住み慣れた場所に戻って、やっと落ち着いた気分になりました。
落ち着いたと同時に、サルくんはパンのことを思い出しました。
手にしたパンは必死に逃げている間にボロボロになって、少し小さくなってしまっていました。
でも、あの匂いはちゃんと残っています。
サルくんはパンを一口食べました。
香ばしく甘い味が口いっぱいに広がっていきます。
「し・あ・わ・せ」
もうパンのとりこです。
サルくんは夢中で食べ続けました。
あまりの勢いで食べたものですから、手の中のパンはあっ!という間に無くなってしまいました。
「もっと食べたいなぁ
」サルくんはまだ手に残ったパンの匂いを嗅ぎながら思いました。
でも、その為にはまた人間の住む里に行かなくてはなりません。
いや、いや、無理、無理。
あんな怖い思いは二度としたくありません。
考えただけで、また心臓がバクバクしてきました。