第三部「かじつのFANTASY」

佳林の家の庭
幼少時の佳林と両親

佳林「ちゃんとそだつかな?」
座って大事そうに果実の種を
両手で包み込んでいる
両親「一生懸命に愛情を持って
育てれば大丈夫だよ♪」
後ろで見守っている
佳林「うん!わかった♪」
スコップで穴を掘り始める
両親「ちゃんと育ったら
佳林よりも大きくなるよ♪」
佳林「えー?ほんと?かりんもまけないもん!」
種を穴に入れ、土を被せ、ペタペタしている
両親「ふふふ♪」
佳林の頭を撫でている
佳林「おおきくなぁれ♪ おおきくなぁれ♪」
楽しそうに水やりをする佳林

そして10数年後

春の大会(団体戦)
J高校とA高校の決勝戦
J高校は惜しくも負けてしまい、A高校の優勝

試合の帰り道

あかり「あ〜!悔しいよ!」
朋子「あともうちょっとだったのにね」
紗友希「仕方ないよ。みんな頑張ったし」
由加「そうだね。みんなお疲れ様」
佳林「…」

佳林の家

佳林「ただいま〜」
母親「お帰り〜。試合、どうだった?」
佳林「うん。準優勝だったよ♪」
母親「そう。お疲れ様♪
 夕ご飯、もうすぐできるからね♪」
佳林「うん♪」

佳林の部屋
椅子に鞄を置き、猫のぬいぐるみを抱え込んでベッドに倒れ込む佳林

佳林「負けちゃった…」
涙ぐんでいる
携帯「ピコーン♪」
アイフォーンにメールが届く
佳林「ん?誰からだろう…?」
メールを読む佳林
あかり「もうちょっとだったのに
本当に悔しいよね(>_<)」
佳林「うん、そうだよね。
次はきっと勝とうね(´∀`*)」
あかり「うん!もちろん!」
携帯「ピコーン♪」
またアイフォーンにメールが届く
由加「今日はお疲れ様♪ 
落ち込んでたようだけど大丈夫?」
佳林「うん!大丈夫♪ 
気にしてくれてありがとう(´∀`*)」
由加「良かった♪ じゃ(・ω・)ノまたね」
母親「佳林ー!ご飯できたよー!降りておいでー!」
佳林「はーい♪」

その夜
試合での悔しさを思い出しながら眠り込む佳林
涙が頬を伝わる
アイフォーン「インストールが完了しました」


ある日の朝
家の庭にある木や花に水をあげる佳林
その後、買い物へ向かう途中

少女「わーい♪ ママ、はやくおいでー!」
母親「そんなに早く走ったら転んじゃうよー」
少女「あっ!」
転んじゃう
佳林「あっ!大丈夫?」
通りがかった佳林が少女を起こしてあげる
少女「うわーん!」
佳林「泣かないで…あっ!そうだ。
痛くなくなるお呪いしてあげるね♪
いたいの、いたいの、とんでけ〜♪」
少女「え…」
キョトンする少女
佳林「どう?飛んでったでしょ?」
少女「ぐすん…もうへいき。ありがとう♪」
佳林「良かった♪」
携帯「ピコーン♪」
アイフォーンにメールが届く
朋子「ごめーん!寝坊した〜
少し待ち合わせに遅れるよ」
佳林は確認してメールを返す
佳林「大丈夫だよ♪ 待ってるからね(´∀`*)」
朋子から返事が来る
朋子「佳林は優しいね♪ 急いで行くからね!」
佳林はまた返す
佳林「急いで走って転ばないようにね(´∀`*)」
朋子からまた来る
朋子「えっ?(笑) わかった!」


ショッピングモール
朋子が遅れてくる

朋子「ごめーん!ハァハァ…待った?」
手を振りながら走り寄ってくる
あかり「遅いよ!朋子!」
佳林「少しだけだよ♪ さあ、買い物しよう♪」
3人でお店を回る
携帯「ピコーン♪」
佳林のアイフォーンにメールが届く
佳林「ん?紗友希?」
紗友希「由加の誕生日プレゼント、もう決めた?」
佳林はメールを返す
佳林「うん♪ もう決めて買ったよ(´∀`*)」
紗友希から返事が来る
紗友希「そっかぁ。私はまだ迷い中だよ〜」
佳林はまた返す
佳林「何か形に残る物が
良いんじゃないのかな(´∀`*)」
少女の鳴き声が聴こえる
少女「うわーん!ママー!」
あかり「ねえねえ。あの娘、迷子じゃない?」
佳林「えっ?あっ。そうかも…」
3人がそばに駆け寄る
朋子「どうしたの?ママとはぐれちゃったの?」
少女「うん…」
あかり「お姉ちゃんたちが一緒に探してあげるよ♪」
少女「うん…」
佳林「お名前は何?」
少女「ぐすん…さゆき…」
佳林「え!?」
協力してママを見つけてあげる
少女「ママだ〜♪」
母親の元に駆け寄り、抱きつく少女
母親「もう…心配したじゃないの…」
あかり「見つかって良かったね♪」
少女の頭を撫でる
少女「うん♪ ありがとう♪」

帰り道

朋子「さっきの娘、
さゆきって名前でビックリしたね♪」
あかり「明日、紗友希に話ししなくちゃね♪」
佳林「紗友希が迷い中…
さゆきって娘が迷子…偶然かな…」
1人つぶやく佳林

