ある日の放課後、靴を履き替えていると、
一度も話したことがない女子が突然「バイバイ♪」と言ってきた。俺は意味がわからなかった。俺にはそんなことを言ってくる友達がいないはずだからだ。しかし、同じクラスの人を無視するわけにもいかないので、手を振り返した。
数週間後、何人かのグループで協力しなければいけない状況になった、俺はなぜだかわからないが、あの女子と同じグループになった。それだけならまだいいのだが、男子が俺1人だけだった。
俺が女子達に囲まれて固まっていると思ったのか、その女子は、すごい量の質問を俺にぶつけてきた。たとえば、
「血液型は何?」「何部なの?」というものがあった。しかし、俺の返事が「うん」か「うんうん」だから、質問はどんどん減っていったらしく最終的に「よシよっシーはなんでよシよっシーなの?」みたいな意味わからない質問もしてきた。
その女子が質問してくれている間、俺は必死に応えようとしたが、やはりまた嫌われるかもしれない。長いはずの時間は一瞬で過ぎ去り、その女子は笑顔で「バイバイ」と言った。俺はその時間が今までで最も幸せな時間だと思った。もっと話したい!今すぐ喋りたい!と思った。これが人を好きになるという気持ちかとも思った。
しかし、口から出たのは「バイバイ」だけだった。