第二部🍒の物語
「ふたりのFANTASY」

天界
1人の天使が地上の様子を見て涙を流している

天使「…」
神様「ん?どうかしたの?」
天使「ねえ…神様…どうして人間の世界はこんなにも悲しい事が溢れているの?争いやいじめ、子供を虐待したり…他にも沢山…」
神様「…悲しい事ばかりじゃないでしょ?楽しい事や幸せな事も沢山あるよ」
天使「でも…もっと…少しでも良いから悲しい事を減らしたい…」
神様「…もし良かったら人間の世界に行ってみる?」
天使「えっ…」
神様「ただし、天使としての記憶は封印するよ。それでも良い?」
天使「私…行ってみたい…行って少しでも悲しい事が減るように頑張る!」
神様「…分かったよ。それじゃあ行っておいで。記憶を封印するかわりに特別な力をあげるからね」
天使「特別な力?」
神様「そう…とても大きな力…」
涙を流している
天使「えっ!?何で泣いているの?」
神様「ううん…何でもない…それじゃあ準備は良い?」
天使「うん!頑張ってくるよ!」
神様「行ってらっしゃい」
天使「行ってきます♪」
光に包まれ旅立っていく
神様「頑張ってね…」

それから10数年後

秋の大会(団体戦)
M高校とJ高校の準々決勝
J高校が勝利する
試合の帰り道

優樹「負けちゃったね…」
遥「うん…」
優樹「あー!悔しい!」
遥「うん…そうだね。次の大会では先輩たちが守ってきたシード権も無くなりそうだし…」
優樹「シード権?」
突然、優樹の目の前が光り、映像が映し出されて父親が座っている
父親「優樹が庭に植えたサクランボの種の事なんだけど…どうやら種からでは上手く育たないみたいなんだ…」
母親の声が聴こえる
母親「えー!どうすんのよ?優樹、毎日、一生懸命に水やりしてるのに…」
優樹「え…何これ…」
遥「どうかしたの?」
優樹「わかんない…何か突然、目の前が光って…お父さんが前に座って話をしていたの…」
遥「え?何それ?」
優樹「私だってよくわかんないよ…」
遥「とにかく…次の大会に向けて頑張らなくちゃね」
優樹「うん!」

優樹の部屋
ベッドに寝転がりながら考え込んでいる

優樹「さっきの一体、何だったんだろう…」
母親「優樹ー!夕ご飯、出来たよー!降りておいでー!」
優樹「あっ!はーい!」

夕ご飯
親子丼を食べている

優樹「ねえ、お父さん?」
父親「ん?」
優樹「私が小さい頃に植えたサクランボって種からでは上手く育たなかったんだね」
父親「んぐっ!ど、どうしてそれを…おまえ…」
母親「えっ…私は何も話してないわよ…」
父親「じゃあ、どうして…」
優樹「んとね。今日、突然、目の前が光ってお父さんが前に座って話をしているのを聞いちゃったの♪」
父親「えっ…だって随分、昔の話だぞ…」
母親「そうよ…それにその時、私たち2人だけだったはずなのに…」
優樹「んー。わかんない。とにかく見えて聞いたの!ごちそうさまでしたー!」
自分の部屋へ
両親はお互いに見合って首をかしげて不思議そうな顔

優樹の部屋
ベッドでうつ伏せに寝転がって考え込んでいる

優樹「種かぁ…種…種…あっ!英語でシードだ!そっかぁ…て事は、うーん…種からでは無理…シード権からは無理って事?なら、もしかして…シード権じゃなかったら上手くいくのかな?」

翌朝
優樹の家の前

優樹「おはよー!」
遥「おはよー♪」
優樹「ねえ!聞いて、聞いて!昨日の事、分かったの!」
遥「昨日の事?」
優樹「昨日、何か見えたって言ってたでしょ?それの意味が分かったの!」
遥「え?何?」
優樹「シード権からは無理なんだって!だから、シード権じゃなかったら良いんだよ!」
遥「ごめん。何を話してるのかさっぱりみえないんだけど…」
優樹「だから!次の大会ではきっと勝てるよ!」
遥「うん。分かったよ。そうなるように頑張らなくちゃね」
優樹「もう!本当に分かったの!?」

朝の練習中
遥がベンチに座り考え込んでいる

遥「…」
優樹「ねえ?練習しないの?」
遥「ごめん。ちょっとランニングしてくる」
優樹「私も一緒に行く!」
2人でランニング中
遥「ねえ?まーちゃん?」
優樹「ん?何?」」
遥「私、シングルスに転向しようと思うんだ…」
優樹「え…何それ…本気?」
2人ともランニングをやめて立ち止まる
遥「うん…」
優樹「何で…ずっと2人でやってきたのに…やだ!絶対にやだ!」
遥「その方が良いと思うんだ…分かって…」
優樹「分かんないよ!分かりたくもない!」
遥「まーちゃん…」
優樹「もういい!私、帰る!」
走って行ってしまう

練習場
遥が1人で戻ってくる

さくら「ねえ?優樹、帰っていったけど、何かあったの?」
遥「うん…シングルスに転向するって話したら怒っちゃって…」
さくら「そっかぁ…」

優樹の家

優樹「ただいま…」
母親「ちょっと!優樹!どうにかしてよ!」
優樹「え?何?」
犬「ウー!ワン!ワン!」
猫「フー!シャー!」
母親「急に喧嘩し始めたのよ!」
突然、優樹の目の前が光り、
映像が映し出されて自分がいる
優樹「もういい!私、帰る!」
優樹「何?ケンカを止めろって事?知らない…私が悪いわけじゃないもん!遥が悪いんだもん!」
階段を登って自分の部屋へ行ってしまう
母親「え!?何を言っているの?ちょっと!優樹ー!」

翌日の教室

遥「ねえ…まーちゃん…」
優樹「何?考え直してくれたの?」
遥「ううん…そうじゃない…」
優樹「…私、もうテニスやらないから」
席を立って行ってしまう
遥「まーちゃん…」

午後の練習中

さくら「あれ?優樹は?」
遥「うん…ちょっとまだね…」
さくら「まだ怒っているんだ…」
遥「うん…」
さくら「そう…」
翌日以降も優樹は部活を休み続ける
そんな日々が続いたある日