翌日
紗友希に昨日の事を話して笑い合う

佳林「で?プレゼントは決まったの?」
紗友希「うん♪ お姉ちゃんに相談したら
良いのが見つかったよ♪」
佳林「そっかぁ。良かったね♪」

由加の誕生日
朋子、あかり、佳林の3人でプレゼントを渡す

3人「お誕生日おめでとう〜♪」
由加「ありがとう♪」
プレゼントを開けてみる
由加「えっ?これって…高かったんじゃない?」
あかり「大丈夫♪ 3人で出し合って
1つを買ったの♪」
由加「そうなんだ…3人ともありがとうね♪」

その日の夜
佳林の部屋

携帯「ピコーン♪」
アイフォーンにメールが届く
由加「今日は本当にありがとう(・ω・)ノ」
佳林はメールを返す
佳林「喜んでもらえて良かったよ(´∀`*)」
由加から返事が来る
由加「あんなに高い物で本当に
ビックリしたよ(・ω・)ノ」
佳林はまた返す
佳林「サプライズ大成功だね(´∀`*)」
また由加から返事が来る
由加「宝物にするね(・ω・)ノ
あっ!紗友希の誕生日も近いけど
プレゼントどうする?」
佳林はまた返す
佳林「今度は4人で出し合って
ビックリさせよ(´∀`*)」
また由加から
由加「了解〜。楽しみ♪ じゃ(・ω・)ノまたね」


午後の練習終わり
J高校テニス部の部室

あかり「ふー。疲れた〜」
紗友希「今日の練習もハードだったね」
由加「みんな、お疲れ様♪」
朋子「あれ?携帯、どこいったかな…」
佳林「電話かけてみよっか?」
佳林が電話すると朋子のバッグの中で音が
朋子「見つかった〜。ありがとう♪」

学校からの帰り道
一組の親子が歩いている

少女「リン♪ リリン♪ リンゴ〜♪」
母親「その歌、どうしたの?」
少女「うんとね。きょう、ならったの♪」
母親「そうなんだ。上手だね〜♪」
通りがかる朋子と佳林
朋子「うふふ♪ 楽しそうだね♪」
佳林「うん♪ なんか聴いてたら
リンゴが食べたくなっちゃった♪」

佳林の家
夕ご飯を食べる

佳林「いただきまーす♪」
TVでクイズ番組が映っている
佳林「ご飯、美味しいね♪」
司会者「青森県が生産1位の
赤い果物といえば?」
少女「りんご!」
TVから「ピンポーン♪」の音が
佳林「あれ?誰か来たのかな?」
母親「TVの音でしょ(笑)」
佳林「そっかぁ。ふふふ♪」

佳林の部屋
机に座り勉強をしている

母親「佳林?」
母親が部屋のドアを叩いて入ってくる
佳林「ん?どうしたの?」
母親「お昼に作ったの♪ 
これ食べて頑張ってね♪」
佳林「わぁ!アップルパイだ〜♪」
母親「焼きたてだから♪」
佳林「今日、ちょうどリンゴが食べたいと思っていたんだ〜。何で分かったの?」
母親「ふふふ♪ 親子だから以心伝心なのかもね♪」
佳林「ありがとう♪ 頑張るね♪」

真夜中
寝ようとしてベッドに入り、
アイフォーンの目覚ましをセットする佳林
アイフォーンの裏のマークに気付く

佳林「あっ…リンゴ…Zzz」


ある日のお昼休み

あかり「あっ!見て見て〜」
佳林にアイフォーンの画面を見せる
あかり「12時1分で佳林の誕生日だよ♪」
佳林「わぁ〜本当だ♪」

午後の授業

先生「では教科書121ページを開いて下さい」
あかり「!!」
佳林「!!」
2人はビックリして顔を見合わせ微笑む

帰宅途中の電車
練習の疲れから眠り込む
夢見る佳林

佳林「ここは…森…?
何でこんな所にいるの?」
森を進んで行くと1人の少女が座っている
佳林「えっ!?急に雨が…」
強い雨が降り出す
少女「ママ〜。つぎのえきだよね?」
母親「そうだよ♪」
親子の声により、ハッと目を覚ます佳林
佳林「寝過ごしちゃうところだった…」

佳林の地元の駅
雨が降っている

佳林「あれ?いつの間に雨が…」
傘も無く雨が降るのを見上げている
佳林「困ったなぁ」
1人の女性が佳林に近づき紙を渡す
女性「これ、良かったらどうぞ♪」
佳林「あっ。どうも♪」
紙には「ピザの配達。30分以内で」と
佳林「美味しそう♪ でも今は傘の配達を
して欲しいなぁ。なんてね♪」
雨を見上げること10数分後 
改札口から出てくる人たち
母親「佳林?」
佳林「あれ?お母さん?どうして?」
母親「ちょっと今日、電車で出かけててね。傘、持ってないの?お母さん、持ってるから一緒に帰ろ♪」
佳林「わぁ♪ 助かったよ♪」

家への帰り道
道の真ん中にカタツムリが

母親「でね。久しぶりに友達に会って…」
佳林「あっ!かたつむりだ♪」
拾い上げてそばにある紫陽花に載せる
母親「ふふふ♪ 佳林は優しい子だね♪」
佳林「お母さんに似たんだよ♪」
片目をつむりウインクをする(片つむり)
母親「まあ♪ お上手、言っちゃって♪」
佳林「ふふふ♪」

