今年は二十四節気を意識しながら暮らそうと思っていたのに、小満の記事を書きそびれてしまった。
気がつけば季節は次の節気である芒種へと向かっている。
小満とは、あらゆる生命の気が満ち始める頃を指す。
草木は勢いよく葉を広げ、田畑の作物も育ち始める。万物が満へ向かって成長し、日差しも日に日に強くなっていく季節だ。
そう考えると、今年の春から初夏にかけての景色にも思い当たることが多い。
街路樹の緑は濃くなり、庭先の植物もぐんぐん成長している。スーパーには梅や新しょうがが並び始め、季節は確実に次の段階へ進んでいる。
本来なら小満の頃にその変化を書き留めるつもりだった。
けれど、小満と芒種は決して別々の季節ではない。
小満で満ち始めた生命の力が、芒種では実際の種まきや田植えという形になって現れてくる。
芒種の「芒(のぎ)」とは、稲や麦のような穂先にある針のような部分のことだという。
昔の人は、この頃が種をまくのに適した時期だと考え、季節の節目として大切にしてきた。
そして田植えの季節は、単なる農作業の時期ではなく、豊かな実りと収穫までの無事を願う祈りの季節でもあった。
各地の神社では今も田植えにまつわる神事が受け継がれている。
有名なものの一つが大阪の住吉大社で行われる御田植神事だ。
伝統的な装束に身を包んだ人々によって田植えが行われ、五穀豊穣を願うその姿は、日本人が長い年月をかけて育んできた農耕文化と祈りを今に伝えている。
普段はスーパーで米を買うだけの私たちだが、その一粒一粒の背景には、自然への感謝や収穫を願う人々の思いが積み重なっているのだろう。
最近は季節の移ろいを意識する機会も減ったけれど、二十四節気を眺めていると、自然は思った以上に律儀に歩みを進めていることに気づかされる。
私が小満の記事を書き忘れている間にも、草木は成長し、田には水が入り、人々は今年の実りを願っていた。
種が蒔かれ、祈りが捧げられ、やがて秋の実りへと向かう。
自然は急がない。
けれど、止まりもしない。
小満を書き忘れた私を置いて、今年も季節は芒種へと向かっている。
今年の小満は5月21日、そして芒種は6月5日。
- 小満:5月21日~6月4日頃
- 芒種:6月5日~6月20日頃