練習場
遥がダブルスで練習しているのを優樹が見かける

優樹「どういう事…信じられない…遥の嘘つき!」
遥「え?あっ!まーちゃん…いや…これは…」
走って行ってしまう

優樹の部屋(夜)
ベッドに潜り込んでいる優樹

優樹「何なのよ…シングルスに転向するって言っていたのに…もう、やだ!」
家のチャイムが鳴る
母親「はーい!あら?遥ちゃん、いらっしゃい♪」
遥「どうも、こんばんは…」
母親「優樹ー!遥ちゃんが来たわよー!」
優樹「居ないって言ってー!」
母親「はぁ?そんなわけにいかないでしょー!上がってもらうわよー!」
優樹の部屋に遥が入ってくるが、
ベッドに潜り込んだまま
優樹「…」
遥「まーちゃん…さっきのは違うの…ちょっとダブルスの娘の練習に付き合っていて…」
優樹「…」
遥「ねえ、まーちゃん…戻ってきてよ…私、まーちゃんが居ないと淋しいよ…」
突然、優樹の目の前が光り、映像が映し出されて遥を見下ろしている
優樹「え…何ここ?私の洋服ダンスの上?」
視界が部屋の床へと移動して遥に近づいていく
猫「ゴロニャーん♪」
遥に擦り寄って、顔を見上げる
優樹「遥…泣いているの?」
遥「…」
涙を流している
優樹「遥…」
遥「まーちゃん…お願い…」
優樹「分かった…明日から行く…」
遥「ほ…本当…!?」
優樹「うん…」
遥「ありがとう…」

翌朝の練習中

さくら「やっと出てきたね♪」
優樹「ふん!」
さくら「で、優樹はどうするの?一緒にシングルスに転向するの?」
優樹「そうするしかないでしょ!」
さくら「じゃあ、私が練習に付き合ってあげるよ♪」
優樹とさくらが練習を始める
さくら「じゃあ、行くよー」
ボールをトスしてサーブを打つ
優樹「!!!」
フォアハンドで打ち返す
さくら「!!!」
フォアハンドで打ち返す
優樹「!!!」
前に進んでバックハンドボレーで打ち返す
さくら「!!!」
バックハンドで打ち返し、ボールは優樹の頭上へ
優樹「遥!お願い!」
ボールを見送り、ライン際に落ちる
さくら「ちょっと、ちょっと。後ろには誰もいないよ?」
優樹「…分かってるわよ!」
さくら「ふー。じゃあ、次、行くよー」
ボールをトスしてサーブを打つ
優樹「!!!」
バックハンドで打ち返す
さくら「!!!」
バックハンドで打ち返し、ボールは優樹の頭上へ
優樹「!!!」
後ろに下がりながらジャンプしてジャンピングスマッシュを打つ
ボールはコートギリギリに決まる
優樹「よし!」
さくら「アウトなんだけど」
優樹「え?入っているじゃん!」
さくら「あのね、ダブルスとシングルスではラインが違うって知ってるでしょ?」
優樹「しょうがないじゃん…ずっとダブルスだったんだもん…」
さくら「ふー。まあ徐々に慣れていこう」
シングルスの練習に打ち込んでいく
それから幾日が過ぎ、季節は冬へと

練習試合(団体戦)
A高校が出向いてくる

遥「シングルスになって初めての試合だね!お互いに頑張ろうね!」
優樹「うん♪」
対戦相手が発表される
優樹「私の相手は…ねえ?これ何て読むの?」
遥「えーと…かみこくりょうだって」
優樹「初めて聞く名前だけど…」
さくら「高校に入ってからテニスを始めた娘らしいよ」
優樹「え!」
さくら「私の相手の笠原って娘も高校に入って今日が初めての試合らしいし、完全に舐められてるね♪」
優樹「コテンパンにしてやるんだから!」

佐藤優樹VS上國料萌衣
優樹の先行で試合が始まる
ボールをトスしてサーブを打つ

優樹「!!!」
萌衣は1歩も動けずボールはサイドを駆け抜けていき、サービスエースが決まる
萌衣「え…凄い速い…」
優樹「ふん!」
続けざまにボールをトスしてサーブを打つ
優樹「!!!」
萌衣は何とかボールに触れるがラケットが弾かれ、サービスエースが決まる
萌衣「痛てててて…」
優樹「当ててきた!?生意気な…」
試合序盤こそ優樹が圧倒していたが、徐々に萌衣もポイントを取り始める
優樹「何なの、この娘?結構、強いじゃない…」
萌衣「ハァハァ…よし♪少しづつだけど返せれるようになってきた♪」
結局、優樹の勝利で試合終了
優樹と萌衣がネットに向かい、互いに握手
萌衣「ハァハァ…ありがとうございました♪」
優樹「ありがとうございました」
続いて遥の試合

工藤遥VS室田瑞希
四つん這いで瑞希を見つめている遥

遥「ハァハァ…」
優樹「遥…」
遥は瑞希の素早いフットワークに翻弄される
遥「!!!」
フォアハンドで打ち返そうとする
瑞希「よし!こっちだ!」
素早く回りこむ
遥「!!!」
それを見て逆サイドに打ち返す
瑞希「え!?そっちか!」
逆サイドに走りボールに追いつく
遥「嘘でしょ…」
瑞希「!!!」
バックハンドで打ち返す
ボールは遥のサイドを駆け抜けていく
結局、瑞希の勝利で試合終了
握手が終わり、皆の元へ戻る遥
遥「ごめん、負けちゃった…」
さくら「仕方ないよ。私でも勝てるかどうか…」
優樹「覚えてなさい…この借りは私が絶対に返す!」
練習試合が終わり、3勝2敗でM高校が勝つ

年が明けて練習の日々
午後の練習中
遥がダブルスの練習に付き合っているのを優樹が眺めている
優樹「いいな…」
さくらがその光景を眺めている
さくら「…」
冬が過ぎて季節は春へと

練習場
春の大会での団体戦メンバーが発表される
優樹、さくらはシングルスに選ばれるが、
遥は補欠になる
遥「…」
優樹「遥…」

2人での帰り道

優樹「あのさ…やっぱり、ダブルス…」
優樹の言葉を遮るように遥が話しだす
遥「私、一生懸命に応援するから!頑張ってね!まーちゃん♪」
優樹「う、うん…」

春の大会(団体戦)
順調に勝ち進み、A高校との準決勝へ
オーダーをさくらが見る

さくら「えーと…私の相手は…上國料って娘か」
優樹「ねえ!ねえ!私の相手は!?」
さくら「あの室田瑞希よ」
優樹「よし!あの時の借りを絶対に返してやるんだから!」
さくら「油断しないでね」
優樹「そっちこそ!」

