刑事訴訟法 | Super Elastic ! Super Optimistic !

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 主観的出来はまずまず。
 分量は、8ページいっぱい。


 設問1は、いずれも219条の趣旨から論じれば十分合格答案になると感じた。
 また、いずれも論証を準備してあった論点であり、法解釈には悩まずに、事実の整理に時間を割くことができた。
 「同視できる」という規範をでっち上げた。
 ついでに、3つの下位規範も事実から逆算してでっち上げ。

 設問2については、平成13年最決の規範を正確に記述するように注意した。
 ほぼ一言一句違わないはず。
 判決内容については、通常は択一的認定が問題となるはずだが、択一的な部分を見出すことができなかったため、解答できなかった。
 共謀部分が付け足されているのだから、最低限、「罪となるべき事実」についての悩みを見せておくべきであった。



刑事訴訟法 
第1 設問1
 1 捜査①
 (1)本件では、捜索すべき場所を「T株式会社」とする場所に対する捜索差押許可状(以下、「本件令状」とする。)によって、捜索場所に配送された第三者の物である乙宛ての荷物(以下、「乙荷物」とする)に対して捜索を行っている。
   このような捜索が本件令状の執行として許されるか。刑事訴訟法(以下、略)219条に反しないか。
 (2)まず、捜索すべき場所に届けられた荷物に本件令状の効力が及ぶかが問題となる。
   この点,219条1項が捜索差押許可状に捜索すべき場所を記載するとしている趣旨は,憲法35条1項の保障する住居の不可侵を保障することにある。
そうすると,捜索実施中に捜索すべき場所に持ち込まれ,被告人が所持するに至った物について捜索を行うことは,新たな住居権の侵害を生じるものではないため,新たな令状を必要とする理由はない。
また,捜索差押許可状の効力に関し,令状呈示の時点において捜索場所にある物に,その効力が限定されるといった規定は存在しない。
さらに、捜索の着手と宅配物の到着という偶然の事情によって、捜索の適法性が左右されるのは不当である。
よって,配達物にも令状の効力が及び,その捜索も適法である。
   本件でも、宅配された乙荷物について捜索をすること適法である可能性がある。
 (3)ア そのように考えても、乙荷物は、第三者乙の所有する物である。このような第三者の所有物に場所に対する令状の効力が及ぶか。219条に反しないかが問題とある。
   イ この点、219条は捜索対象を「場所」、「身体」、「物」と区別して規定しており、各々を別個のプライバシーとして保護しているといえる。
     そうすると、場所に対する令状によって、第三者の所有する物を捜索することは新たにプライバシーを侵害するもので、原則として許されない。
     しかし、捜査の実効性を確保する必要がある。
     そこで、第三者の物であっても、当該場所に存在する物(本件では、甲宛ての荷物)と同視できる場合には、219条の趣旨に反しないといえる。
     具体的には、①同一人による配送物といえるか、②両荷物の類似性、③名宛人となっている者(本件では甲と乙)に関する事情等を総合して、甲・乙荷物を同視できるかを判断する。
  ウ(ア)まず、①について、両荷物について、差出人は「U株式会社」とされている。
      ここで、司法警察員Kの部下が調査したところ、「U株式会社」の地番は存在せず、電話番号も現在は使用されていないことが判明している。  
      しかし、甲の携帯電話(以下、「甲電話」とする。)には、丙なる人物から、「2つに分けて送る。お前宛のは・・・、乙宛てのは、2人でさばく分だ。」との内容のメールが残されている。
      さらに、メールでは10月5日午後3時過ぎに荷物が届く旨の連絡がなされているが、実際に、同日午後3時16分頃に両荷物が届けられている。
      このように、届けられる日時は一致しており、これをメールの送り手である人物は正確に把握していたといえる。
      そうすると、「U株式会社」は実在しないものの、少なくとも、丙なる特定の同一人物から、甲荷物・乙荷物が送られていると推認できる。
    (イ)また、②については、甲荷物・乙荷物は、いずれも、内容物として「書籍」と記載されており、伝票の筆跡は酷似している。
