ひとりだった夏目くんが、ひとりになった妖を助けてあげるお話。
雪兎やうさ耳妖怪の愛らしさとは裏腹に、人に裏切られ、憎しみを背負ってしまった翠の苦しさと、ひとりになってしまった玄の悲しさが胸に沁みる回です。
ここからネタバレ。
玄の悲しみと夏目くん
悪霊になりかけている玄を夏目くんが諭すシーンは、この回の大きな見せ場のひとつです。
「ひとりは嫌だ」と嘆く玄に対して、夏目くんは「まだひとりではないだろう?」と言います。
ひとりの悲しみをまだ夢に見るほど生々しく持ちながら、玄の悲しみに引きずられることなく、ひとりじゃない今を守るために前向きになる夏目くん。
1期十話「アサギの琴」には「おれはいつまでここにいられるんだろう」というモノローグがあり、今の幸せを、いつか失ってしまうかもしれないものだと捉えている感じがあったんですよね。
でもここでの夏目くんは、絆や希望を失いかけている玄に対して、努力でそれに抗うことを、全力を尽くすことを訴えているんです。
「おれもここには、守りたいものがいっぱいあるんだ」
「大切だと思ったことは大事にしていきたいんだ」
幸せを、たまたま転がり込んできた分不相応なものではなく、大事にしたいもの、守るために努力したいものだと捉えるようになった、夏目くんの成長が見える台詞です。
翠の恨みと夏目くん
大事に思っていた人に裏切られて、悪霊になってしまった翠。
玄の回想で出てくる優しい姿と、悪霊の姿のギャップが衝撃的です。
夏目くんが直接会った翠は悪霊の姿でしたけど、それでも「たぶん、虹に願おうとしてくれた翠のことも」と、翠もまた理解の対象にしようとしています。
人に裏切られた悲しみではなく、人の幸せを願っていた温かい気持ちに対して共感を示すのが、夏目くんの夏目くんらしいところですよね。
玄に対してもそうでした。ひとりになった悲しみに共感することもできただろうに、夏目くんはそれをしません。
マイナスの感情に共感しない、傷の舐め合いのような関係を作らない。
そして、人を嫌っているであろう玄に対して、人として「おれは玄が好きだよ」と言うことができる夏目くんの強さが、かっこいいです。
玄と翠
「君の心がいつか癒えたら、また二人で虹を待とう」
翠にとって、人の願いや幸せの象徴であった三色の虹。
「虹を待とう」という言葉からは、翠が人を許す未来を望んでいる、玄の気持ちが見える気がします。
玄は翠がいれば幸せで、翠は玄がいれば寒くなくて。
悪霊として分かたれていたことを思えばそれだけでも充分なんでしょうけど、その上で、人との思い出を心穏やかに想えるようになったなら、こんなに嬉しいことはないですよね。
そして、玄がそれを望めるようになったのが、夏目くんのお陰であったらいいな、と思います。
そのほか
・冒頭の窓から見ている妖怪、めっさ怖い。
・なんだかんだ言って、翠を襲わないで夏目くんだけ咥えた斑が優しい。