7月2日
朋子の誕生日
朝練前の部室
由加、紗友希、あかり、佳林の4人が
朋子にプレゼントを渡す

4人「お誕生日おめでとう♪」
後輩「誕生日おめでとうございます♪」
朋子「みんな、ありがとう♪」
由加「さあ、じゃあ練習を始めよう!」
全員「はい!」

朝練終わりの部室
朋子がメールの着信に気付く

朋子「え?朝練中にメールが沢山…」
4人からもメールが
由加「誕生日おめでとう♪」
紗友希「誕生日おめでとう♪」
佳林「誕生日おめでとう♪」
あかり「誕生日おめでとう♪」
朋子「ん?…あっ!」
由加「ふふふ♪ 気が付いた?」
紗友希「受信時間が7時2分になってるでしょ?」
あかり「みんなでビックリさせようと思ってね♪」
佳林「アプリのタイマーで送信したんだ♪」
朋子「そうなんだ…ありがとうね♪」

学校からの帰り道(由加)
郵便局に寄る由加

由加「すいません。簡易書留を出したいんですが」
局員「じゃあ、こちらに載せて下さい」
由加「はい」
封筒をはかりに載せる
局員「では42gなので402円になります」
由加「えっ!?」
局員「ん?どうかされましたか?」
由加「え…あの…私の誕生日が
4月2日なので驚いちゃって…」
局員「そうなんですね♪ 何かおめでたいですね♪」
由加「あっ…はい。ありがとうございます♪」

学校からの帰り道(紗友希)
駅前で自転車で帰る友達に手を振り、
ホームまで駆け足で登る紗友希
電車は行ってしまう

紗友希「ハァハァ…行っちゃった…」
近くに1組の親子がいる
少女「ママ〜。つぎのでんしゃはいつ?」
ママ「次はね〜。4時21分に来るよ♪」
紗友希「えっ!?」
少女「ん?どうかしたのおねえちゃん?」
紗友希「えっ…あっ。ええとね。
お姉ちゃんの誕生日が4月21日で電車の時間と
同じだから驚いちゃったの」
少女「そうなんだ!じゃあくるのたのしみだね♪」
紗友希「うん♪ ありがとう♪」

学校からの帰り道(あかり)
あかりが交差点で信号待ちしている
近くに1組の親子がいる

少女「ママ〜!あのくるまのすうじ!」
あかり「ん?」
少女の指差す方を釣られて見ると
「12ー30」
あかり「えっ!?」
ママ「あっ!あかりの誕生日の数字と一緒だね♪」
あかり「え〜!!!!!!!!!!!!!!!」
少女「お、おねえちゃん?どうしたの?」
あかり「あ…うん。私の名前も(あかり)で
誕生日も12月30日で一緒なの…」
少女「え〜!!!!!!!!!!!!!!!!」
ママ「2人一緒だなんて…凄い偶然…」
あかり「こんな事ってあるんだ…」
少女「ふしぎ〜。でもなんかうれしいな♪」
あかり「うん♪ お姉ちゃんも嬉しいよ♪
見つけてくれてありがとうね♪」
少女「えへへ♪ あかり、ぐうぜんみつけたんだ♪」


学校からの帰り道(佳林)
パン屋に寄る佳林

佳林「あ〜お腹すいちゃったな。
どのパンにしようかな〜?
あっ!このたまごのパンにしよっ♪」
レジに向かう佳林
店員「いらっしゃいませ♪
良かったら新商品のアンズのパンも
ご一緒にいかがでしょうか?」
佳林「わぁ♪ 美味しそう♪
じゃあ、それもください♪」
店員「有難うございます♪
では2点で379円になります」
佳林「はい。じゃあ、これで♪」
店員「500円お預かり致します。
では121円のお返しになります。
レシートをお確かめ下さい」
佳林「はーい。あっ!」
店員「どうかされましたか?」
佳林「お腹が鳴っちゃいました♪ えへへ♪」
店員「…ではお早めにお召し上がり下さいね♪」
佳林「はーい♪」

家族揃っての誕生日会(朋子)
ケーキのろうそくの火を消す朋子

家族「誕生日おめでとう♪」
朋子「ありがとう♪」
携帯「ピコーン♪ピコーン♪ピコーン♪ピコーン♪」
アイフォーン4回連続鳴る
朋子「えっ!?」
メールを確認すると
由加、紗友希、佳林、あかりから
「誕生日おめでとう♪」
朋子「何でまた…あっ!19時2分…」
4人にメールを返す
朋子「本当にありがとう♪」




夏の大会
J高校は順調に勝ち進みM高校との決勝戦へ
だが、惜しくも負けてしまいM高校の優勝
またもや準優勝に終わっしまう

試合の帰り道

あかり「何で勝てないの…」
朋子「何が足りなかったんだろう…」
紗友希「精一杯に練習したのに…」
由加「一体どうすれば良いの…」
落ち込む4人
佳林「…次は…次は絶対に勝とうよ」
笑顔で皆に話しかける佳林
あかり「次は次はっていつなの!?
気休め言わないでよ!」
佳林「次は…」
大粒の涙を流す佳林
あかり「えっ!?…佳林…」
朋子「そうだね…次は…」
紗友希「また頑張って次は…」
由加「次はきっと…」
あかり「ごめんね…佳林…」
泣いている佳林を抱きしめる

佳林の家

佳林「ただいま〜」
母親「お帰り〜。試合、どうだった?」
佳林「うん。また準優勝だったよ♪」
母親「そう…お疲れ様…
今日、おじいちゃん、おばあちゃんと
食事に出かけるけど一緒に行けそう?」
佳林「え?何で?行けるよ♪」
母親「そう…とにかく鏡を見てきなさい」
佳林「う、うん…」
鏡の前に立つ佳林
佳林「あっ…うさぎさんみたいに目が真っ赤だ…」
顔を洗う

