20年前のあの日



その日は長男と次男の習い事の日だった

いつもの銀行に彼女の車がとまっているのが見えた!!


素通りできずに私も駐車した

銀行の中にいるのかも


私はバックミラーで髪の毛と化粧を確認して気合いをいれた

 

混んでいて列の最後尾は外まできていた


列に並ぶと、彼女が私の5、6人前にいた!


静かに観察したいのに、絶妙のタイミングで末っ子がグズる


彼女と目があった気がした

気がついた?


彼女は

仕事の事務服だった

スカートを短くするためにウエストで折り曲げているのか?腰まわりに変なシワがよっていた


たまたま、隣のATMがあいた

用はないけど、カードを差し込み残金を確認した

隣から香水とタバコの混ざった匂いがした


手に持つ財布は、誰もが知ってるブランドの明らかなパチモノだった。



もちろん声をかける勇気はない

心の中で叫んだ


財布も愛も偽物の女に

負けてたまるか!!