1項)
   規範的部分
→ 協約締結組合の組合員の労働契約が承継される場合には,新設(吸収)会社と同一内容の協約が締結されたとみなされる(6条3項)
   債務的部分
→ 分割契約書によって承継できる(6条2項)


【論点】業務請負処理
1 特徴
①労働者は請負企業の指揮監督下に発注企業の事業場内で労務を提供する
②賃金の支払は請負企業が行う
③労基法上の「使用者」として責任を負うのも請負企業
2 要件
職安施行規則4条所定の要件(充たさなければ労働者派遣となる)
①作業の完成について事業主としての財政上・法律上全ての責任を負うこと
②作業に従事する労働者に指揮監督をすること
③作業に従事する労働者に対して法律に全て規定された義務を負うこと
④自ら提供する機械・設備,機材,その作業に必要な材料資料を使用し,企画・専門的な技術経験を必要とする作業を行うものであって,
単に肉体的な労働力を提供するものではないこと