※ケンカすると他店に癒しを求めるという法則。2の続き」
わたしは、お店の目の前で、入るのをやめた。
自分でも意外だった。
ハンバーグくんには同伴しなかったと言って、ウソをついてもわからないのに。
それから、家に帰ろうと思って職安通りに出た。
何となく職安通りを歩き、マッサージがしたくなった。
いつもの足裏マッサージのお店に入り、30分のコースを頼む。
足を伸ばして座り、足のツボを刺激されながら身をよじる。
3時少し前になって我慢できず、ハンバーグくんに電話してしまう。
「今ね、一人でマッサージしてるの」
3時を過ぎたころ、お店にハンバーグくんが入って来る。
マッサージしていることを伝えたところ、
「じゃあ、迎えに行くわ」
ハンバーグくんはそう言っただけで電話を切って、しばらくして当たり前のようにお店に入ってきた。
ちょうどわたしのマッサージが終わるところで、足を拭いてもらって、椅子から降りた。
「こんばんは」
「こんばんは」
もう会わないと思ったのに、また会ってしまった。
ハンバーグくんは、3時過ぎたのにここにいる。
わたしを拉致って同伴しようとしているのだ。
そうじゃなきゃ遅刻。
違う。
拉致って下さいって、わたしが電話したのだ。
表に出たところにハンバーグくんの車が停まっていて、わたしは無言で助手席に乗り込んだ。
先にハンバーグくんが口を開いた。
「オレ、ホストで早くナンバー1なりたいねん」
唐突だった。
「うん」
「ホストでいる間、誰か女の子のこと好きとかそういう気持ちになれへんねん」
「うん」
「だから、すいかのこと、そういう対象に、誰かをそういう対象に敢えて思わへんようにしてんねん]
「うん」
「すいか、ホストの女って大変やで」
「うん」
「今より辛なるの、わかる?」
「うん」
「オレ、すいかをそんな辛い目に会わせたないねん」
「ちょっと待って!わたし、付き合ってなんて、言ってない」
「は?」
「わたし、ホストの人と付き合うなんて無理!そんなの大変なのに決まってる!絶対無理!」
ハンバーグくんは、わたしがハンバーグくんのことを好きだって言ったのを、付き合ってほしいと
聞いたのだろう。ふつう、「好き」って言うときってそういうことだけど。
でも、わたしはハンバーグくんと付き合いたいと思っていない。
じゃあ、どうしたいのか聞かれても、答えられないけど。
つづく