「それがお前の人間の姿か?」
草むらに座り込み黙っていると
急にジッと見つめられた。
「……ああ」
「狼のもののけの一族なんだな」
「……!なぜそれを…」
「俺もだからな」
ドキリとした。
俺と同じ、もののけの一族…?
「さっきも見たろ?ウサギ。
あれが俺の本当の姿だよ。」
ちっこくて弱そうだろ?と
ハンゾウは苦笑いした。
「ならお前は…!」
「ウサギのもののけの一族さ。
ウサギのもののけっても可愛らしいもんじゃねえ。
それはそれは、恐ろしい由緒が…
ってまあ別にそれはお前も同じだろ?」
ウサギのもののけ。
一体どんなもののけなのかは分からないが、
その血を受け継ぐ子孫にはかわり無い。
「お前は狼の一族だな。狼には昔から困らされたもんだ!」
クックッと可笑しそうにハンゾウは笑った。
「昔から…?」
「ああ、俺はな、
不幸なことに血だけじゃなく記憶も受け継いでやがんだ。
この身体に流れる血に脈々とな。」
うんざりしたような顔でそう吐いた。
きっと辛い記憶も受け継がれているのだろう。
「そういやお前、発作はどうだ?」
発作。
聞きたくもない言葉だ。
今でこそ頻度は減りつつあるが…
完全に治ったわけじゃない。
「…稀にな、もののけの遺伝子と人間の細胞が上手く適合しねえ場合がある」
おもむろにハンゾウが話しだしたので、俺は耳を傾けた。
「…適合しないとどうなる?」
「…死ぬか、もしくは身体の弱い人間が出来るかだな。
お前はその後者だ。」
身体の弱い…未完成の人間ってことか。
適合出来なかった俺は…不良品だ。
「発作はそのせいだ、別に重い病気な訳じゃねえから
まあ…気楽にしておけよ」
随分と気分が重くなってしまった。
そんな俺をみて、
ハンゾウはまた俺を優しく撫でた。
恥じらいもあるが、俺はもうその手には逆らえないほど
その感触が気に入っていた。
人間は嫌いだ。
人間の俺を見る目が大嫌いだ。
だけどこの男は……
するとハンゾウはジッと俺の目を見つめて呟いた。
「ダイキ
俺と一緒にこねえか?
俺がお前を、最高に楽しい所に連れていってやる」