佐藤優樹VS室田瑞希
優樹の先行で試合が始まる
ボールをトスしてサーブを打つ

優樹「!!!」
瑞希は1歩だけ動くがボールはサイドを駆け抜けていき、サービスエースが決まる
瑞希「うわ…はやっ…」
優樹「ふん!」
瑞希は数回、素振りをしてフォロースルーを確認する
瑞希「よし♪ こんなもんかな♪」
優樹が続けざまにボールをトスしてサーブを打つ
優樹「!!!」
瑞希は素早いフットワークでボールに追いつき、フォアハンドで打ち返す
瑞希「!!!」
強烈なドライブスピンでリターンエースが決まる
優樹「くっ…」
瑞希「よし♪ 決まった♪」
優樹「私のサーブをいとも簡単に…頭きた…絶対に負けないんだから!」
一進一退の攻防が続く
優樹「ハァハァ…マジで強い…」
瑞希「ハァハァ…負けるわけにはいかない!」
瑞希がボールをトスしてサーブを打つ
瑞希「!!!」
優樹「!!!」
フォアハンドで打ち返す
瑞希「!!!」
前に進んでバックハンドボレーで打ち返す
優樹「よし!後ろだ…え!?誰かいる…」
優樹はボールを見送りリターンミスしてしまう
少しずつ瑞希に押され始める優樹
優樹「やっぱり後ろに誰かいる…ずるい…シングルスの試合なのに…」
突然、優樹の目の前が光り、映像が映し出されてベッドの横に瑞希がいる
瑞希「春が来て暖かくなったら、どっか行こうね♪」
優樹「え!?何なの…」
映像が切り変わり、部屋の天井から瑞希を見下ろしている
瑞希「うわああああん!お母さーん!お母さん!うぅぅ…ひっく…ひっく…」
ベッドに寝ている女性にしがみつくように瑞希が泣いている
優樹「何なの…やめて…私に悲しみを持ち込まないで…」
遥「まーちゃん!!!」
遥の声により我に帰る優樹
優樹「ハッ!遥…そうよ…こっちにだって負けられない理由があるんだから!いいわ…ダブルスの試合だと思ってやってやる!ダブルスをやっていたのは伊達じゃないんだから!」
一気に瑞希を押し始め、点を決めまくる優樹
遥「まーちゃん!がんばれー!」
そして試合終盤
優樹「これで終わりよ!」
ボールをトスしてサーブを打つ
優樹「!!!」
瑞希「くっ…」
瑞希は精一杯に手を伸ばすが届かず、サービスエースが決まり、優樹の勝利で試合終了
優樹と瑞希がネットに向かい、互いに握手
瑞希「ハァハァ…ありがとうございました♪ え!?」
優樹の左目から一筋の涙がスーっと頬を伝う
優樹「ありがとうございました…本当に強かったです…」
瑞希「う、うん…ありがとう♪」
結果、さくらも勝利するが、もう1人のシングルス、ダブルス2戦とも敗れ、2勝3敗でM高校は負けてしまう
優樹「そんな…」
さくら「ふー。参ったね…」

試合の帰り道

遥「悔しいね。もうちょっとで決勝だったのに」
優樹「うん…」
遥「…まーちゃんの試合、凄かったね!いや〜後半のまーちゃんは神がかり的な強さだったな〜♪」
優樹「何でなの?シード権じゃなかったら良いんじゃなかったの?」
遥「まーちゃん?」
突然、優樹の目の前が光り、映像が映し出されて母親が座っている
母親「私も調べてみたんだけど、サクランボって1本だけじゃなくて複数の木が無いと実をつけないらしいの…」
父親の声が聴こえる
父親「えー!どうすんだよ?うちの庭にそんなスペースなんてないぞ…」
優樹「どうすんだよじゃないわよ…そういう事はもっと早く教えてよね!もう!」
遥「ねえ?まーちゃん?どうかしたの?」
優樹「何でもない!」
遥「???」

優樹の家の庭
優樹がサクランボの木を眺めて、昔を思い出している

まさき「おおきくなぁれ♪ おおきくなぁれ♪」
水やりをしている幼き日の優樹
???「ねえ?なにしてるの?」
まさき「うん?だれ?」
はるか「わたしは、はるか♪ きのう、となりにおひっこししてきたの♪」
まさき「そうなの?わたしは、まさき。いまね〜サクランボにみずやりしているの♪」
はるか「え〜!いいな、いいな〜。ねえ?サクランボがなったらちょうだい♪」
まさき「え?やだ!まさきがそだててるんだからまさきがぜんぶ、たべるんだもん!」
はるか「むー。いじわる!いいもん!いいもん!はるかもはるかでそだてるんだから!」
遥の家の庭にあるサクランボの木に視線を動かす
優樹「複数の木…私だってダブルスがやりたいよ…」

新学期になり、新入部員が入ってくる


部室
新入部員が挨拶をする

美希「野中美希です。よろしくお願いします」
春水「尾形春水です。よろしくお願いします」
真莉愛「牧野真莉愛です。よろしくお願いします」
朱音「羽賀朱音です。よろしくお願いします」
遥「よろしく♪」
優樹「え?これだけしかいないの?」
さくら「みたいだね」

練習場
遥が新入部員の指導を任せられる

遥「みんな、テニスの経験は?」
美希「私は未経験です」
春水「私も」
真莉愛「はい!私は中学3年間やっていました!」
朱音「あ…私も中学でやっていました…」
遥「そっかぁ。とりあえず、練習前の準備や練習後の後片付けなどを私が教えるから覚えてね」
4人「はい!」
それから数日が過ぎ
遥「みんな、だいぶ慣れてきたみたいだから、そろそろボールを打ってみようか?」
4人「はい!」
遥「じゃあ…美希と春水、真莉愛と朱音で軽くラリーをしてみて」
4人の様子を眺める遥
さくら「ねえ?遥」
遥「ん?何?」
さくら「経験者がいるんでしょ?良かったら手合わせしてみたいんだけど」
遥「え?まだちょっと早くない?」
さくら「夏の大会で戦力になるかもしれないし、早めに実力を知っておきたいの」
遥「うーん…そうだね。その方が育て方も分かるかもしれないし。お願いできる?」
さくら「OK」
さくらが真莉愛と手合わせをしてみる
さくら「うん。綺麗なフォームで良いんじゃないの」
真莉愛「ハァハァ…ありがとうございました」
続いて朱音と手合わせをしてみる
朱音「ハァハァ…ありがとうございました」
さくら「ねえ?中学時代の成績は?」
朱音「え…ずっと補欠でした…」
さくら「え?嘘でしょ」
朱音「本当です…」
さくら「そう。余程、見る目が無かったのね。頑張ってね。期待しているよ」
朱音「はい…頑張ります」

真莉愛の家
真莉愛が夕ご飯をもぐもぐ食べている

母親「真莉愛。もう高校に慣れた?」
真莉愛「うん♪ テニス部にも入ったし、楽しいよ♪」
父親「そうか。いじめとか無いか?真莉愛は良い子だから心配で心配で…」
真莉愛「大丈夫だよ♪ もう、心配症なんだから♪」
TV「続いてのニュースです。〇〇国と☆☆国との間で緊張が高まり、各国に不安が広がっています」
母親「え?嫌だわ…戦争にならないと良いんだけど…」
父親「うーん…そうだな。日本には影響は無いと思うけど…」
真莉愛「あー美味しかった♪ ごちそうさまでした♪」
それから数日が過ぎ

練習場
遥が美希、春水、真莉愛を指導している

遥「ここはもうちょっと、こうした方が…」
3人「はい!」
その傍らでは、さくらと朱音がラリーをしている
さくら「よし。次はもっと速めでいくよ〜」
朱音「ハァハァ…はい…お願いします」

真利愛の部屋
帰って部屋に入って来るなり、
バッグをベッドに投げつける

真莉愛「あー!むかつくー!!!!何なの!?あの娘ばっかりチヤホヤされちゃってさ!」
母親「真莉愛ー!夕ご飯だよー!降りておいでー!」
真莉愛「あっ!はーい!いいわ…見てなさい…ただじゃ済ませないんだから!」