ファミレス
食事を楽しむ佳林の家族

佳林「美味しいね♪ おじいちゃん、おばあちゃん♪」
母親「佳林…」
佳林「デザートは何にしようかな♪」

その夜
試合での悔しさを、思い出し泣きながら眠る
夢見る佳林

佳林「ん?また森だ…なぜ?」
森を進んでいくと1人の少女が木を見上げている
少女「今年も実がならなかった…どうすれば…」
佳林「…」
寝ている佳林の頬に涙がつたう
アイフォーン「アップデートが完了しました」 


夏休み
J高校テニス部の夏合宿
高原にて練習に励む
初日のテニスコート

佳林「ハァハァ…ん?」
練習風景を近くの別荘の窓から
眺めている乙女に気付く
佳林「あ…」
ぺこりと頭を下げる佳林
乙女もぺこりとしてダブルぺこりんちょす
それから毎日のように何かを書きながら
練習風景を眺める乙女

7日目
早朝に皆で登山へ向かう
濃霧の中で皆とはぐれてしまう佳林

佳林「やばい…迷子になっちゃった…
みんな…どこ…」
森の中を進んで行くと1人の乙女が
木に座り本を読んでいる
乙女「…」
佳林「あっ!」
乙女「ん?あっ…」
お互いにダブルぺこりんちょす
佳林「おはようございます♪ 初めまして♪」
乙女「おはよう♪ 初めましてだね♪」
佳林「いつも練習見てますよね♪ 
あっ。私は佳林。宮本佳林っていいます♪」
雨子「私は雨子。児玉雨子。よろしくね♪」
佳林「こんな所で会うなんて偶然ですね♪」
雨子「そうだね♪ 今日はどうしたの?」
佳林「あっ。皆で登山していたんですが…
私だけはぐれちゃって…」
雨子「そう♪ じゃあ、一緒に探してあげるね♪」
佳林「わぁ♪ ありがとうございます♪」
佳林の手を引いていく雨子
雨子「たぶん、こっちだよ♪」
佳林「えっ!?えっ!?何で分かるんですか?」
雨子「ここには何度か来た事あるから♪」
佳林「そうなんですね♪ 
ところでいつもお部屋にいるみたいですけど
何か勉強とかされているんですか?」
雨子「うふふ♪ 実はね…物語を書いているの♪」
佳林「えっ!?凄い!
もしかして小説家さんですか?」
雨子「ううん。ただの趣味♪」
佳林「良かったら今度、
読ませてもらえませんか?」
遠くから朋子の声が
朋子「かりーん!どこにいるのー」
佳林「あっ!?ここだよ朋子ー!」

雨子「うふふ♪」
佳林「あっ。じゃあ皆の所に行きます。
本当に助かりました♪ ありがとうございます♪」
雨子「見つかって良かったね♪
あっ。ちょっと待って。頂上を目指すんでしょ?
これ良かったら使って♪」
佳林「わぁ♪  凄くオシャレな傘♪
え?この後、雨が降るんですか?」
雨子「これは日傘だよ♪ 
山の天気は変わりやすいから降るかも?
それに杖みたいに使えるから登る時に
きっと役立つと思うよ♪」
佳林「そうなんですね♪ 助かります♪
重ね重ねありがとうございます♪」
雨子「え?もしかして今のシャレ?」
佳林「えっ!?あっ!かさねがさね…本当だ!
無意識でしたけどシャレになっていましたね♪」
雨子「うふふ♪ 謝礼の言葉だけにね♪」
紗友希「かりーん!」
佳林「あっ。じゃあ行ってきます♪
日傘、今度お返ししますね♪」
雨子「うん♪ 気をつけてね。行ってらっしゃい♪」
佳林「はい♪」
道を進んで行く佳林の後ろ姿を見つめる雨子
雨子「頑張ってね…佳林ちゃん…」
「こーんな
おっしゃれ~な
傘まで用意していただき」

山頂まであと少し

あかり「ふー。結構、良い運動になるね♪」
佳林「ハァハァ…あともうちょっとだね♪」
あかり「あぁ!見て!虹だよ!」
佳林「わぁ♪ 本当だ♪ 綺麗だね♪:
朋子「でも何で雨も降ってないのに虹が?」
由加「たぶん、あっちの山では
雨が降ったんじゃない?」
紗友希「虹が見られるなんてラッキーだね♪
良い事ありそう♪」
由加「皆で虹と一緒に写真を撮ろうよ♪」
朋子「いいね♪ 先生、お願いします♪」
先生「じゃあ、撮るよ〜。はい、チーズ♪」
全員「ありがとうございます♪」
山頂に到着
朋子「着いたー!」
由加「やったー♪」
紗友希「ヤッホー!」
山彦「ヤッホー!」
由加「いいね♪ せーので皆でやってみようか?」
全員「せーの。ヤッホー!!!!!:
山彦「ヤッホー!!!!!」
佳林「ふふふ♪ 楽しいね♪ ヤッホー!」
山彦「ヤッホータイ!」
佳林「え…今、ヤッホータイって…」
由加「え?気のせいじゃない?」
朋子「気のせい、気のせい。
さあ、お弁当食べよっ♪」
佳林「本当だってば!」

