一晩中苦しんで、ベリーちゃんはお店に行かなかった。
締日。
シメサバくんからのメールや電話の応酬に、何度も折れそうになりながら耐えた。
29日まで5位だったのに落ちそうだと、シメサバくんはストレートにお願いしていた。
実はベリーちゃんはそのストレートにも弱かった。(ちなみに変化球にも弱い)
なぜなら先月、担当のナンバーを上げるおもしろさに気づいてしまったから。
それまで10位以内に入ったことのなかったシメサバくんは、ベリーちゃんが客になったとたんナンバー4になった。
思い出してもらいたい。落ちるも何も27日まで、彼は圏外だったのだ。
一度上がると、自分のポジションがそこだと勘違いして彼らは苦しむ。
今月だってベリーちゃんさえいなければ10位内も難しかっただろうに、5位から落ちそうだと言ってベリーちゃんに泣きついた。たった3日前、クリスタル紅白したばかりだというのに。
ただベリーちゃんは、そのお願いを簡単に無視することができず、苦しんだ。
3日前にいくら使ったか自分に言い聞かせながら。
で、結果はシメサバくん6位。
朝、
《上出来ですよね~》
とベリーちゃんからメールが来た。
もちろん上出来だ。
でもその「上出来ですよね~」も、私にでなく、自分に言い聞かせているようだった。
行っていれば5位には入れたのに。
ホームページの今月のナンバーのところで、大きな写真で紹介されたのに。
そりゃ、5位か6位かって気分は違うと思う。10位か11位かはもっと違うかも。
1位と2位も違うかも。
でも、そこに自分が関与したいとも思わないし、してるとも思わない。
わたしは、エースになりたくないし、なれる財力もない。
シメサバくんは、
「6位だったよ↓」じゃなくて、
「おかげで6位になれたよ。ありがとう」じゃなかろうか。
今日はお店が休みなので、少なくともベリーちゃんは心穏やかに過ごせるに違いない。
わたしの心は穏やかではなかった。
夜、ハンバーグくんから電話がかかってきて、週末の相談をした。
わたしの誕生日なので、デートしようと言われていたのだ。
「土曜日どうする?あけとけばいいんだよね?」
「え?何のこと?」
「ハンバーグくん誕生日、祝ってくれるって言ったじゃない?」
「BARの人が祝ってくれるって言わんかった?店来るのは金曜の夜やんなぁ」
「金曜の夜はいつものBARで祝ってくれるって言ってたけど・・・
土曜はお店は忙しそうだから行かなくてもいいよ。パイナップルタルトくんのバースデーイベントだもんね」
「別にええよ。一緒に祝えばええんちゃう?」
「そう?迷惑じゃないんなら、行こうかな」
わたしの誕生日である土曜日にデートしようって言い出したのはハンバーグくんなのに、すっかり忘れてる。
本当だろうか。
「すいか、この間誕生日にほしいものあるって言うとったやんか。なに?」
「いい。恥ずかしいから」
「何なん?言って!気になるから」
「酔っ払ったときに言う」
「もーいらいらするなぁ」
「今度ね」
その後の会話も不愉快で続かなかった。
ハンバーグくんが酔っ払っているときに話したことは、マボロシだと思った方がいい。
誕生日が土曜で良かったと思ったの、撤回。
わたしの土曜日の予定はなくなったようだ。