夕ご飯

真莉愛「いただきまーす♪」
TV「続いてのニュース…あっ只今臨時ニュースが入りました!〇〇国が☆☆国に対して宣戦布告をしたとの情報が入りました!繰り返し、お伝えします…」
母親「え…嘘…」
父親「とうとう戦争が始まるのか…」
真莉愛「…」
TVをじっと見つめている

翌日の部室
朱音がロッカーを開けると
「テニス部辞めろ!」の貼り紙が

朱音「え…」
遥「ん?どうかしたの?」
朱音「いえ…何でもないです…」
練習前の準備で体育倉庫に向かう新人4人
真莉愛「いい?朱音が中に入ったら…」
美希と春水に小声で話しかける
美希「う、うん…」
春水「わかった…」
3人は体育倉庫から道具を出した後、
扉を閉めて鍵をかけてしまう
朱音「え…ちょっと待って…開けてよ…」
扉を叩きながら、助けを求める
真莉愛「さあ、行こう♪」
朱音をそのままにして練習場へ
遥「あれ?羽賀ちゃんは?」
真莉愛「さあ?どこに行ったんでしょうね?」
遥「さあ?って…4人一緒に体育倉庫に行ったんじゃないの?」
真莉愛「私、探してきますね♪」
体育倉庫に戻り、鍵を開ける
真莉愛「あっ。ここにいたんだ♪ごめんね〜。気付かずに鍵をかけちゃった♪」
朱音「…」

真莉愛の家
夕ご飯

TV「続いてのニュースです。〇〇国が☆☆国に侵攻を開始した模様です…」
父親「沢山の死者が出るんだろうな…」
母親「早く終われば良いんだけど…」
真莉愛「…」
TVをじっと見つめている
翌日以降も朱音に対するいじめが続く

練習場
ボールが飛んできて朱音の体に当たる

朱音「痛っ!」
さくら「ちょっと!危ないじゃないの!」
真莉愛「ごめんなさーい♪ 私、下手だから♪」
さくら「もう!気を付けてよね!」

下駄箱
朱音の靴に画鋲が入っている

朱音「痛っ!」
それを見て笑みを浮かべながら
眺める真莉愛、美希、春水

教室2F

真莉愛「いい?もうすぐ下を通るわよ?」
朱音が歩いてきて窓から
黒板消しクリーナーの粉を落とす
朱音「え…」
制服や髪の毛が粉まみれになる
真莉愛「見て♪ 真っ白♪ ふふふ♪」

真莉愛の家
夕ご飯

TV「続いてのニュースです。〇〇国が化学兵器を空中から散布したとの情報が入ってきました…」
担架で運ばれる子供たち
目を見開いたまま口から泡を吹き、痙攣している
母親「酷い…酷すぎるわ…」
父親「これは人間のする事じゃないな…」
真莉愛「…」
真莉愛の右目から一筋の涙がスーっと頬を伝う
父親「え?真莉愛…泣いているのか?」
真莉愛「え…あれ?何でだろう…」
母親「真莉愛…悲しいよね…」
真莉愛をそっと抱きしめる

真莉愛の部屋(夜)
ベッドに入り、考え込んでいる

真莉愛「空中から散布…私が今日した事と似ている…そんな…まさか…いや…そんなのありえない…もう寝よ…」

翌日の移動授業
真莉愛が教室にこっそり戻ってくる

真莉愛「よし…誰もいない…」
朱音のバッグからお弁当を取り出し、
蓋を開けてゴミ箱のゴミを振りかける
真莉愛「これが本当の飯テロよ♪」

昼食時間

朱音「え…何これ…酷いよ…」
涙を流しながら何とかゴミをよけてお弁当を食べる

真莉愛の家
夕ご飯

TV「続いてのニュースです。今日、日本時間のお昼前頃に〇〇国のレストランで大規模なテロがありました。今現在、確認できている情報では少なくとも10名以上の死亡が…」
真莉愛が持っていた箸を落とす
真莉愛「え…」
母親「どうかしたの…」
真莉愛「ううん…何でもない…」

真莉愛の部屋(夜)
ベッドに入り、考え込んでいる

真莉愛「何なの…もしかして…私がした事が…いや…私とは関係ない…絶対に…」
それからまた数日後

移動授業
また真莉愛が教室にこっそり戻ってきて
朱音のお弁当にゴミを振りかけようとする

真莉愛「またテロが有ったら…ううん!私には絶対に関係ない!偶然に決まってる…何にしろ、これでハッキリするわ…」

真莉愛の家
夕ご飯

TV「続いてのニュースです。今日、日本時間のお昼前頃に〇〇国の飲食店でまた、大規模なテロがありました。今現在、確認できている情報では少なくとも10名以上の死亡が…」
真莉愛が席を立ち、洗面台に向かい、食べ物を嘔吐する
真莉愛「ハァハァ…何なの…何なのよ一体?」
父親「真莉愛?どうした?大丈夫か?」
真莉愛「何でもない…ちょっと気分が悪くなっただけ…」

そして悪夢が始まる
夢見るThe Vision

美希が夢見ている
朱音を体育倉庫に閉じ込めたシーン
朱音「え…ちょっと待って…開けてよ…」
扉を叩きながら、助けを求めている
映像が切り変わり、密閉された場所に沢山の外国人がいる
美希「え…何…ここはどこなの?」
外国人「助けて…神様…」
母親が子供を抱きしめている
美希「何?何が起こるの…」
シューっと音が聴こえてくる
子供「お母さん…苦しいよ…」
母親「ああ…どうかこの子だけでも…」
美希「もしかして…毒ガス…」
沢山の人々が壁や扉を叩いて助けを求めている
外国人「助けてくれー!」
外国人「ここから出してー!」
美希「あぁ…」
次第にバタバタと皆が倒れだしていく
美希の視線も横倒しになり、目の前には息を引き取った親子がいる
美希「いや!いやあぁぁぁーーーー!」
汗だくになった状態で朝を迎える
美希「ハァ!ハァ!」

春水が夢見ている
朱音が下駄箱で画鋲を踏むシーン
朱音「痛っ…」
映像が切り変わり、草原に外国人の親子がいる
子供「ママー!早く、早くー!」
子供が走り出して先に行く
母親「はいはい♪」
春水「え…何…ここはどこなの?」
突然、子供のいた地面が爆発する
春水「ヒッ!」
母親「キャー!!!!!」
母親が倒れている子供に駆け寄っていき、抱きしめる
母親「あぁ…神様…助けて下さい…」
春水の視線が下に動き、足元には吹き飛ばされた子供の片足がある
春水「いや!いやあぁぁぁーーー!」
汗だくになった状態で朝を迎える
春水「ハァ!ハァ!」