夜のお風呂あがり

佳林「あっ。お母さんから電話だ♪」
母親「部活の練習、頑張ってる?
今夜、ペルセウス流星群が見頃らしいよ♪」
佳林「うん!頑張ってるよ♪
そうなんだ!あっ!お願い事を考えなきゃ♪
お母さんはお願い事、もう考えた?」
母親「もう考えてあるよ♪」
佳林「え〜。何?何?教えてよ〜」
母親「佳林たちが次の大会で
優勝できますようにだよ♪」
佳林「お母さん…」
母親「ん?」
佳林「必ず叶えてみせるからね…」
母親「うん♪ 応援してるからね♪」
展望台で夜空の流星群を皆で見る

真夜中
夢見る佳林

佳林「あれ?ここは今朝の森?
また迷っちゃったのかな…」
森を進んで行くと1人の少女が
傘をさして座っている
佳林「えっ!?急に雨が…」
強い雨が降り出す
少女「だいじょうぶだよ♪
かりんがまもってあげるからね♪」
小さな木を強い雨から守るように
傘をさしている
佳林「あれは…小さい頃の私?」
母親の声が聴こえてくる
母親「かりん!台風来てて危ないから
家に入っておいで!」
かりん「やだっ!だってこのままじゃ
かわいそうなんだもん…」
母親「もう!じゃあ、傘をここに
くくり付けとくからこれで良いでしょ?」
木の側に傘を固定する
かりん「うん…」
どこからともなく声が聴こえてくる
紗友希「佳林!朝だよ!起きて!」
佳林「うーん…今何時…?」
紗友希「7時だよ」
佳林「えっ!?やばい!!!!!
朝練は?????」
紗友希「朝練は休みだよ♪」
佳林「なんだ…ふー。良かった…」
紗友希「朝ご飯の時間だから食べに行こう♪」
佳林「Zzz」
紗友希「ちょっと、佳林!」
佳林「あと5分…」

午後の練習中
合宿が続き、疲労が溜まり始める部員たち
ベンチで休憩

あかり「ふー。流石にこう毎日練習だときついね」
紗友希「うん。体のあちこちが痛くなってきたよ」
紙飛行機が飛んできて2人の足元に落ちる
あかり「えっ!?なになに?紙飛行機?」
紗友希「なんか書いてある…かりんちゃんへ?」
佳林「Zzz」
紗友希「また寝てる…ちょっと、佳林!」
佳林「うーん…今何時…?」
紗友希「えっとね…て、違ーう!これ見て!」
佳林「何これ…紙飛行機?かりんちゃんへ?」
紙飛行機を開く佳林
雨子からのメッセージが書いてある
雨子「お疲れ様♪ 実は今ね。
テニスの物語を書いているの♪
完成したらかりんちゃんにも読んで欲しいので
もし良かったら連絡先を交換して欲しいな♪
私のメールアドレスは…」
佳林「わぁ♪ テニスの物語か♪」
窓から顔を出している雨子に向かって
笑顔で大きく手を振る佳林
あかり「何?あの人と知り合いなの?」
佳林「うん♪ さあ、休憩終わり!練習頑張ろう!」
あかり「どうしたの?急に元気になっちゃって…」
張り切って練習する佳林
佳林「さあ、来い!」
それを眺める雨子
雨子「うふふ♪」

昼食時
雨子にメールを送る佳林

佳林「こんにちは(´∀`*)
お手紙ありがとうございます♪
物語を読める日を楽しみにしていますね♪」
雨子から返事が来る
雨子「ありがとう♪ 練習、頑張ってね♪」
合宿が終わり帰宅の途へ

ある日の練習中

佳林「痛っ!」
しゃがみ込み、足首を手で押さえる
朋子が駆け寄って来る
朋子「どうしたの!大丈夫!?」
佳林「ちょっと足を捻っちゃったみたい…」
朋子「すぐに保健室に行こう!」
佳林をおんぶして連れて行く
先生「捻挫みたいだね。
一応、応急処置はしたけど早めに
お医者さんに診てもらいなさいね」
佳林「ありがとうございました…」
母親が迎えにきて車でお医者さんへ

佳林の部屋

佳林「痛みが引かない…どうしよう…
これじゃ練習できないよ…」
携帯「ピコーン♪」
アイフォーンにメールが連続して届く
由加「怪我、大丈夫?
無理せずゆっくり休んでね(・ω・)ノ
朋子「慌てないでちゃんと休んでね。
待ってるからね♪」
紗友希「捻挫だったら◯◯病院に
良い先生がいるからおすすめだよ!」
あかり「少しでも早く良くなりますように☆彡」
佳林「みんな優しいなぁ…」
4人に「ありがとう(´∀`*)」と返す

その夜
夢見る佳林

佳林「また森だ…小さい頃の私に
また会えるかな?」
森を進んで行くと1人の少女が木に何かしている
かりん「かりんが治してあげるからね♪」
折れかかった木の枝に絆創膏を巻いている
かりん「よし♪ じゃあ、おまじないしてあげるね♪
いたいの、いたいの、とんでけ〜♪」
佳林「こんにちは♪」
かりん「ん?おねえちゃん、だれ?」
佳林「私は…」
かりん「あっ!おねえちゃん、あしけがしてるの?
かりんがおまじないしてあげるね♪
いたいの、いたいの、とんでけ〜♪」
佳林「ありがとう…」
翌日、学校を休み、母親に付き添われながら
紗友希に教えてもらった病院へ

◯◯病院

先生「軽い捻挫だね。
じゃあ、これ付けてみようか?」
佳林の足首にサポーターを付ける
佳林「痛くない…先生、ありがとうございます!」
母親「ありがとうございます♪」
先生「超音波治療するから少しの間、
通院してね。アイシングも欠かさずにね」
佳林「はい♪」
10日後、無事に完治する

