【ふれんち茶懐石ノート #07】
融合 〜引く美と加える美が交わるところ〜
こんにちは。
今回は、「融合」について書いてみたいと思います。
茶懐石とフランス料理。
これまで見てきたように、
この二つは共通点を持ちながらも、
美意識の向きはまったく異なります。
茶懐石は「引く美」。
フランス料理は「加える美」。
正反対とも言えるこの二つは、
本当に同時に成立するのでしょうか。
ふれんち茶懐石は、
この問いから生まれた料理です。
和と洋を並べた料理でもなく、
折衷的に混ぜ合わせたものでもありません。
目指しているのは、
二つの美意識を“同じ時間の中で成立させること”。
それを、ここでは「融合」と呼んでいます。
茶懐石の魅力は、
語りすぎないことにあります。
出しすぎず、
飾りすぎず、
あえて余白を残す。
料理人が一歩下がることで、
器や所作、沈黙までもが意味を持ち、
空気と時間が整っていきます。
一方、フランス料理は、
料理人の意志が前に出る料理です。
火入れ、ソース、香り、構成。
「ここで何を感じてほしいか」を明確にし、
技術を重ねて一皿を完成させていきます。
ふれんち茶懐石では、
この二つを順番に分けるのではなく、
同時に重ねていきます。
構成は茶懐石の流れ。
技術はフランス料理。
表現は抑制的で、
それでも記憶にはしっかり残る。
引いているのに、物足りなくならない。
加えているのに、うるさくならない。
そのために大切にしているのが、
「何をしないか」を決めることです。
すべてを見せない。
技を誇示しない。
説明しすぎない。
フランス料理の技術を持ちながら、
茶懐石の精神でそれを制御する。
そこに、ふれんち茶懐石の融合があります。
融合とは、足し算ではありません。
異なる美意識を、
同じ座標に置き直すこと。
静けさの中に技があり、
余白の中に意志がある。
ふれんち茶懐石は、
和と洋の中間ではなく、
新しい軸に立つ料理です。
次回は 「設計」。
この融合が、
実際のメニュー構成や流れの中で
どのように形になっているのかをお話しします。
どうぞ、静かにお付き合いください🍵
