真莉愛が夢見ている
朱音がお弁当のゴミに気付くシーン
朱音「え…何これ…酷いよ…」
涙を流しながら何とかゴミをよけてお弁当を食べる
映像が切り変わり、路地裏に外国人の子供がいる
真莉愛「え…何…ここはどこなの?」
視線が近づいていくと子供たちがゴミ箱を漁ってゴミまみれの食べ物を食べている
真莉愛「…」
真莉愛の視線が下に動き、子供が目の前にいて男性の声が聴こえる
男性「これ、食うか?」
男性の右手が映り、パンを子供に渡している
子供「え…いいの?ありがとう♪」
また男性の右手が映り、わずかばかりのお金を渡している
男性「これで何か買って食べなさい」
子供「うわー♪ ありがとう♪」
男性「ほら?あそこに食べ物屋さんがあるから」
視線が横に動き、人がごった返している市場が映る
子供「うん♪ 行ってくる〜♪」
男性「ちょっと待って。これも持っていきなさい」
子供に肩掛けカバンを
子供「何これ?重たいよ?」
男性「あそこの食べ物屋さんに届けておくれ」
子供「うん♪ わかった♪」
真莉愛「まさか…爆弾…冗談でしょ…」
子供が沢山の人で溢れる市場に向かっていく
視線は男性の右手を映し、ボタンのついた機械が見える
真莉愛「ちょっと…本当にやめて…お願い…ねえ!やめてったら!やめ…」
ボタンを押す音と爆音が響き、沢山の悲鳴が聴こえる
真莉愛「いや!いやあぁぁぁーーーー!」
汗だくになった状態で涙を流し、朝を迎える
真莉愛「ハァ!ハァ!うぅ…」
その日以降も悪夢が続く
いじめた内容に沿うような夢を
体操服をボロボロにしたのなら
女性が暴行されて衣服が破られていく夢を
物を盗って隠したりすれば
隠してある僅かな食料を奪っていく夢を
毎夜 毎夜 毎夜

モーニング娘。20周年記念曲
「五線譜のたすき」

どれほど夢にうなされたらば
みんながきれいな朝陽みられるの?
歌うよ 毎夜 毎夜 毎夜

数日後
学校の廊下

美希「ねえ…こんなの絶対おかしいって…3人が3人とも悪夢を見続けるなんて…」
春水「それもいじめた内容に似たものばかり…」
真莉愛「…」
美希「私…もういじめるのをやめる…」
春水「私も…」
美希「真莉愛もやめよう?」
真莉愛「う、うん…」

練習場
真莉愛は虚な状態で練習に身が入らない

真莉愛「あ…」
春水とのラリー中にリターンミスをする
朱音「痛っ!」
真莉愛の打ったボールが朱音の体に当たる
さくら「また…わざとじゃないでしょうね!」
真莉愛「ごめんなさい…わざとじゃ…」
さくら「とにかく、気を付けてよね!」

真莉愛の家
夕ご飯

TV「続いてのニュースです。〇〇国が☆☆国に空爆した際、誤爆があった模様です。被害を受けたのは民間の医療機関で多数の死傷者が…」
真莉愛「わざとじゃないの…わざとじゃ…」
席を立って自分の部屋へ行ってしまう
母親「ちょっと!真莉愛!ご飯はー!?」
部屋を叩いて呼びかけるが鍵がかけられている
真莉愛「いらない…1人にして…」

翌日
学校の廊下

真莉愛「朱音…今までごめんなさい…」
朱音に頭を下げて謝る
朱音「…」
真莉愛「本当に…ごめんなさい…」
朱音「今更、謝れても…」
真莉愛「そうだよね…許してくれるわけないよね…でも、私にはこれしかできないの…ごめんなさい…ごめんなさい…」
もう一度、頭を下げるが朱音は行ってしまう
翌日以降も朱音に謝り続ける真莉愛

真莉愛の家
夕ご飯

TV「続いてのニュースです。〇〇国と☆☆国の戦争に対して、各国が連携して停戦協議をする様に求める模様です」
真莉愛「頑張らなきゃ…」

翌日
学校の廊下
朱音に真莉愛が謝っている
遥「ん?何しているの?2人とも」
優樹、遥、さくらの3人が通りがかる
朱音「いえ…何でも…」
真莉愛「あの…実は…」
真莉愛はこれまでの経緯を話す
優樹「はあ?何それ!」
さくら「あなた、最低ね」
遥「そんな事が…羽賀ちゃん…今まで気づけなくてごめんね…」
朱音「いえ…そんな…」
遥「で、真莉愛。どうするつもりなの?」
真莉愛「私は…許してもらえるまで謝り続けます…」
遥「そう…で、羽賀ちゃんは?」
優樹「許す必要なんてないよ!」
遥「まーちゃん。ちょっと黙っていて」
朱音「私は…ちょっと、まだ…」
遥「そう…」
真莉愛「お願い…許して…じゃないと…」
さくら「じゃないと何なのよ」
真莉愛「戦争が…終わらないんです…」
涙を流して訴える
優樹「はあ?何の話をしているのよ!」
遥「まーちゃん!真莉愛…詳しく聞かせて」
真莉愛はこれまでの経緯を全て話す
さくら「冗談でしょ。日本の女子校生の争いが影響しているとでもいうの?」
真莉愛「本当なんです…本当に…」
遥「ふー。嘘ついているように見えないけど…それを信じてっていうのはちょっと…」
真莉愛「お願いです!信じてください!沢山の人の命がかかっているんです!お願いします…お願いします…」
遥に掴みかかり、頭を下げて訴えかける
遥「…」
真莉愛「そうですよね…こんな話を信じろって無理な話ですよね…すいませんでした…」
真莉愛は一礼して行ってしまう

真莉愛の家
夕ご飯

TV「続いてのニュースです。〇〇国と☆☆国の戦争に対しての停戦協議を各国が双方に求めた結果、不調に終わった模様です」
真莉愛「一体、どうすれば良いの…」

数日後の通学電車
真莉愛が吊り革に掴まっている前に2人の女子校生が座っている
少女A「昨日さ〜彼氏に送るLINEを間違えてお父さんに誤爆しちゃってさ〜」
少女B「マジ?ウケるんだけどwww」
真莉愛「何が面白いの…誤爆で人が死んでるのよ!」
少女A「はあ?何なのこいつ?」
少女B「誤爆で人が死ぬわけないじゃないの?馬鹿じゃないの…ねえ、行こう?」
2人の女子校生は立って移動していく
真莉愛「…」
それを朱音が離れたところから見ている
朱音「…」

学校の廊下

真莉愛「本当にごめんなさい…」
朱音に頭を下げて謝る
朱音「もうちょっと待って…」
真莉愛「え…」
朱音「もう良いかなと思うんだけど…心の整理がつかないの…だから…もうちょっとだけ…」
真莉愛「うん…わかった…ありがとう…本当に…」