      加えて、外箱も同一であったことから、同一機会に、同一人物が、同一内容の物を送付したものと推認することができる。
    (ウ)ア そして、③については、まず、平成23年10月3日に、T株式会社の社長室において、甲から覚せい剤の購入を勧められたという情報がKに伝えられている。
        これを受けて、Kの部下が内偵捜査をしたところ、T社では甲の他に、数名の従業員が存在することが明らかになっている。
        そうすると、T社では、従業員ぐるみで覚せい剤の取引を行っている疑いがある。
また、部下が出入りする者に職務質問を実施したところ、これに応じなかったという事実があることから、さらに覚せい剤に関する犯罪行われている疑いが強まっているといえる。
      イ 次に、甲電話のメールには、甲が乙に向けて「10月5日午後3時過ぎに・・・2人でさばく分も来る。・・・社長室に来い。」との内容が残っている。これに対し、乙からは「その頃に社長室に行きます。」との返信がなされている。
         そうすると、実際に同日の同時刻に乙が社長室に赴いていることを併せて考えれば、乙は売りさばく覚せい剤を受け取りに、社長室に来ていたと考えるのが自然である。
      ウ そして、当日の甲乙の態度としては、両荷物が届けられた際には、甲は「今更返せないよな。」などと言い、乙も「仕方ないですね。」などと意味不明の言動をとっている。
         これに対するKからの「どういう意味か。」という問いに対して、甲・乙は無言であり、不審事由が認められる。
         さらに、Kが荷物の開封を求め、説得を続けたにも拘わらず、いずれもこれを拒否していることからも、本件荷物の中には覚せい剤が存在する可能性が高まっていたといえる。
      エ 以上の①②③の事情を総合すれば、乙荷物には、甲荷物と同様に覚せい剤が封入されている可能性が極めて高いといえる。
        よって、乙荷物を甲荷物を同視することはできるのであり、本件令状の効力によって、乙荷物を捜索することは適法である。
 2 捜査②について
 (1)本件令状の執行として適法か
  ア 本件では、T社という場所に対する令状の効力として、ロッカーの中身(荷物)という乙の管理権が及ぶ物に対して捜索できるかが問題となる。当該捜査は219条に反しないか。
  イ この点,前述の219条の趣旨からすれば、場所に対する令状の効力が認められる場所的範囲は、同一管理権に属する範囲である。
よって、原則として令状の効力は及ばないと考える。
もっとも,捜索・差押場所にいる者が捜索・差押えの目的物を隠したものと認められるような場合は,令状の効力として,原状回復として、例外的に第三者の物に対する捜索が認められる。
  ウ 本件では、まず、甲には更衣室及びロッカーの外側面については管理権が認められる。
    しかし、ロッカーには鍵か掛けられているため、内部の管理権はロッカーを使用している乙にある。
    そして、乙が捜索対象物をロッカー内に隠匿したという事情も窺われないため、本件令状によって、ロッカー内の乙の荷物を捜索することは原則通り許されない。
 (2)逮捕に伴う捜索として適法か
  ア 本件では、同日午後3時55分、甲・乙を営利目的覚せい剤所持の被疑事実で現行犯逮捕(212条、213条)している。
     そこで、逮捕に伴う捜索(220条1項2号)として、捜査②が適法といえないか。
     第三者の管理する物を捜索できるかが、条文上明らかでなく問題となる。
  イ(ア)この点,逮捕に伴って無令状で捜索差押えが許容されるのは,①逮捕時の逮捕者の安全確保に加え,②逮捕の現場には証拠存在の蓋然性が認められるから,証拠確保のため,令状主義の合理的な例外と認められる点に基づく。
したがって,捜索差押えは,緊急時に限定されず,捜索差押えの一般原則による。
具体的には,対象物は,逮捕者に危険を及ぼす可能性のある凶器等に限られず,逮捕の原因たる被疑事実に関連する物件も含むと考える。
また,「逮捕の現場」は,捜索差押許可状を請求すれば許容されるであろう相当な範囲をさす。具体的には,逮捕現場と管理権を同一にする場所的範囲をさす。
   (イ)もっとも,第三者の管理する「場所」を捜索の対象とできるか。
