主観的な出来は、何とか守れていれば良いなという感じ。
分量は、6ページいっぱいくらいだったはず。
設問1については、結論的には処分性否定が正しいと知っていました。
しかし、後続の処分まで検討に入れろとの誘導から、処分性を認める方が書きやすいと判断し、処分性を肯定することにしました。
参考判例の趣旨をもっと明確に示した上で、これをひとつずつ反駁していくという構成をとれば、説得力が増したと思います。
設問2については、適法とする立論の理由に苦労しました。
現場での苦し紛れのでっち上げです。
設問3については、やや時間切れでした。
また、反対事情を挙げなさい、基本事項も丁寧に検討しなさい等という誘導を考えすぎてしまって、時間的にさらに苦しくなりました。
全体的に、内容こそ基本事項ばかりでしたが、事務処理量は一定程度あったため、時間管理がものをいう問題だったと思います。
行政法
第1 設問1
1 本件計画決定(以下、「本件決定」とする)に、処分性が認められるか。
この点,「処分」(3条2項)とは,行政行為,つまり,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものであるのが原則である。
しかし,今日における行政主体と国民との関わり合いは従来想定されていた単純なものに止まらない。
したがって,上記基準を基本としつつ,立法者意思,紛争の成熟性,国民の実効的権利救済などの様々な観点を考慮に入れて,処分性を判定すべきである。
2 本件では、都市計画施設として道路を整備する事業は、都市計画決定と、都市計画事業認可の2段階で行われるところ、土地区画整理事業について処分性を認めた判例の趣旨は後者の事業認定についてあてはまるものとされる。
そうすると、本件決定については、同判例の趣旨は及ばず、青写真的性格を有するにすぎないとして、法効果性が認められず、処分性が認められないとも思える。
3 (1)しかし、以下の理由で本件決定には処分性が認められる。
(2)まず、Pの所有する土地は道路の建設が予定される都市計画施設内に属するところ(都市計画法(以下、略)11条1項1号、4条6項)、建築物の建築をするためには都道府県知事の許可を得る必要がある(53条)。
そして、本件でPが上記許可を受けることは非常に難しいといえる。
なぜなら、53条が建築を知事の許可にかからしめた趣旨は、同法54条が許可の基準として、階数が2階以下であり、鉄骨コンクリート造りの建築物を除いていることから、高層建築や、堅固な造りの建物が都市計画を阻害することを避ける点にあるといえる。
そうすると、Pが建築しようと考えている高層の堅固なマンションについては、この趣旨・基準に反し、許可が望めない状況といえる。
よって、本件決定により、Pは建築制限を受けることになり、具体的な法効果が認められる。
(3)次に、本件決定がなされると、これに次いで、事業の内容が都市計画に適合する限り、事業認可がなされることになる(61条1号)。
そして、事業認可がなされれば、告示を経て(62条1項)、都市計画事業の支障となるような土地の形質の変更等については、知事の許可を要することになる(65条1項)。
重ねて、この規制に反して建築を続行した者には、停止・是正命令がなされ(81条1号)、これに反すれば、50万円以下等の罰則にさらされることになる(91条)。
さらに、事業認可は、土地収用法上の事業認定に代えるものとされているが(69条、70条)、一般に土地収用法上の事業認可には処分性が認められている。
これらの事情から、本件決定の時点で、後に事業認可がなされる可能性が相当程度高いことも踏まえれば、本件決定には、Pが建築制限に服さなければならないという不利益を生じさせるもので法効果が認められる。
4 よって、上記判例の趣旨は、本件決定にも及び、本件決定には処分性が認められると考える。
第2 設問2
1 違法とする立論
(1)本件で、Q市が都市計画を変更しなかった不作為(以下、「本件存続」とする)が、21条に反しないか。
まず、計画の変更について、Q市に裁量が認められるかが問題となる。
この点、行政計画には、一般に公益適合性が認められるし、将来の展望に基づいて、財政面等を考慮して行う必要があり、専門技術的判断が求められる。
よって、Q市には一定の裁量が認められる。
(2)そうだとしても、行政庁の裁量権の行使としての処分が,全く事実の基礎を欠くか又は社会通念上著しく妥当を欠き,裁量権の範囲を超え又は逸脱してされたと認められる場合に限り違法である(行訴法30条)。
本件では、①調査結果の内容にも拘わらず、地元の主張に配慮して交通需要が増加すると判断している点、②道路密度が従前の運営より、1キロメートル前後下回ることを理由にしている点について、裁量の逸脱濫用がないか問題となる。
(3)①地元の主張に配慮して交通需要が増加すると判断している点について