遥の部屋
机で勉強しながら考え込んでいる遥

遥「真莉愛の言っていた事…もし本当だったら…」
優樹「そんなわけないじゃん。もう、遥はお人好しなんだから」
優樹がベッドで少女漫画を読みながら答える
遥「でも…」
優樹「ん?何これ?」
遥「どうかしたの?」
優樹「これ見て」
少女漫画を遥に見せる
優樹「マリアって娘がいじめられているの…逆じゃない?」
遥「え…本当だ…」
少女漫画
子供A「先生に言いつけたな〜!」
子供B「良い子ぶりっ子しやがって!」
子供「やーい♪ やーい♪ 良い子ぶりっ子ー♪」
マリア「悪い事するのがいけないんだもん…マリアは悪くないもん…」
優樹「…」
遥「…」
マリアの部屋
部屋の片隅に座って目を両手で抑えて泣いている
マリア「うぅ…ぐすん……マリアは良い子でいちゃいけないの?ねえ…ぐすん…教えてよ…神様…」
The Visionが2人同時に発動する

遥「え?何これ?…ここはどこなの?」
優樹「え?遥にも見えるの?」
遥「うん…」
目の前に雲が広がり、羽の生えた子供がいる
子供「私…行ってみたい…行って少しでも悲しい事が減るように頑張る!」
女性の声が聴こえる
女性「…分かったよ。それじゃあ行っておいで。記憶を封印するかわりに特別な力をあげるからね」
子供「特別な力?」
女性「そう…とても大きな力…」
優樹と遥の視界がぼやける
優樹「何?見えないんだけど!」
遥「もしかして…天使?」
子供「えっ!?何で泣いているの?」
女性「ううん…何でもない…それじゃあ準備は良い?」
子供「うん!頑張ってくるよ!」
女性「行ってらっしゃい」
子供「行ってきます♪」
光に包まれ旅立っていく
女性「頑張ってね…」
遥「まーちゃん…これ何?」
優樹「私にもわかんないよ…」
女性「誰?それも2人…」
遥「え…私たちの事?」
優樹「私は優樹。で、もう1人は遥っていうの♪」
遥「何で普通に会話しているの…」
女性「驚いた…私に同期してくるなんて…それも未来から…そう…新種の娘たちなのね」
優樹「ねえ?さっきの何?教えてよ」
女性「それは教えられない決まりなの…」
遥「あなたは誰なんですか?」
女性「それも…」
優樹「あなた神様でしょ?」
遥「ちょっと!まーちゃん!」
女性「…」
優樹「神様ならさっきの漫画の答えを教えてよ。マリアは良い子でいちゃいけないの?」
女性「マリア…そう…あの娘のそばにいるのね」
遥「え…真莉愛がさっきの天使の娘なの?」
優樹「嘘だー。真莉愛が天使?逆じゃないの?」
また優樹と遥の視界がぼやける
遥「…泣いているんですか?」
女性「そう…逆なの…」
優樹「やっぱり!」
遥「まーちゃん。ちょっと黙っていて。逆ってまさか…悪魔って事ですか?」
女性「違うの…あの娘は天使よ…とても良い娘…」
優樹「???よくわかんないんだけど?」
女性「2人にお願いがあるの…あの娘に伝えて…逆だと…」
優樹「神様がお願い?それこそ逆じゃないの?」
女性「お願い…決まりでこれ以上は伝えられないの…」
遥「わかりました。ちゃんと伝えます」
女性「ありがとう…あの娘の事をよろしくね…」
The Visionが消える
遥「ちゃんと伝えなきゃ…」

翌日の朝練後

遥「真莉愛?ちょっといい?」
真莉愛「え…はい…」
遥「今日のお昼休みに花壇の所に来て。伝えたい事があるの」
真莉愛「わかりました…え?」
優樹が真莉愛の体を触っている
遥「何してるの?まーちゃん?」
優樹「いや…服を逆に着てるのかなと思って…あと羽も…」
遥「ふー。そういう事じゃないでしょ…たぶん…」

学校の廊下

真莉愛「本当にごめんなさい…」
朱音に頭を下げて謝る
朱音「もう大丈夫だから…」
真莉愛「え…本当?許してくれるの?」
朱音「うん…」
真莉愛「ありがとう…ありがとう…ありがとう…」
涙を流している
朱音「じゃあ…」
真莉愛「ちょっと待って…」
朱音「え…」
真莉愛「何かお詫びに私ができる事無い?何でもするから…」
朱音「大丈夫だよ…もう気にしないで…」
真莉愛「それじゃあ私の気が済まないの…ねえ?何でも言って?」
朱音「じゃあ…ダブルス…」
真莉愛「え?」
朱音「私…ずっとダブルスがやりたかったの…でも組んでくれる人がいなくて…」
真莉愛「もしかして…私と?」
朱音「うん…」
真莉愛「私で良ければ…」
朱音「本当!?嬉しい!やったー♪ わーい♪」
笑顔で喜ぶ朱音
真莉愛は少し驚くが笑みを浮かべて手を差し伸べる
真莉愛「これからよろしくね♪」
朱音「うん♪ よろしくね♪」
2人は握手をする

お昼休み
真莉愛に昨日見た事を話す遥

真莉愛「私が天使…そんな…とんでもないです…」
優樹「何?そっちの話は信じてって言って、こっちの話は信じられないの?」
遥「まーちゃん!」
真莉愛「いえ…そういうわけでは…」
遥「あと大事な話だからちゃんと聞いてね。真莉愛に伝えて欲しいって…逆だと」
真莉愛「え…逆…?」
遥「私なりに一晩考えてみたんだけど…もしかして2人の争いが影響じゃなくて戦争が2人に影響しているって事じゃない?」
優樹「それだー!遥、天才だね!」
真莉愛「戦争が私たちに影響…いえ…それでも私が朱音に悪い事をしたのは事実ですから…」
遥「ねえ、真莉愛…そんなに背負い込まないで…私が真莉愛の立場だったらと思うと、とても耐えられるものじゃないよ…」
真莉愛「…」
遥「私で良かったら、いつでも相談してね」
優樹「私も…一応、よろしくって言われたし」
真莉愛「はい…ありがとうございます。あ、あの…」
遥「ん?何?」
真莉愛「朱音に許してもらえました…」
遥「そう!良かったね♪ じゃあ、これで戦争が終わるんだね♪」
真莉愛「え…信じてくれているんですか?」
遥「うん♪ もちろん♪」
真莉愛「本当にありがとうございます…」
真莉愛は一礼して去っていく
その後ろ姿を笑顔で眺める遥
遥「…」

真莉愛の家

真莉愛「ただいま〜」
玄関からリビングへ行き、扉を開ける
TV「続いてのニュース。〇〇国と☆☆国の戦争ですが、両国とも各国による停戦協議案を受け入れ、これにより終結しました」
真莉愛は扉を開けた所で床にへたり込む
真莉愛「ごめんなさい…ごめんなさい…うぅ…うわあぁぁぁーーーーん!」
口を両手で隠して泣き出す
母親「真莉愛!?どうしたの!?」
真莉愛に寄り添う母親
真莉愛「うわあぁぁぁーーーーん!」
母親に抱きついて泣き続ける
涙が枯れるまで
窓の外では雨が降り出す