帰宅途中の電車
佳林が座席に座っている

佳林「今日も練習、疲れたな〜(´-`).。oO」
駅に着いて降りて行く人たち
1人の少女が友達に声をかけていく
少女A「じゃあね〜。お疲れ様〜」
佳林「ふふふ♪
 あの娘も部活だったのかな(´-`).。oO
電車が次の駅に向かい、出発する
佳林「あ〜。お腹空いたな〜。
今日の夕ご飯は何だろう?
大好きな親子丼だと良いな〜(´-`).。oO」
近くに座っている親子が話し出す
少女B「おかあさん、きょうのごはんはなに?」
母親「今日は大好きな親子丼だよ♪」
少女B「わーい♪」
佳林「え…いいな〜。私も食べたいな〜。
なんかさっきから私が想った事とタイミング良く
重なるけど偶然かな?(´-`).。oO」
近くに座っている2人の少女が話している
少女C「へぇ〜。偶然だとしても凄いね♪」
少女D「偶然じゃないよ!本当だってば!」
佳林「何これ…怖い(´-`).。oO」
パニックになり途中の駅で降りる佳林
佳林「何で急にこんな事が…(´-`).。oO」
ホームにアナウンスが流れる
駅員「◯◯行きが参ります。
危ないですから黄色い線までお下がり下さい」

佳林「あっ。危ないから下がらなきゃ…
そだっ。音楽を聴けば他の人の
話しも聴こえない(´-`).。oO
イヤホンを付けて音楽を再生する
「恋泥棒」が流れ始める

歌詞「女の子たちよ ちょっと♪
危ないよ 下がってて♪」
佳林「!!!!!」
歌詞「偶然 なんて 嘘ね それは♪
全部 必然 きっと 手口♪」
さらにパニックになる佳林
逃げるように今度は電車に乗り込む
次の曲が流れ始める

歌詞「心の叫びを歌にしてみたら 伝わるかしら♪
誰にも見せた事ない All for me♪」
佳林「何?誰かが私に何かを
伝えたいの?(´-`).。oO
歌詞「微妙な距離感のまま 愛してる♪」
アイフォーンが振動する(マナーモード)
佳林「ん?お母さんからメールだ(´-`).。oO」
母親「今日は佳林の大好きな親子丼だよ♪」
佳林「!!!!!」
歌詞「心の叫びを文字に起こしたら 
結構すごいわ♪ 誰にも見せた事ない
All for me♪」
佳林「確かに凄いけど…(´-`).。oO」
次の曲が流れ始める




地元の駅に着いて電車を降りる佳林
ホームから改札口へ
歌詞「パスポート取らなくちゃ♪」
佳林「パスポート?あっ!
定期券、更新しなきゃ!
何これ…ちょっと便利かも(´-`).。oO」
アイフォーンが振動する(マナーモード)
佳林「ん?またお母さんからだ…」
母親「あれ?親子丼、好きじゃなかったっけ?」
佳林「あ…返信しなきゃ(´-`).。oO」
慌ててメールを返す佳林
佳林「大好きだよ♪ 楽しみ♪ 嬉しいな(´∀`*)」
歌詞「うん、うれしいよ…うれしいけど
ちがう…嫌いとかそんなんじゃなくって…
すきだよ…すきだけど…」
佳林「何これ…ふふふ♪ 
ちょっと楽しいかも(´-`).。oO」
改札口を出て駅前のロータリーへ
1人の乙女が車のトランクに荷物を
入れようとしているが、なかなか閉まらない
歌詞「トランクも 閉まらないわ どうしよう♪」
佳林「あははははは♪
はっ!笑ってる場合じゃなかった…
困っているんだから助けなきゃ(´-`).。oO」
荷物を押さえて手伝ってあげる
乙女「ありがとう♪ 助かったよ♪」
佳林「どういたしまして♪」

佳林の家
夕飯中に今日あった不思議な事を
楽しそうに両親に説明する佳林

母親「へぇ〜。不思議な事もあるもんね♪」
もぐもぐと親子丼を食べる佳林
父親「誰かが佳林の事を見守っているのかもな♪」
佳林「守護霊とかかな?」
母親「さあ?そのうちわかるかもね♪」
佳林「うん♪ 親子丼、凄く美味しかったよ♪
ごちそうさまでした♪」

佳林の部屋
ベッドに仰向けに寝転がり、
テニスボールを上に投げて
落ちてくるのをキャッチしている佳林

佳林「誰が見守ってくれているんだろう…
そだっ。皆にも伝えてみよう」
テニス部の皆にメールを打つ
皆からメールが返ってくる
由加「ヘぇ〜。なんか不思議だね(・ω・)ノ」
あかり「面白いね♪ 
また明日、詳しく話を聞かせてね♪」
紗友希「本当なの?
ただの気のせいじゃないの?」
佳林「うーん…」
紗友希に「気のせいなのかな?」と
返信しようとメールを打つが
「木の精なのかな?」と変換される

佳林「あれ?何でこんな文字に?
もしかして…(´-`).。oO」
気になり「木の精」をWindowsで調べる
検索すると「木霊」が出てくる
佳林「木霊…何て読むの?」
Wiki「木霊(こだま)。樹木に宿る精霊。
山や谷で音が反射して遅れて聴こえる現象」
佳林「!!!!!」
カーテンを開けて部屋の窓を開き、
庭に植えたリンゴの木を見る佳林
携帯「ピコーン♪」
アイフォーンに朋子からメールが届く
朋子「たぶん気のせいだよ♪ ところでさ、
今日、アイス買ったら当たりが出たよ〜♪」
添付されている写真には
木の棒に「当たり!」の文字が
佳林「そっかぁ…」
笑顔でアイフォーンが胸に抱きしめ、
リンゴの木を眺める佳林


