そこはちょっと路地裏の小さな喫茶店。

 

木目調のシンプルなテーブルと椅子、窓際に置かれた装飾品。

まるで海外のお店に来たような不思議な雰囲気に包まれて、

私たちはただ静かにお茶を飲む。

なんだか言葉を発してこの空気を壊すのが惜しいから。

 

色違いのカップから、それぞれが頼んだそれぞれの香りが立ち上る。

そうしてそっと混ざり合う。

柔らかい湯気の向こうに微笑みかけると、同じように微笑みが浮かんでいる。

 

いつか、こんな風に。

あの憧れた空の下に行けたらいいね。

あの空の下で、こんな風に二つの香りを楽しめますように……

 

©️ゆきはなの2022