31分頃から視聴

優樹の家
リビングでソファーに座ってお菓子を食べながら同じニュースを笑顔で見ている優樹

優樹「ポリポリッ…マジじゃん…天使なんだ…」

翌朝
学校へ登校途中の真莉愛
傘をさして本を読みながら歩いている

真莉愛「えっと…ダブルスのルールや練習方法は…」
横断歩道が青になり、渡っていく
女性「キャーーーー!危ない!」
真莉愛「え…」
真莉愛が横を向くと車が向かってきている
ドン!という音がして道路に傘が転がる
真莉愛が倒れている
その近くでテニスの本が雨に濡れていく

遥の教室
美希、春水、朱音の3人が訪ねてくる

遥「あれ?羽賀ちゃんたちだ…何だろう?」
3人の元へと向かう遥
遥「どうしたの?」
美希「先輩…真莉愛が…真莉愛が…」
遥「何?真莉愛に何かあったの?」
春水「今朝…学校に来る途中で車にはねられて…」
遥「え!!!それで!?どうなったの!?」
美希「救急車で運ばれて…意識不明だって…」
遥「真莉愛…どうして…」
朱音「こんな事になるんだったら私…もっと早く許してあげれば…」
泣いている朱音を抱き寄せる遥
遥「羽賀ちゃん…大丈夫…きっと大丈夫だから…」

廊下
優樹、さくらに真莉愛の事を告げる遥

優樹「え…真莉愛が…」
さくら「そう…意識が戻れば良いんだけど…」
優樹「遥!どうしてなの!?真莉愛の事をよろしくって言われたのに…ねえ!どうしてよ!」
遥「そうだね…私たち…まだ何もしてないね…だから…きっと大丈夫…」
涙をこぼす

部室
練習を中止して病院へ行こうとするが、顧問の先生より面会謝絶中の為、止められる

遥「こんな状況で練習なんて…」
さくら「気持ちは分かるけど今は祈るしかないよ…」
優樹「うん…」
数日後の土曜日、面会可能になったと連絡が
皆で翌日の練習終わりにお見舞いに行く事に
真莉愛の意識は未だ戻らず

遥の部屋(夜)
窓から庭にいる優樹を見かける

遥「ん?まーちゃん?」
遥も庭に出ていく
遥「何をしているの?まーちゃん」
優樹「あっ、遥。真莉愛に持っていってあげようと思ってね」
籠にサクランボを入れている
遥「まーちゃん…真莉愛はまだ意識が…そっか…そうだよね…明日になったら戻っているかもしれないし…じゃあ私も…」
2人でサクランボを摘んでいく

翌日
真莉愛の病室

遥「失礼します…」
母親「はい…どちら様でしょうか?」
さくら「私たち…テニス部の…」
母親「あっ…どうぞお入りください…」
遥「これ…お花とサクランボです」
母親「わざわざ有難うございます…どうぞ…真莉愛に声をかけてあげて下さい」
真莉愛がベッドで眠っている
遥「真莉愛…みんなで来たよ…」
美希「真莉愛…」
春水「真莉愛…」
朱音「真莉愛…」
母親「傘がクッションになったおかげで大きな怪我や傷は無かったの…」
遥「そうなんですね…」
さくら「あの…これは?」
濡れて歪んだテニスの本を指さす
母親「あぁ…それは真莉愛が事故にあった時に持っていた物だと思うの…事故の前日に今度、友達とダブルスをやるって楽しそうに話していたから…それが…どうしてこんな事に…」
涙をこぼす
さくら「…」
朱音「それ…私の事です…」
母親「そう…あなたが…真莉愛が元気になったらよろしくね…」
朱音「はい…」

遥の家のリビング(夕方)
ソファーでTVを観ながら考え込んでいる

TV「自分の子供を虐待した疑いで…」「自殺が過去最多を更新…」「干ばつの影響で食糧不足が…」「内乱が続く△△国では…」「⬜︎⬜︎国で核実験が行われ…」「新型ウイルスの感染者が…」
遥「真莉愛…まだやらなきゃならない事が沢山あるね…だから…戻ってこなくちゃ…」
それから幾日が過ぎ

練習場
夏の大会での団体戦メンバーが発表される
優樹、遥、さくらはシングルスに選ばれる

優樹「遥♪ やったね♪」
遥「うん♪ 頑張らなくちゃね!」
さくら「絶対に優勝しよう!」
優樹「もちろん!」

夏の大会(団体戦)
順調に勝ち進み、とうとうJ高校との決勝戦へ!
オーダーをさくらが見る

さくら「優樹。あなたが対戦する宮本佳林はかなり手強い相手よ」
優樹「さくら、知っているの?」
さくら「個人戦で対戦した事があるの。その時は何とか勝てたけど…」
優樹「ふん!私が負けるもんか!」
さくら「優樹。よく聞いて。宮本佳林って娘はカウンターパンチャーよ」
優樹「何それ?」
さくら「粘り強くボールを拾って相手のミスを誘う守備型のスタイルの事よ。だからあまりムキにならないでねって言っても無駄だろうけど…」
優樹「ふん!ここまで来たからにはどんな相手だろうと勝つだけよ!」
さくら「とにかく油断しないでね」
優樹「そっちこそ!」
M高校はダブルスで2敗するが遥とさくらがシングルスで勝ち、2勝2敗の状態で残すは優樹のシングルス
優勝は優樹に託される

佐藤優樹VS宮本佳林
2人は試合開始前の握手をする

佳林「よろしくお願いします」
優樹「よろしくお願い…えっ!?頭に芽が…」
佳林「ん?」
優樹「あれ!?消えた…気のせいかな…」
優樹の先行で試合が始まる
ボールをトスしてサーブを打つ
優樹「!!!」
佳林「!!!!!」
フォアハンドで打ち返し、佳林のリターンエースが決まる
優樹「くっ…」
佳林「よし!」
優樹「私のサーブを初球から返すなんて…流石に簡単な相手じゃないようね…でも負けないんだから!」
一進一退の攻防が続く
第1セット 優樹の勝利
第2セット
優樹「ハァハァ…いい加減に諦めなさいよ!」
佳林「ハァハァ…絶対に諦めないもん!」
優樹が強烈なショットを打っても悉く打ち返す佳林
壮絶なラリーが何分も続く
春水「凄い…一体どこまで続くの…」
美希「先輩…頑張って…」
痺れを切らした優樹がリターンミスをする
優樹「ハァハァ…痛っ…」
右手を押さえる優樹
遥「まーちゃん…もしかして腕を痛めたんじゃ…」
優樹「このぐらい…」
徐々に佳林に押され始める優樹
第2セット 佳林の勝利
セット終了時の休憩
優樹「痛っ!ハァハァ…やばい…負けるかも…」
The Visionが発動する
優樹「何よ…こんな時に…」
ぼやけてはっきり見えない
遥「まーちゃん…」
遥の声と泣き声が聴こえる
優樹「遥…」
優樹の声と泣き声が聴こえる
優樹「遥はともかく何で私まで泣いているのよ…私が負けたくらいで泣くわけないでしょ…」
The Visionが消える
優樹「え…何?」
優樹の目の前に1枚の鳥の羽が舞い降りて来る
それを掴み、空を見上げる
優樹「真莉愛…」
1匹の鳥が空を飛んでいる