秋の大会(1週間前の日曜日)
J高校テニス部の部室

由加「今日はお昼で練習終わり。
来週はついに試合だから皆、
帰ってゆっくり休んでね」
全員「はい!お疲れ様でした!」

5人で歩く帰り道
物語のテーマ曲

朋子「とうとう来週、試合だね」
紗友希「やるべき事はやったから
後は頑張るのみ!」
あかり「そうだね。絶対に優勝しよう!」
由加「うん!もちろん♪」
中学生の野球部員が通り過ぎていく
部員「ファイト!オー!ファイト!オー!」
佳林「…」
小学校の校舎より吹奏楽部の演奏が聴こえる
部員「♪♪♪♪♪〜」(応援ソング)

佳林「…」
幼稚園での運動会の声援が聴こえる
園児「がんばれー!がんばれー!」
佳林「ありがとう…頑張るからね…」

秋の大会
前日の夜

佳林「ついに明日…」
不安を感じつつ眠りにつく
夢見る佳林
佳林「また森だ…もう慣れっこになっちゃった♪」
森を進んで行くと1人の少女が
ジョウロで木に水をあげている
かりん「大きくなったね♪ 
今年は実がなるといいね♪」
佳林「こんにちは♪」
かりん「ん?お姉さん、誰?」
佳林「私は…あぁ!虹が出てるよ!」
かりん「えっ!?雨も降ってないのにどこに?」
佳林「ジョウロから出てる水のとこ!」
かりん「本当だ!わぁ♪ 綺麗♪」
佳林「虹を見ると良い事があるらしいよ♪」
かりん「本当?もしかして今年は実がなるかな?」
佳林「うん♪ 諦めなければきっと…」


秋の大会(団体戦)
J高校は順調に勝ち進み、
夏の大会での決勝戦の再現となる
M高校との決勝戦へ
佳林の家族も駆けつける
J高校はシングルスで2敗するが
由加&あかり、朋子&紗友希のダブルスが勝ち、
2勝2敗の状態で残すは佳林のシングルス
優勝の行方は佳林に託される

宮本佳林VS佐藤優樹
第1セット ジュースにつぐジュース
お互いに一歩も譲らぬ白熱した試合になる
佳林の勝利
第2セット 第1セットに続きジュースの応戦
優樹の勝利
運命のファイナルセットへ
佳林「ハァハァ…負けないもん…絶対に…」
優樹「ハァハァ…負けない…絶対に…」
部員たちも観覧者も壮絶なラリー合戦に
固唾を飲んで見守っている
少しずつ優樹に押され始める佳林
コートチェンジでベンチへ休憩に
佳林「ハァハァ…本当に強いや…
どこに打っても返されちゃうもん…」
由加「佳林ちゃん…」
朋子「頑張って!佳林!」
紗友希「佳林!ファイトだよ!」
あかり「佳林…負けないで…」
佳林「絶対に負けないもん…」
佳林は顔をうつむけて疲れの為、
皆の声援も耳に入らない
母親「あぁ…佳林…え…何?」
観覧者「ざわざわ…」
突如、観覧者がどよめき始める
皆が一様に空を見上げて写真を撮り始める
母親「何?一体、何なの?」
同じように空を見上げる
佳林「ハァハァ…何?どうかしたの…」
佳林も周りの騒ぎに気付いて空を見上げる
佳林「えっ!!!!!」

あかり「虹だ…綺麗…」
朋子「雨も降ってないのに虹が…」
由加「ニュースで見た事がある…
確か日暈(ひがさ、ハロ現象)…
太陽の周りにできる虹の輪…」 
佳林「そっかぁ…ふふふ…」
空を見上げながら笑顔で
昨夜の夢を思い出す佳林
佳林「虹を見ると良い事があるらしいよ♪」
かりん「本当?もしかして今年は実がなるかな?」
佳林「うん♪ 諦めなければきっと…」
気持ちをもう一度奮い立たせて
りんごジュースを飲んで立ち上がる佳林
佳林「きっと…」
試合が再開され優樹を押し始める佳林
優樹「くっ…どこにこんな力がまだ…」
はしゃぎ始めるJ高校
紗友希「ナイスショット!佳林!」
あかり「行けー!佳林!」
ついに逆転する
由加「わぁ♪ 朋子♪ 」
朋子と共に飛び跳ねて喜ぶ合う
朋子「もうちょっと…もうちょっとだよ…
佳林ちゃん…」
佳林「ハァハァ…もうちょっとだ…」
マッチポイント
最後の力を込めてリバースサーブを打つ
佳林「!!!!!」
優樹「!!!!!」
フォアハンドで打ち返す
佳林「!!!!!」
バックハンドで打ち返す
優樹「!!!!!」
優樹の打ち返したボールはネットに当たり
ネットの真上に上がる(コードボール)
由加「あぁ…お願い…」
朋子「お願い…」
紗友希「お願い…」
あかり「お願い…」
4人が両手を組んで祈るように
ボールを見守る中
ボールは優樹側のコートに落ちる
観覧者「ワァーーーーー!!!!!」
J高校の優勝が決まる!!!!!
佳林「ハァハァ…やった…とうとう…
やったよ…優勝だぁ…」
溢れてくる涙を手で拭う佳林
由加「ぐすん…とうとう…」
朋子「夢じゃない…やっと…」
紗友希「わぁー!佳林!佳林…」
あかり「うわぁーん!本当に嬉しいよー!」
J高校の皆も一様に涙して喜ぶ
佳林と優樹がネットに向かい、互いに握手
優樹「ハァハァ…ありがとう…え?」
佳林「ハァハァ…ありがとう…ん?」
佳林の頭上を見る優樹
優樹「頭の上に木が…リンゴ?」
佳林「リンゴ?うん♪ そうだよ♪ リンゴ♪」
優樹「ふん…次は負けないから!」
佳林「うん♪ またやろうね♪」
笑顔で握手する2人
母親「良かったね…佳林…ぐすん…」
雨子「こんにちは♪ 
佳林ちゃんのお母さんですか?」
母親「え…はい…そうですが?」
雨子「優勝おめでとうございます♪」
母親「あ、はい…ありがとうございます♪」
雨子「これ。佳林ちゃんと約束した物です。
児玉雨子からと渡して貰って良いですか?」
手提げを渡す
母親「えっ…はい。わかりました♪」
雨子「では♪」

