シリコンインプラントによる再建と自家組織による再建②
先日のブログでシリコンと自家組織の特徴を示しましたが、以下の通りです。
①シリコン
入院期間:3泊4日
手術時間:2~3時間+麻酔時間の1時間
術後安静:術当日
次回外来:手術一週間後
メリット
身体を傷付けずに乳房を作る事ができる
短時間で手術が終わり身体の負担が少ない
手術の次の日には自由に歩け、その次の日に退院できるため拘束期間が短い
デメリット
人工物であるため感染のリスクが伴う
違和感を感じる人がいる
再建乳房が冷たく感じる方がいる
再建乳房が動かない、ゆれない
下垂感は出せない
上胸部の陥凹は残ったまま
②自家組織(腹部の穿通枝皮弁の場合)
入院期間:約2週間(最短で8日で帰られた方がいます)
手術時間:10時間
術後安静:術後3日ベッド上安静、その後トイレ歩行、車椅子、歩行器の期間を経て、一週間程度で独歩
次回外来:退院後1週間(術後3週間)
メリット
自分の身体の一部が乳房になる(人工物を用いない)
下垂感が出せる
感染の心配が殆どない
腹部の脂肪を取るため身体が細くなる
温かい
揺れる
デメリット
手術時間が長く身体の負担が大きい
入院期間が長く仕事をしている人はなかなか時間が作れない
腹部に大きな傷ができる
実際には、仕事をしてる方は、「仕事を休む時間が取れなくて、、、」とか、子供さんが小さい方は「家を長期に空けることができないので、、、」などの理由でシリコンインプラントによる再建を選択する人が多いです。
逆に時間のある方のうち、大きな胸の方やティッシュエキスパンダーの挿入時に違和感が強い方は自家組織を選ぶケースが多くなります。
メリットデメリットではなく、純粋に形を考えた場合、シリコンインプラントではどうしても下垂が作れないため、大きくて下垂のある方は自家組織に興味を示す事が多いです。
逆に小ぶりな方は殆どがシリコンインプラントを選択します。
つまり、形をどこまで再現したいか❓という患者さんのこだわりによっても術式選択は変わってきます。
やはりシリコンインプラントは固く、揺れませんから、温かくて柔らかい自家組織は形態の面で軍配が上がります。
そして上胸部の陥凹をしっかり埋めたい方は自家組織を選ぶ人が多いです。
ここはシリコンで再建できないところなので、、、しかしこの陥凹を改善させる方法として、シリコンインプラントで再建した後に脂肪注入をするというテクニックがありますが、その話はまたいつか。