シリコンインプラントによる再建と自家組織による再建① | 乳がん症例数日本一 がん研有明病院 乳房再建外科医のブログ

シリコンインプラントによる再建と自家組織による再建①

お久しぶりのブログです。

このブログを立ち上げてからもう少しで一年が経とうとしていますが、記事が10個以下、、、


気ままに上げていきますのでご容赦下さい笑



がん研有明病院形成外科の手術のうち乳房再建(シリコンインプラントまたは自家組織)の件数はおおよそ300例を超える数なのですが、シリコンインプラントと自家組織の割合が、95:5くらいに偏っています。
ひたすらシリコンをやっている施設なんですね。
自家組織も20数例やっているため、隔週ペースなので決して少なくないのですが、シリコンが多すぎてその割合に差があります。



再建にシリコンを選ぶのか、自家組織を選ぶのか、どうやって選んだら良いのかという質問をされるのでそれぞれのメリット、デメリットを話したいと思います。


①シリコン
入院期間:3泊4日
手術時間:2~3時間+麻酔時間の1時間
術後安静:術当日
次回外来:手術一週間後


メリット
身体を傷付けずに乳房を作る事ができる
短時間で手術が終わり身体の負担が少ない
手術の次の日には自由に歩け、その次の日に退院できるため拘束期間が短い

デメリット
人工物であるため感染のリスクが伴う
違和感を感じる人がいる
再建乳房が冷たい
再建乳房が動かない、ゆれない
下垂感は出せない
上胸部の陥凹は残ったまま




②自家組織(腹部の穿通枝皮弁の場合)
入院期間:約2週間(最短で8日で帰られた方がいます)
手術時間:10時間
術後安静:術後3日ベッド上安静、その後トイレ歩行、車椅子、歩行器の期間を経て、一週間程度で独歩
次回外来:退院後1週間(術後3週間)


メリット
自分の身体の一部が乳房になる(人工物を用いない)
下垂感が出せる
感染の心配が殆どない
腹部の脂肪を取るため身体が細くなる
温かい
揺れる


デメリット
手術時間が長く身体の負担が大きい
入院期間が長く仕事をしている人はなかなか時間が作れない
腹部に大きな傷ができる




メリットデメリットだけで話すと、簡単に終わる手術を求めるか、大変だけれども自分の身体の一部分で乳房を作るか、ですね。


次のブログでは形や年齢などでの適応について触れたいと思います。