※担当バースデーのために、できること。できないこと。3の続き
シメサバくんの最後の営業を浴びた後、ベリーちゃんは『エル』にいた。
シメサバくんの本日の衣装 羽織袴 の着付けを待つ間、一人でお茶をしていた。
わたしは、ハンバーグくんに2時頃『エル』に居るように言われていたので、少し早めに『エル』に着き、ベリーちゃんと話していた。
今日のベリーちゃんはドルガバのスーツ。
昨日『K』に行ったことを掲示板に書き込みされたことで、ピンクのワンピースから衣装が変更になった。
わたしたちは、この歌舞伎町にある24時間営業の古い喫茶店(もちろん、メニューにナポリタンあり)で、たくさんバカ話をしてきた。
シメサバくんから着付け完了の連絡が来ても、26時になってハンバーグくんがわたしを迎えに来るまで、ベリーちゃんは一緒に待っていてくれた。
今日は突然、グレープフルーツちゃんもお店に来ることになった。
3人が揃うのは、たぶんわたしの誕生日を『C』で祝ってもらって以来なので、4ヶ月ぶりとか、5ヶ月ぶりとか、本当に久々である。
これだけ久々なのには、3人の関係の微妙な理由があったりする。
ベリーちゃんは、
「できるだけ早く来てね」
とすがる目をしながらお店に向かっていった。
2週間ぶりにあったハンバーグくんは、髪を切っていた。
会うなりベリーちゃんに
「モンチッチみたい」
と言われて激しく気にしていた。
当たり前のように『つるとんたん』に入る。
六本木店とは違って、BARのような内装。ライブステージまである。
「何食べるぅ~?」
とハンバーグくんに訊くと
「オレ、あんまりお腹へってないねん。すいかのちょっとちょうだい」
とのこと。
自分からごはんしようと言っておきながら、コンディションを整えて来ないとは!
もーっ。
ハンバーグくんはこういうことが多い。
ごはんなんて「ご来店促進キャンペーン」の一環としか考えていないのだ。
人のことをデリカシーがないとか言う割に、ハンバーグくんの方がもっと酷い。
こういうところがテキトウ過ぎである。
卵とじうどん1.5玉といなりずしを注文。
やっと落ち着いて
「ひさしぶりやな」
という話になる。
「そうだね」
「そんなにモンチッチみたい?」
「そんなことないよ。いいかんじ」
久しぶりすぎて、ハンバーグくんの顔をまっすぐ見ることができない。
ちょうど、2週間ぶり。
って、世の中的にはそんなに久しぶりではない。
「はじめてやんなー。俺らこんなに会わなかったの」
「そうだね」
話したいことがいっぱいあったのに、何も言うことができない。
「ベリーちゃんタワーするんやなーすごいなー」
「え?ベリーちゃんはタワーしないよぉ」
「でも、タワーあったで」
「じゃあ、誰か別の人がするんじゃない?」
わたしたちは、シメサバくんやベリーちゃんの話をしながら、卵とじうどんを食べた。
ハンバーグくんは、お腹すいてないとか言いながら、うまいうまいと言ってモリモリ食べた。
「昨日ツレの誕生日やってん・・」
ハンバーグくんは昨日お店を休んだそうだ。相変わらず休むとき連絡をくれない人である。
少なくとも今月のわたしは、突然お店に行ったりする客ではない。
でも、昨日の明け方、飲みに行こうかと一瞬思った。来なくてよかった。
「仕事やる気、出てきた?調子はどう?」
「調子は・・・あんまり良くないなぁ。今、7位やないかなぁ」
「やる気は?」
彼はここのところずっと、落ち込んでいた。
「なんか、すいかとヘンになってから、全然ダメやわ」
「また、わたしのせい?」
これまでにも何度となく、体調を崩したり精神的に落ちてしまったことを、わたしのせいにされている。
非常に困るし、不愉快。
「すいかのせいとは言わへんけど、なんかそういう誰かひとりのことでとかそういうのは違う思うねんけど・・・」
言っていることがよくわからない。
「好きな人ができたんじゃないとか、書かれてたじゃん。できたの?」
「好きな人できたら、ホスト辞めるわ」
「え?辞めるの?」
「うそ。辞めへん」
「ふーん」
「オレはすいかが一番好きやから」
「え?なに?」
「すいかのことが、一番好きやから」
だめ。
すいかはバカだから、一番好きの意味が全然わかんない。
ハンバーグくんとの何らかの関係が続くのであれば、わたしの中で解決しなければいけないことがあるのだが、今日はシメサバくんバースデーを楽しむことにしよう。
つづく