『俺を忘れたのか?ダイキ』
目の前に立つ男は
にっこりと笑っていた。
太陽のように明るく。
「お前、は……」
いつの間にか人間に戻っていた俺の姿を見て
その人間は目を細めた。
「……やっぱりなあ」
…やっぱり?
意味を考える暇もなく、
俺はその人間に抱き締められた。
「逢いたかった」
頭がグルグルと混乱する。
なんだ?何をしてるんだ?
初めてされたこの行為に
俺の頭は真っ白になった。
「元気だったか?久しぶりだな!」
「あ……う……」
どう言っていいか分からず、舌が上手く回らない。
夜風で冷えきった身体は
じんわりと温かくなっていった。
「俺を覚えてるか?」
少し身体を放して、
人間は呟いた。
覚えている
なんてものじゃない。
ずっとずっと
あの日出会った人間を探すために
俺は生きてきたようなものなのだから。
「俺の名前はハンゾウだ」
遠い日の記憶が
まるで流星のように流れ込んでくる。
『俺の名前は……』
そう、ハンゾウだ。
たしかにその人間はそう言った。
「ハン……ゾウ」
「おう、なんだ?ダイキ」
ハンゾウはニコッと首を傾げた。
「俺もお前に……」
逢いたかった。
その言葉が妙に重たくて
俺は口をつぐんでしまった。
それを見たハンゾウは
『いいんだ』と言うように、俺の頭を二度撫でてみせた。
「(あ……この感じ……)」
あの日と同じ温かい手。
俺を救ったあの日の人間の手だ。
俺は確信したのだった。
俺はただ
その手に甘えて目を瞑った。