大規模な地震が懸念される地域とされていたようですが、これまで比較的、地震が少なかったことや、日本中どこにも危険性があって、現実的に、常に警戒して過ごすというわけにはいきません。今回まさに、青天の霹靂のごとく、天災に見舞われたと感じられたかもしれません。
東日本大震災でもすさまじい被害を目の当たりにして、一瞬にして、生命が奪われるとか、日常の暮らしを押しつぶす、天災の威力に畏怖するばかりでした。さまざまな困難に直面する被災した人たちの深い苦悩が思いやられ、いざ自分に置きかえるとひるんでしまいそうです。
天災という過酷な運命に容赦なく襲われたとき、逃げたくとも、逃げられない状況があります。そこには生きる基盤があって、翻弄されながらも、必死で生きぬくことを考えるしかありません。
実は、現実に向きあう自分とは別に、与えられた運命に対峙する、覚悟を持った自分がいるかもしれません。多くの人が、苦悩を秘めながらも、冷静に受けとめ、気丈に立ち向かっているからです。
現場からのリポートで、被災した人が、苦境にあってコミュニケーションの大切さを思い知らされたというものがありました。それは、緊迫した状況で、近所の人どうしが助けあい支えあう、ありがたさを痛感したということです。
さらに、今後、避難生活においても、住民どうしがコミュニケーションによって、困難を乗り越えていく場面が多くあるでしょう。たがいをいたわる気持ちや、助力や支援への感謝の念を、強く抱く機会があるでしょう。
それは、人が生きるうえで、崇高で尊い感情です。厳しい現実を受けとめることで、そうした気高い境地に至ることができるのでしょう。
容赦のない天災に、無力の人間はなすすべはないかもしれません。生命を脅かすような危機、平穏な暮らしを暗転させる事態に、当惑するかもしれません。そのような運命を、恨みたい気持ちになるかもしれません。
けれど、厳しく過酷な運命に向きあうことによって、かけがえのない経験をすることができます。真に生きる意味をみいだす機会になるかもしれません。
現実に対処して、将来を考えると、不安が募ることでしょう。けれど、けして絶望することはありません。
過酷な運命であっても、それを受けとめることで、かならず道はひらかれていきます。苦境にあって、人の思いのありがたさに気づく、おおらかな気持ちがあります。それは、だれもが心に秘めている、崇高な愛なのではないでしょうか。
天災は、非情なものと思います。けれど、その運命は、崇高な愛が発揮される機会ともなるでしょう。人と人が心を結んで乗り越えるように、天から投げかけられている試練なのかもしれません。
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