6月10日だ。
先日から始めたジムは、まだ続いている。
私は通知表の五段階評価で、体育はずっと「3」だったが、身体を動かすことは割と好きなほうだ。
前回、初めてピラティスのプログラムを体験した。呼吸に合わせてゆっくり身体を動かしていると、いつもより深く息を吸うことに意識が向く。
自分の身体と対話しているような気持ちになった。
先日、「思考を巡らせろ」と書いたばかりだが、私は自分の血を身体に巡らせることをずっと忘れていたらしい。
今日はプールのプログラムだった。
お腹を捻ったり伸ばしたりしながら、ウエスト周りを引き締めるらしい。
これは喜ばしいことである。
プールに着くと、もう参加者の方たちは水の中にいた。
四十人ぐらいだろうか。思い思いにストレッチをしたり、泳いだりしながら待っていた。
プログラムが始まると、ヒップホップ系の音楽が流れた。
少しだけ嫌な予感がした。
インストラクターの指示を聞き、隣の方の動きを観察し、初めはなんとかついていけた気がした。
だが、五分ほど経った頃、雲行きが怪しくなってきた。
「左手を上に突き上げる」
「右足を斜め後ろへキックして出す」
そんな対角線を使う動きに、いろいろなアレンジが加わり、また元へ戻る。
インストラクターの動きを見る。
言葉を聞く。
右と左を判断する。
隣の方の動きも確認する。
水の抵抗に逆らって身体を動かす。
時々、言葉と手本の動きが違って見える。
何度もインストラクターが満面の笑みで近寄ってきて、プールサイドから手本を見せてくれた。
初回から前列を陣取った私は、 途中から何が正解かわからなくなり、ついに自分のことなのに笑ってしまった。
プログラムの終盤、少しテンポが落ち着き、ジャニーズの方たちが踊るようなステップに戻った。 それでも、前列のど真ん中で、右と左を間違え続けた。
四十五分やって、結局、何一つ分かっていなかった。
そういえば、今日は路面電車の日だった。
ジムのガラス越しに見える路面電車には、乗客たちが迷うことなく、乗り込んでいた。
私だけが最後まで、右と左どちらへ出せばいいのか分からなかった。
今日のたい焼きはやけに身に沁みた。
May 25, 2026
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