コミックスでずっと追っていた作品で、さきほど最終9巻を読了しました。
ネタバレなしで楽しんでほしい作品なので、以下は読了済みの方のみお進みください。
また、作品の感想というよりは、最終巻を読んで動揺した自分の気持ちの分析であり、要は自分語りです。悪しからず。
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えっぐい。
この漫画をどう捉えて良いのかわからない。
というのが、読了直後の感想でした。
読了してこんなえもいわれぬ気持ちになった漫画は久々だ……。
最終巻の前巻、第8巻までは、ただただ楽しんでいたんですよ。
もともと作者さんの前作である「鳥籠ノ番」が好きで、そこから読み始め。
序列と2-Dの不気味さに引き込まれ、真相が徐々に明かされていくスリルを楽しみつつ。
今思えば、「無自覚だった自分の加害を暴かれていく」クラスメートたちの動揺を、楽しんで見ていた部分も大きかったです(性格悪い)。
そうやって油断して傍観者をやっていたところ、最終巻で急にこっちに向かってパンチが飛んできた。そんな印象です。
だってめちゃくちゃ分かってしまうんだもの……廿日市さんの気持ちが。
自分と関係ないサスペンスだったら、黒幕が共感できない悪だったら、楽しかった、怖かった、で終わっていたと思います。
でもそうじゃなかった。
読了直後の感情は、実はあまり良いものではありませんでした。
思いもよらなかった驚きが待っているかと思ったら、真相はとてもよく知っている感情だった、という肩透かし感と、自分が消化できていない感情を理路整然と描写されてしまった、という抵抗感だったのだと思います。
でもしばらく考え込んで、じわじわと沁みてきて、あぁ、大事にしたいお話だ、と思いました。
押し付けられる人間の苦痛、私もわかるつもりです。
特定の個人に苦しめられるのではない、自分を苦しめる人間はその辺にいくらでもいて、誰も悪意も自覚もなくて、だから糾弾もできなくて、しかも誰一人として助けてくれないから、直接関係がない「その他大勢」への失望も同時に育っていって。
その結果として、「他人」全般に対して、広く浅く、ぼんやりとした恨みを抱えてしまう。
周りの人々を「観察対象」として玩具にするのもそれゆえだろうし、でも達観しているように見えて、姫山さんの一言に地雷を踏みぬかれて(あれまじ地雷だった、私もうわっと思ってしまった)殺意(というよりは未必の故意か)を抱いてしまうくらいの、どろっとした熱さも残っている。
わかる……わかってしまう……。
前巻までは「純然たる被害者としての姫山さん」に肩入れしながらクラスメートたちの悪が暴かれていくのを楽しんでいて、最終巻では姫山さんにも加害者としての側面があったこと、それが黒幕の地雷だったゆえに高すぎる代償を払わされたことが明かされて。
どちらに対しても「思い知ったか」みたいな感情があることは否定できない……いやだからといって殺すことないじゃん、とは思うけども。
でもこの作品の上手いところは、廿日市さん(に共感する読者)の望むものをこれだけ克明に描いておきながら、廿日市さんがいかに歪な人間かがびしびし伝わってくることだと思うんです。
結局、あの罪深いクラスメートたちの方が、普通だし、愛すべき人たちなんだよな……という、ちょっと諦めにも似た気持ち。
でも、みんな捨てたもんじゃないし、結局前途多難で廿日市さんの掌の上だったとしても、そこであがいている方の人間にならねばなるまい、みたいな気持ちと。
そんな考えさせられるぐるぐるはありつつ、でも声を大にして言いたいのは、
「めちゃくちゃ面白かったです!!!!」
完結お疲れ様でした。素晴らしい作品をありがとうございました。