表彰式→優勝記念撮影

由加「じゃあ、準備は良い?」
全員「はい!」
由加「せーの!」
部員全員が笑顔で帽子を空に放り投げる
全員「ワァーーーーー♪♪♪♪♪」
カメラ「パシャッ!」
帰宅の途へ

雨が降り出している佳林の家の庭
佳林は傘を差しながらリンゴの木の前に立って、木に額を寄せて話しかけている

「優勝したよ…応援してくれてありがとうね…」
アイフォーンがピコーンと鳴り、児玉雨子からメールが届く
「優勝おめでとう!物語、お母さんから受け取った?読んだら感想を聞かせてね♪」
佳林は児玉雨子とメールでやり取りする
「はい、受け取りました!日量(ひがさ)もありがとうございました!本当に凄く木霊でした!かさねがさねでしたね!」
「えっ?あ〜本当だね!お役に立てたようなら何よりだよ。木霊?もしかして綺麗の変換ミスかな?」
「あっ…はい、そうです」
「それにしても凄い試合だったね!いや〜まさか、最後は相手の子のリターンミスで決まるとは。返還(リターン)ミスだけにね」
「気づきませんでしたよ!あっ…もしかして山の頂上の時のヤッホータイって木霊(こだま)も返還ミスって事だったんですか…」
「ん?何の事かな?今日は疲れただろうから、ゆっくり休んでまた後日にでも感想を聞かせてね。改めて、本当に優勝おめでとう!私も凄く嬉しいよ!」
「本当にありがとうございます!読んで必ず感想を伝えますね!」


Juice=Juiceリーダー宮崎由加の卒業シングル
モーニング娘。リーダー道重さゆみの卒業シングル
(物語を書いた後にシンクロかさねがさね)

佳林の部屋
真夜中(雨)
夢見る佳林
森の木々に雨露がまとい、光に照らされて
キラキラと輝く道を進んでいく佳林
1組の親子が木を眺めている

かりん「わーい♪ わーい♪ 
とうとうリンゴの実がなったよー♪」
かりんの頭を撫でる母親
母親「良かったね♪ 佳林♪
佳林が諦めずに頑張ったからだよ♪」
佳林「おめでとう…私…」
幸せそうな笑顔で眠る佳林
アイフォーン「バックアップが完了しました」

翌朝(晴れ)
縁側でリンゴの木に向かい合いながら
物語を笑顔で読む佳林
佳林「ふふふ♪」
空には虹が架かっている
リンゴの実から一雫の雨露がぽとりと



そして10数年後

「過日の種」
佳林が娘と一緒に庭で種を植えようとしている
「ちゃんと、そだつかな?」
「一生懸命に愛情を持って育てれば大丈夫だよ」
「うん!わかった!」
娘が種を植えていく横で佳林が話しかける
「ちゃんと育ったら芽実よりも大きくなるよ」
「え?ほんと?むー、まけないもん!」
芽実の頭を撫でながら微笑む佳林
「うふふ」
芽実は水やりをしている
「おおきくなぁーれ、おおきくなぁーれ」
アイフォーンがピコーンと鳴り、由加からメールが
「久しぶり〜。今日、昔の優勝した時の写真を見ていたら何だか懐かしくなっちゃった。私の子供の写真も送るね。どう?凄く可愛いでしょ?」
佳林は送られてきた優勝した時の写真と赤ん坊の写真を見て涙を流す
「懐かしいね…」
「えっ!おかあさん、どうかしたの?なんでないているの?」
「うふふ…どうしてだろうね…」
由加に返信する佳林
「懐かしいね!由加の子供、可愛すぎ!子育て大変だと思うけど大丈夫?何かあったら相談乗るからね!」
芽実が佳林の裾を引っ張ってお願いをする
「そだっ。おかあさん、またあのおはなしよんで!」
「あのお話?」
「うんとね。かじつのファンたちー!」
「はいはい」
リビングのソファーに座って笑顔で物語を読む佳林
その隣では芽実が笑顔で物語を聞いている
テーブルの上に置かれたアイフォーン画面には由加からの返信が届いて表示されている
「うん!大変だけど日々成長していく娘を見るのは凄く幸せだよ!木にしてくれてありがとうね!」


由加「今日はお疲れ様♪ 
落ち込んでたようだけど大丈夫?」
佳林「うん!大丈夫♪ 
気にしてくれてありがとう(´∀`*)」
由加「良かった♪ じゃ(・ω・)ノまたね」