ア 本件では、地元の主張を考慮している点が他事考慮とはいえなくても、当該事項を重視しすぎているとして違法であるといえる。
つまり、都市計画法は、都市の健全な発展と秩序ある整備を目指しているところ(1条)、最大限重視すべきは客観的事実である調査結果であって、地元住民の主張は考慮するとしても調査結果に後れるものであるはずである。
このような法の趣旨は、5年ごとの調査を義務付け(6条)、この調査結果に依拠して地域ごとの特質を考慮して都市計画を一体的に定めるとする(13条各号)規定に現れている。
イ そうすると、本件では、調査結果に基づいて判断すべきであったといえる。
具体的には、c地点付近ではいわゆる「空洞化」がみられ、bc地点を結ぶ道路の交通量は1990年から2010年までの20年で約20%減少している。
住民の主張する復興を考慮して、整備がすすめられた場合には交通需要が回復すると推計を立てることは、都市計画法の趣旨に反する判断である。
ウ よって、Q市は、調査結果を重視して、計画を変更すべきであったのだから、「変更する必要が明らかになったとき」(21条)にあたり、本件存続は違法である。
(4)②道路密度が従前の運営より、1キロメートル前後下回ることを理由にしている点について
ア まず、健全な都市の発展を目指す法の趣旨からすれば、道路密度を考慮することは、裁量の適切な行使の範囲内といえる。
しかし、本件では、わずか1キロメートルの不足が生じるにすぎないのであるから、直ちに都市計画に悪影響を与えるとはいい難い。
よって、このような事情を重視しすぎている点に違法があるといえる。
2 適法とする立論
(1)上記の通り、行政裁量には、裁量が認められる。
そして、本件存続は、裁量権の適切な行使の範囲内にあるもので、適法である。
(2)①地元の主張に配慮して交通需要が増加すると判断している点について
ア まず、都市計画法は健全な都市の発展を目指している(1条)ところ、地域住民の意向を汲んだ計画の策定は、健全な都市の発展に不可欠である。
そうすると、①のような事情を考慮することは、直ちに裁量の逸脱を導くものではない。
イ 次に、どの程度、①の事情を重視すべきであるかについては、基礎調査を中心としながらも、合理的な推計をすることは許されると考える。
本件でも、交通整備が行われれば、「空洞化」に歯止めがかかり、交通需要が増加するという推計には合理性が認められる。この判断は調査結果と矛盾するものでもない。
そうすると、このような住民の主張を考慮して、「変更する必要」が明らかでないと判断したQ市の判断には裁量の逸脱は認められない。
(3)②道路密度が従前の運営より、1キロメートル前後下回ることを理由にしている点について
たしかに、上記の通り、1キロメートルの不足はわずかなものにすぎないとも思える。
しかし、法は、道路密度について直接規定している訳でなはないものの、5年ごとの調査を義務付けていることからすれば、きめ細かく現状をチェックした上で、修正をしていくことが都市計画事業において重要であると考えられる。
そうすると、わずかな不足であっても、このような事態が積み重なれば都市の健全な発展に支障を来たすことも十分の考えられることから、本件存続は裁量の範囲内の判断であると考える。
(4)よって、本件存続は21条に反せず、適法である。
第3 設問3
1 本件存続が適法であることから、本件土地の地価が建築制限により低減していることについて、損失補償を検討する。
2 まず、都市計画法には、損失補償を認める規定は存在しないため、憲法29条3項に基づいて上記請求をすることになる。
3 まず、本件は、都市計画決定による損失を求めるものであり、「公共のために用いる」場合にあたる。
4 次に、損失補償の趣旨は、特定人に生じた損害を衡平の見地から、一般国民の負担に帰す点にある。
そうすると、①特定人に対する、②特別の犠牲について、損失補償が認められるべきである。
5 本件では、①たしかに、本件決定による建築制限は、当該計画区域に属する一般人に対いて生じるものである。
しかし、持病が悪化して商店を営めなくなったPにとって、高層マンションの建築制限が生じていることから、Pという特定人に対して損失が生じていたといえる。
6 次に、②たしかに、Pが商店を営めなくなったのは、持病によるものであると同時に、本件建物が建築から45年を経過しており、老朽化していたからにすぎない。
しかし、Pは1965年以来、45年、本件土地で商店を営んでいたため、地域の住民に密着した経営を行ってきたものといえる。
そして、商店の経営が困難になったため、老後の収入を得るために、マンションを建築しようとしていたのであり、これに対する建築制限は、特別の犠牲というべきである。
7 よって、①②の両者をみたすため、損失補償は認められる。
以上