去年の5月に手術の説明を受けた時に、主治医の先生の後ろにちょこん、と座っていた小柄な女性がいた。

若いしかわいいし、白衣は着ているけど、下にその下にはオペの時の服みたいなのを着ていた。


主治医の先生が説明を始めます、というからご紹介があるのかしら?麻酔科の先生かしら?


と思ったけど、何の説明もなくて・・・

いったい、誰・・・?


先生が手術の説明の後に

「何か質問はありますか?」

と聞いてくれたので、誰でしょうか・・・?と聞こうと思ったけど、両親も神妙だし、暗い雰囲気も充満してたから、聞けずにいた。


そして、手術の当日。


主治医の先生が朝、あいさつに来てくれてた。

その後、トイレに行って手を洗っていたら


「ピッピさん!!!」


とあのカワイコちゃんが!


「こんな時になんですけど、私研修医のMです。手術に立ち会わせてもらいます。」

と。


「こないだの説明の時、先生が紹介してくれないから・・・」

って付け足されてました。


説明の時に紹介しないの、あれれ?って思っていたの、私だけじゃなかったんだ!

先生は素晴らしいお人で、お医者様としての腕も素晴らしいのですが、そこはやっぱり凡人ではないので、余分なことは気にならない、どうでもいい!という猪突猛進タイプ。


そんなわけで、手術の朝に今から私のお腹を切って悪いものを取ってくださるもうひとりの方とはじめて言葉を交わす。


いきなりすぎて、話すことがないけど、とりあえずM先生に何卒よろしくお願いします、と頭を下げる。


「では、手術室で!」

と颯爽と歩くM先生、歩くの早い・・・


先生も歩くのがとても早くて、廊下で見かけても病人にはとてもつかまえられません。

ちょっと似てる・・・


そして手術が終わって数日、20時過ぎにドアをコンコンと鳴らして入ってきた、ダンサーのような大学生のようなカジュアルな女の子が。


はて?

誰?


と思った瞬間


「研修医のMです」


マスクしてないし、私服だとやっぱり若い女の子!

そんなM先生、当直や他の病院での研修やらでしばらくK病院に来られなそうだから、とわざわざ仕事の後に立ち寄ってくださいました。


自分が担当した患者さんの様子は気になって仕方ないから、って・・・

素晴らしい・・・

優しい・・・


その後の入院中もちょこちょこ様子を見に来てくれたり、雑談したり、短期での入院の時にも必ず来てくださって。

私のカルテも見ているみたいで、いつも都度都度状況も把握されてました。


そんなM先生、この春で研修医卒業です。

4月からは別の有名な病院の消化器科の先生に。

女医さんで消化器科でバンバン手術って、すごいなー・・・


今日の外来で多分会えるのは最後かな、とお手紙は持って行ってたけど今は別の科で研修中だし、手術中かもしれないし・・・


と思いつつ婦人科の受付に行ったら「ピッピさん、M先生が外来終わったら待合室で待っててって言ってました」と伝言が!


よかった、会える・・・!と思った5分後、M先生がお見えに♪

やっぱりM先生も最後になると思って、伝言を残していてくれたとのこと。


「今までは同じ病院だったから研修医と患者でしたけど、これからはお友達になれますね~。」とM先生。


きゃー!!

うれしい!!


現代っ子っぽく「Facebookやってます?じゃあ、探して連絡しますね~!」と言うM先生。


こうやってまさか自分のお腹の中を見てくださった方とお友達になれるなんてまたとないこと。


人の縁って不思議なものだから・・・大切にしていきたいな。