優樹「ふふふ…神様がこんなズルしていいの?いいわ…逆ね…やってやろうじゃない!」

最終セット

佳林「え…嘘…」
遥「まーちゃん!?」
優樹が左手にラケットを持っている
春水「もしかして左で?」
美希「そんな事って可能なんですか?」
さくら「ルール上は問題無いわ。でも…優樹…できるの?」
優樹の先行で試合が始まる
ボールをトスしてサーブを打つ
優樹「!!!」
ボールはネットに当たり、フォールト
再度、ボールをトスしてサーブを打つ
優樹「!!!」
ボールはネットに当たり、ダブルフォールト
その後も続けるがフォールトを繰り返す
遥「まーちゃん!頑張れー!」
春水「やっぱり無理なんじゃ…」
美希「でも…段々と惜しくなってきてる…」
さくら「それだけじゃ無いわ。球速もスピンの回転も上がってきてる…信じられない…」
そして遂にエースを決める
優樹「!!!」
ボールは佳林のサイドを駆け抜けていく
佳林「くっ…」
遥「凄い…凄いよ…まーちゃん…」
加速度的に精度を上げていく優樹
佳林「ハァハァ…負けないもん!」
優樹の逆サイドを突く佳林
優樹は左手ではなく右手にラケットを持ち替えてフォアハンドで打ち返す
優樹「!!!痛っ…」
優樹のリターンが決まる
佳林「ハァハァ…そんな…」
試合は佳境へ
優樹「ハァハァ…これで終わりよ!」
優樹がボールをトスして左手でサーブを打つ
サーブに振り遅れる佳林
佳林「くっ…」
サービスエースが決まり、優樹の勝利で試合終了
M高校の優勝が決まる!!!!!!!
優樹「ハァハァ…やった…」
優樹と佳林がネットに向かい、互いに握手
優樹は右手を差し出す
優樹「痛っ…」
佳林「ありがとうございました…大丈夫?」
優樹「平気…ありがとうございました」
皆の元へと向かう優樹
優樹「ハァハァ…みんな…どうしたの?」
全部員が泣いている
遥「まーちゃん…真莉愛が目を覚ましたって…」
さくら「さっき連絡が…ぐすん…」
優樹「くっ…ずるい…こんなの…泣くに決まってるじゃんか…」
遥「まーちゃん…」
優樹「遥…」
2人は抱き合って涙を流す
遥「良かった…本当に良かった…」
優樹「うわあぁぁーーーん!良かったよー!」
表彰式が終わり、急いで駐輪場へ
皆が一斉に鍵を開けていき、病院へ向かう

天界

天使「うぅ…あれ?ここは…」
神様「おかえりなさい…」
天使「あぁ…私…何て事を…」
神様「人間の時の記憶があるようね…」
天使「神様…私…私…」
神様「違う…違うのよ…あなたのせいじゃないの…」
天使「でも…」
神様「今だから話せるけど、あの戦争はもっと長引くはずだったの…それを終わらせたのはあなたの清い心なのよ…」
天使「え…私の心?」
神様「あなたに与えた特別な力はね…心が繋がる力なの」
天使「心が繋がる力…」
神様「そう…人間も誰しも持っている力…ただ、この力には良い所も悪い所もあるの。戦争が始まる時にあなたの心に何万、何十万という悪い心が繋がってきたの。それが悪い所。それを1人で受け止める事なんて無理に決まっている。でも、あなたはそれに打ち克ったのよ」
天使「そうなんだ…じゃあ、良い所は?」
神様「それはね。逆にあなたの願いである悲しい事を減らしたいと思う心が何万、何十万、いえ…世界中の人の心に繋がる事ができるの」
天使「え…本当?凄い…」
神様「本当よ。さあ…朱音ちゃんや皆が待っているよ。もう一度行ってらっしゃい。まだ人間の世界には悪い心が溢れているけど大丈夫。あなたのそばには素敵な優しい仲間が沢山いるから」
天使「私…負けない…頑張ってくるね!」
神様「それじゃあ準備は良い?」
天使「うん!あっ!神様!」
神様「何?」
天使「ありがとうね♪」
光に包まれ旅立って行く
神様「辛かったろうに…感謝するのはこっちよ…待っているからね…マリア…」


真莉愛の病室
扉を開けて皆が入っていく

遥「失礼します…」
母親「あっ…よく来て下さいました…真莉愛…テニス部の皆さんよ」
真莉愛がベッドで目を覚ましている
真莉愛「あっ…みんな…」
美希「真莉愛…本当に…本当に良かった…」
春水「真莉愛…真莉愛…」
朱音「うぅ…ぐすん…」
真莉愛「あっ…朱音…」
朱音「ぐすん…何…?」
真莉愛「ごめんね…ダブルス…もうちょっと待ってね…」
朱音「大丈夫…大丈夫だから…早く元気になってね…」
両手で真莉愛の手を包み込む
遥「真莉愛…元気になったらダブルスの練習に付き合うからね…」
優樹「私も…ズズー」
さくら「私も…」
全員、涙しながら微笑む
夕暮れ時の窓の外には5本の電線に沢山の雀が
五線譜を奏でる音符のように

そして数年後

オリンピック会場での開会式

遥「まーちゃん♪ とうとう始まるね♪」
優樹「うん♪ 頑張ろうね!遥♪」
さくら「油断しないでね」
優樹「そっちこそ!遥と私のペアが負けるもんか!」
遥「うん♪」

◎◎国の難民キャンプ

ラジオ「さあ!今、最後のランナーが聖火台に…」
朱音「真莉愛ー。そろそろ休憩しようか?」
真莉愛が支援物資を運んでいる
真莉愛「うん♪」
美希「おなか空いたよー」
春水「もうペコりんこだよー」
4人は木陰で昼食を
子供「わー♪ わー♪ わー♪ わー♪」
沢山の子供たちが4人の元へと
子供「ねえねえ?また歌を歌ってー♪」
真莉愛「うん♪ 何の歌が良い?」
子供たち全員が笑顔で口を揃え大きな声で
子供「Be Alive♪♪♪♪♪♪♪」


公園のベンチ
女性が座って少女漫画を読んでいる

アカネ「マリアー。そろそろ休憩しようか?」
マリアが支援物資を運んでいる
マリア「うん♪」
ミキ「おなか空いたよー」
ハルナ「もうペコりんこだよー」
4人は木陰で昼食を
子供「わー♪ わー♪ わー♪ わー♪」
沢山の子供たちが4人の元へと
子供「ねえねえ?また歌を歌ってー♪」
マリア「うん♪ 何の歌が良い?」
子供たち全員が笑顔で口を揃え大きな声で
子供「Be Alive♪♪♪♪♪♪♪」
女性が少女漫画を閉じる
さゆみ「良かったね…マリア…」
ベンチから立ち上がり、歩いていく