今シーズンのリーグ戦、フロンターレの好調ぶりとレッズの低迷を目にして感じることがあります。
風間八宏氏は、フロンターレの監督時代、選手個々の技術を徹底的に磨いた。
ボールをトラップする技術、強くて正確なパスを蹴る技術。
そして選手は大きく成長した。
これらの技術があることによって、フロンターレのサッカーが風間氏のいない現在も成り立っている。
一方、浦和レッズの場合はどうだろう。
ペトロヴィッチ氏は、技術ではなく戦術を徹底的に磨いた。
ペトロヴィッチ氏による独特のフォーメーション。
攻撃のパターンを磨き、そのバリエーションを多数用意する。
そして、そのフォーメーションに適した選手を揃える。
相手チームに対策されれば更にその上をいく新たな戦術を編み出す。
選手個々の技術を強く要求することは少ないので、一流の選手を揃える必要もない。
2017シーズンの夏、相手の対策を上回る戦術を用意できなくなったとの判断から、ペトロヴィッチ氏は解任された。
コーチとして仕えていた堀孝史氏も同時に辞意を表明したが、クラブに慰留され、後任の監督となった。
堀氏はペトロヴィッチ氏のサッカーを守備的にシフトすることで問題を解決しようとした。
攻撃力のある森脇を外し、人に強い長澤を重用した。
しかしながら、ペトロヴィッチ氏の戦術は、攻撃的なサッカーを控え目にしようとすると、攻撃そのものが機能しなくなるという問題を内包していた。
レッズはACLは守備中心のカウンターサッカーで優勝したが、国内のリーグ戦では苦戦した。
風間氏の後を継いだ鬼木達氏は、風間氏の攻撃サッカーに守備的な要素を付け加えた。
フロンターレの場合、攻撃人数で凌駕するサッカーではなく、パターンに頼るサッカーでもないため、風間監督時代に築いた圧倒的な個の技術をそのまま生かすことができた。
まさに、風間氏が良く用いた言葉「技術は錆びつかない」のことだ。
先日、フロンターレとグランパスの試合を見た。
驚いたのは、グランパスの選手が2016シーズンよりも格段に上手くなっているということだった。
「監督が変われば、一からチームを作り直さなければならない」とよく言われるが、風間氏が教えたサッカーでは、そうはならないと思う。
風間氏のサッカーは、監督が変わってもそのまま活かせる技術を磨き上げるものであるため、今のフロンターレがあるのだと思う。
そんな風間八宏氏に感謝しながら、2018シーズンのフロンターレを見守っていきたい。
そして近い将来、フロンターレがグランパスと優勝を争うようなシーズンが到来するかもしれない。
もしかしたら、そのシーズンとは2018シーズンか2019シーズンなのかもしれない。
風間さん、ありがとう。