     この点,前述の通り,逮捕に伴って無令状で捜索差押えが許容されるのは,逮捕の現場には証拠存在の蓋然性が認められるからである。
    そうすると,第三者が管理する場所であっても,このような蓋然性が認められる場合には,捜索対象になると考える。
    このような解釈は,220条1項2号が捜索対象を特に限定しておらず,222条1項が102条を準用していることと整合的である。
    ただし,本件ロッカー内は被疑者「以外の者・・・物」(102条1項)であるから,「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」が必要である。
  ウ  まず,乙の携帯電話や手帳(以下、「手帳等」とする。)は,「証拠物・・・と思料するもの」(222条1項,99条1項本文)といえ,「押収すべき物」(102条1項)にあたる。
     そして,Kは、乙に対し、手帳等の所在場所を尋ねたところ、無言であったが、甲からは、ロッカーに入っている可能性があるとの供述が得られている。
     甲は、前述の考察の通り、繰り返し、乙と共同して覚せい剤を売却していた仲間である疑いが極めて高い。
     よって、このような甲の供述には一定の信用性が認められる。
     さらに、改めて、乙に尋ねたところ、「俺の物を勝手に荒らされたくない」と述べていることから、ロッカーの中に手帳等が存在することを乙自身が認めているものといえる。
したがって、「存在を認めるに足りる状況」もみたす。
    以上から、本件捜索は、逮捕に伴う捜索として適法である。
第2 設問2
1 本件では、公訴事実に記載されていない「丙と共謀の上」という、丙との共謀の事実が、何らの手続を経ないで判決文において示されている。
   裁判所は,不告不理の原則(378条3号)との関係で,訴因変更なくこのような有罪判決をすることができるか。
2(1)まず、当事者主義訴訟構造(256条6項,298条1項,312条1項)の下,裁判所の審判対象は,一方当事者たる検察官の主張する具体的事実である訴因に限られる。
そうすると,当事者たる検察官の主張する具体的事実に変更が生じた場合には,訴因変更手続(312条1項)が必要となるのが原則である。
しかし,多少の事実の食い違いについても,常に訴因の変更を要するとすると訴訟不経済である。そこで,些細な事実の変化であるならば,訴因変更をせずに判決を下せると考える。
(2)どの程度の事実の変化がある場合に,訴因の変更を要するか。
この点,訴因制度は,①審判対象を画定する機能と,②被告人の防御権の範囲を画する機能を有する。
そこで,まず,①審判対象画定のために不可欠な事実が変動した場合には,訴因変更が必要であると考える。
そして,それ以外の事実の変動については,②その事実の変更によって一般的に被告人の防御に不利益が生ずるような場合には,訴因変更を要すると考える。
③もっとも,審理経過等から,被告人にとって不意打ちとならず,かつ,不利益とならない場合には,訴訟経済の見地から訴因変更せずとも足りると考えられる。
 3(1)本件では、①まず,審判対象画定の見地からは,不可欠な要素ではない。
    なぜなら,共謀共同正犯理論によれば,数人が共謀していること,共謀者のうち少なくとも一人が実行行為を行っていることが立証されれば,全員が共犯者として責任を負うからである。 
  (2)②次に,共謀の相手方が異なれば,共謀内容等の具体的事実経過に大幅な変更をもたらすのが通常であり,実行行為者と認定されれば通常は、犯情が重くなることから,被告人の防御にとって重要な事実であるといえる。
(3)ア しかし,③同年11月24日に開かれた第1回公判期日では、甲及び弁護人は、密売の元締めである丙の手足として、その支配下で甲らが販売することになっていたとして、丙との共謀を主張し、認定すべきとの意見を述べていた。
    そうすると、丙との共謀を認定することが、甲にとって不意打ちとなるわけではない。
  イ また、本件では、裁判所としては、丙との共謀が認められた場合には、甲らは従属的立場にあることになるから、共謀がない場合よりも犯情が軽くなると考えている。
    そうすると、丙との共謀を認定することは、甲にとって利益になるといえ、不利益を生じるものではない。
4 よって、本件では訴因変更は必要なく、手続及び判決の内容には何ら問題がないといえる。
以上