シャンプーじゃない方ってアレなんていうん

リンス?トリートメント?コンディショナー?

何となく雰囲気的にちょっと違うんやろうなーっていうのとかは察するんやけど、じゃあどう違うんやって言われたらようわからんのよね


というボンヤリとした疑問を浮かべながら日々生活していた訳やけど、そんな日々に突然新参者が現れた




_人人人人人人人_
>    Moist       <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄





な…んだと…!!?!


その出会いは急に訪れた。俺は状況がよくわからなくなり、その場から動けずにいた。

タダでさえ混沌としたこの世界にさらに新たな登場人物がいるというのか。


Moistとただ書かれたそのボトルは正体が不明であるにも関わらず、「シャンプーと対をなしているからこれはリンス的なモノに違いない」と納得させるような意気軒昂とした様でそこに佇んでいた。


シャンプーを洗い流した後にその隣に設置されているボトルに手を伸ばすことは、尋常一様な動作であり、普通ならばそこに一切の疑問を感じる余地も無い筈だ。

それならばそこに書かれていた文字がリンスであろうがコンディショナーであろうが、はたまたMoistであろうが構わず使ってやろうじゃないかと俺は少しヤケになりながらもその得体の知れないーあるいは名前に惑わされてるだけで周知の内容物かもしれないペースト状の物体を髪の毛に塗りたくった。



やはり想像していた通り、それは俺の髪の毛に潤いを与えた。Moistという文字は飾りではなかったようだと俺はホッとひと息ついた。


日々の生活に疑問を感じたらすぐさま自分のポッケからiPhoneを取り出して検索をかける事が日課の俺だが、あの正体が何だったのかだけはどうしても調べる気になれない。

まるで俺の思考に挑戦状を叩きつけるかの如く、今日もシャンプーの隣には謎の物体が凛とした表情で立ち続けている。


ただ1つ普遍的な事象があるとするならば、この物体はいつも俺の頭髪に潤いを与えてくれるという事だけだ。

それさえしてくれれば充分だとボソリ呟き、俺は今日も、そしてこれからも「それ」を使い続けるのだろう。